『森の一族』
大勢の背中を見送りながら、僕らは、精一杯手を振った。
いつまでも、いつまでも見えなくなっても。
僕は、その中でも一番小さな背中とその側のクルクルするシッポを見つめながら、精霊達の言葉は、本当だったと噛みしめていた。
「おい、やっぱり無理だよ。」
「我が一族の力を疑うのか?」
「いや、そうじゃない。まだ幼過ぎると言ってるんだよ。」
「じゃあ、お前に何か他に策があるとでも言うのか?」
。。。
ため息と諦めとが交差する大人達の会話を聞きながら、僕は考えていた。
精霊は、嘘をつかないと言う言い伝えが本当かどうか。。。
もう、何日も疲れきった、足取りで全員が森を彷徨っていた。
そんな時、森の中を通る旅人の話が聞こえてきた。
「凄かったなー。あんな事が起こるなんてなぁ。」
「全くだよ。温泉街にいた時はもう命がないかとビクビクしたのになぁ。」
「ありゃ、オーガスト王がたまたま現場にいて適切な指示を出したお陰らしいよ。」
「いや、そりゃお前の聞き間違いだよ。
何でも、凄腕冒険者のアドバイスがあったお陰だとか。」
「本当かい。じゃ、あの噂も本当かもな。」
「あぁ、火山の噴火を止めた神獣が現れたって話かい。」
「そうそう、しかも、その神獣を使役したのが少年だって言うじゃないか!」
「俺、信じられないよ。」「俺も」
遠ざかっていく声を聞きながら、僕らは喜びに湧いた。少年は、いたんだ!
それから、温泉街へ向かって近道を急ぐ。
途中、小さな白い花が点々として僕らの目印になる。
とうとう、彼等が野営している場所に近づけたその時!
「何者だ!」
腹の底から響く怒声に、全員の体が固まる。
「お前達。。まさか、生き残りが。。、」
恐れてた最悪の事態となった。
誰も僕らの言葉は、聞いてはくれない。
取り囲まれその時、彼が森から戻ってきた。
その後、奇跡の連続。
それは、魔獣ブゼルと彼のおかげ。。。
いくつもの危機を乗り越えて、僕らの新しい生活が始まろうとしている。
僕らにとって、定住は夢のまた夢だったのに。
今、可愛い赤い屋根の家で暖かい料理を食べてる。それは、彼のオススメの「お握り」。
彼が、出掛ける時に言った言葉を思い出す。
「また来るからさぁ。今度は美味しい味噌汁飲ませるぜ!」
精霊は、あの時僕にこう言った。
「緑の光を放つ者。それは、貴方達を救う。
彼は、精霊界の秘密の鍵。。。」




