彼女を狙う者とやりあう者
猪苗代錐香は真っ暗な病室から出て行く3人を空間的知覚で追っていたが、途中でそんな余裕はなくなった。
明かりの無い暗闇の中を人の形をした何かが、何度も何度も高速で錐香に突っ込んでくる。
空間移動は1回の移動に少し時間がかかる。近くにいない3人を空間的知覚で追いながら、狭い病室の壁を踏み台に高速で跳ぶ人間の進行方向を読んで空間移動を続けることは、正直言って無理だった。
錐香はこの病室の上の病室に空間移動を果たすも、高速で跳ぶ人間はどう感知しているのか錐香を追って上の病室の床を貫いて追撃してくる。
これではらちが明かないと思った錐香は、病院の屋上まで空間移動した。外は気持ちいほどの快晴で、見渡す限り雲ひとつない大空と病院の後ろにそびえ立つ超高層ビルで見晴らしがいい。しかし、そんな風景を楽しんでいる余裕はない。屋上に出ても高速で跳ぶ人間は床を突き破り、錐香に突っ込んでくる。またそれを錐香は空間移動で回避する。そして今度は錐香の攻撃の番だ。
屋上には円筒形の筒が大量に転がっていた。錐香の用意した爆弾だ。上空高くに跳んだ人間に6つほど爆弾をプレゼントする。
超能力保護区立総合病院の屋上で爆発音が連続した。
黒鉛の中から筒の欠片と共に人間が屋上に着地した。そこにいたのはどこぞの高校の女子制服を着た女子生徒だ。赤茶色の短い髪のその女は奇妙な笑みを浮かべて錐香を見る。
「一応風紀委員会だから、あなたを拘束するよ~」
「あんたともう一人だけかァ?よく黒夜瞳を襲撃するってわかったなァ。どこからか漏れたのかァ?」
「そうね、あなたのボスがミスったのかもね」
猪苗代錐香は稗畑雲雀よりも凶悪な笑みを浮かべて雲雀を睨む。
「まァ、いいやァ。どっちにしても黒夜瞳は殺すから」
「あなたはここであたしが仕留めるわよ」
「てめェ、空間移動なめてんのかァ?」
「あたし強いわよ」
「アハハハハハハッ、笑わせんな!!」
女2人の死闘が始まった。




