気持ち
いい加減話さないとな
私はそう思い、ベットの上で本を開く。
昨日、帰り道に少し本屋に寄って買って来た本だ。
内容は、主人公が仲間とラスボスを倒しに行く話なのだが、冒険の途中で主人公は実は、ラスボスの子供だったことがわかる。主人公は、それを隠したまま冒険を続ける。という話だ。
まるで私みたいだと思った。
私は、そういうラスボスの子供だとかそういうのはないと思っている。だけど、仲間に何かを隠したまま冒険を続けているのが、どうにも私と重なってしまう。
そう思いながら本のページを捲る。
部屋の中に、紙を捲る音だけがこだまする
「お腹すいたな……」
今はお昼頃だろうか?
フォスは、お昼はショッピングモールで食べてくると言っていた。
備え付けのキッチンで何か作るか、と思いキッチンに向かおうとしたら、食卓の上の干し芋が目に入った。
手に取って食べようとして、手を伸ばす。
だけど、どうしても手が震え、干し芋をつかむことを手が拒む。
「クソッ……」
ただの苦痛だ。
私が、何か幸福のラインを越えそうになるといつもあいつが頭の中をよぎる。
「おい、たまには私にわかる言葉で返事をしたらどうだ?」
どうせ何も返ってこないとわかっていながらも、声をかけてみる。
いよいよおかしいな、私。
そんなことをしながら昼食をつくり、本を読みながらご飯を食べる。
フォスがいない時にしかできないことだ。
ちなみにお昼ご飯は、ハンバーガーだ。
フォスが焼いて挟むだけでいいようにって、途中まで作っておいてくれていたものだ。
やっぱり、フォスは優しいな。
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エドは大丈夫かな?
私は、ショッピングモールのテナントのハンバーガーショップでチーズバーガーとアップルパイを食べながら考える。
宿にいると言っていたエドのためにハンバーガーを作っていたら、なんだか私も食べたくなってきて、今これだ。
ふと、正面を見る。
知らない人の背中がみえる。
「ここにエドがいればなぁ……」
つい口に出てしまった。
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ページを捲る
読む
ページを捲る
読む
物語というものは、常に運命が決まっている。最後まで読んでも、最初に戻って読んでも、途中から読んでも、彼らの運命はその中では変わらない。
だから私の運命は、変わらないものだと思う。
それを確かめる術はない。
未来を見ることも、過去に戻ってやり直すことも。
「って、何考えてるんだ私」
物語終盤、主人公が自分の運命を恨んでいるシーンがある。
多分これのせいだ。
でも、運命を変えるためじゃなくて、自分を知るために過去に戻りたいと思うことはいくらでもある。
あの森で目覚める前の私は何者だったのか?
『おい、エド。最近何悩んでいるんだ?』
「うおい!びっくりした〜、カタナか」
『そうだよ。で、何悩んでいるんだ?』
カタナに話すべきなのだろうか?
私が何者だったのかを
『エドのことだ、どうせ『私って何者なんだろ?』って思っているんだろ?』
「!」
『図星か?』
「なんでわかったの?」
『何、お前の思考回路に何年……いや、なんでもない……とにかく、お前の考えはお見通しだ』
「で、結局私は何者なの?」
『それ聴いちゃう?』
「聞きたいから言ってるの」
『後悔しない?』
「後悔先に立たずっていうだろ?」
『じゃあいっか。いいか?お前はな、要は伝説だ』
「伝説?どういうこと?」
『運命は変わらないものだろ?いずれわかるさ』
「答えになってないんだけど?」
『伝説なら、記録に残っているはずだ。図書館とかなんかあるんじゃないか?』
「ええ〜それ本気で言ってる?」
『もちろん』
「でもこれから地下迷宮に潜るんだけど……」
『じゃあ、次の機会だな』
「ちくしょう!」
『ま、本当にいずれわかるからさ、気楽に待ってろって』
「まあいいけどさ、カタナだし」
『何?俺信用されてない?』
「武器としての信用はしているけど、人格としてはな〜」
『何それひどい〜!』
「そんなことを言ってはぐらかしているのが悪いんだからね〜」
『チッキショー!』
ああ、こんな時間がいつまでも続けばいいのに……
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翌々日
昨日は、洞窟に潜るための準備で忙しかった……でも準備はバッチリ!のはず……
「じゃあ行こっか」
私たちは、洞窟調査の準備を済ませ、今洞窟の前に立っている。
「フォス、忘れ物はない?」
「私は大丈夫だよ?」
「ならいい」
「それではおふたがた。ご武運を」
ドミカさんがお見送りに来てくれた。
「はい」
「では」
私たちは、洞窟の中に潜っていった。




