始まりの道
目が覚めた。
「知らないところだ」
思わずそう呟いてしまった。
何せ目が覚めたのは道を通っている馬車の荷台の上だからね!
実はわたくし、一度も森から出たことがないんですよ。
それはもう、パニックですよ。
「あ、目が覚めてる!」
知らない声がした。
声のした方を見ると、ピンク髪の少女がいた。
この瞬間私は、記憶の中で初めて自分以外の人を見た。
「うわぁ〜良かった〜」
急に泣きながら抱きつかれた。
もちろん私は、パニック。
何せ私は、人に触れたことがないからね!
「あのね、あのね…」
と言うふうに、ピンク髪の少女は、経緯を話し始めた。
簡潔にまとめると…
・森の中で道に迷い遭難した
・あちこち回っていると洞窟があったからそこで一休みすることにした
・その奥に私が倒れていて息をしていなかった
・治癒魔法をかけても息を吹き返さなかった
・急いで私を担いで森をかけて行った
・奇跡的に道に出てたまたま通りかかった商人の馬車に乗せてもらった
で、今に至るらしい。
「いやー、ほんと死んでたかと思ったよー。あ、自己紹介がまだだったね。私はフォス。職業は魔法使いをしているんだー。前はPTに所属していたんだけど、うまくいかなくなっちゃってね。今はソロで冒険者をしているの。さて、君の名前は?」
さあ、始まりました。自己紹介ターイム!
今日、目が覚めて、まだ八文字くらいしか話してないのに…
しかも、私はカタナ意外とまともに話せない気がする。
何せ私は、他人に会ったことがないからね!
あぁ、もうどうしよう。何を言えばいいかわからない…
フォスの方に目を向けると、
「聞きたい、聞きたい!」
と声が聞こえてきそうなキラキラした目でこちらを向いている…
あっ、やめて…そんな…そんな聞きたい!オーラ出さないで…そのキラキラで、消し炭になるから…
ああ、がんばれー私!絶対、多分、おそらく、大体…大丈夫?
「え…」
「え…?」
「え…エド……です」
「エドか!いい名前だね。なんか、前にやっていたこととかある?」
深掘りをするなー!
私はただ、名前を聞かれたから答えただけで、そんなに会話をするつもりなんかなかったんだよ!
あーもう、しかも、私、記憶の限りずーっと森の中にいただけなんだが?
前にしていたことなんか、
“森でずっと生活してました“
なんて言えるかっつーの!
ええー?なんかこううまい具合に…
「あ、あそこで…狩り…をして過ごして…いました…」
「狩り⁉︎いいなー、私も狩りとかして過ごして見たいなー」
おろ?そこのお嬢さん、もしかして、魔物たちを狩って食べたことが無いのでは?
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この世界には動物と魔物がいる。
動物は、人類に友好的であり魔力を使うことができない生き物などのことを示す。
逆に、魔物は、人類に敵対的であり、魔力を使い人類に害をなす生き物などのことを示す。
狩りは、主に魔物を狩ることを指している。
動物は、魔物より弱いため、生き残っているのは、大体が人類の管理下で生きている
さらに、魔物の肉は食べることができる。がしかし、大変美味なため、王室や貴族などの位の高い人々に大変よく好まれすぐに買い取られてしまうため庶民には余程のことが無い限り食べられない。
エドはそんなこと知る由もない。
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ほんとに、あいつらの肉はマジでうまい。
オークなんかマジでいくらでも食える。
しかもあいつら繁殖力半端ないから。倒して食って倒して食っても全然減らない。
あと、たまに出てくるミノタウロス、あいつもうまい、なかなか出会うことができなし、結構強いからあんまり手を出したく無い相手。でも、うまいから、ついつい手を出してしまう…
「ジュルリ…」
あ、ヤベ、色々思い出したら涎が…
と思っていると
「う、うわー!た、助けてくれー!」
「オークだー!オークが出たぞー!」
別の商人が悲鳴をあげた。
フォスが「オーク⁉︎」といっているが、私の脳内は…
オークだー!
噂をすればなんとやらだ!
肉が、肉が来たぞー!と、お祭り騒ぎである。
さて、狩りをしようとしたのだが、
フォスの実力を見てみたい。
何を思ったかそんなことを考えた。
フォスが「大仗!」と叫ぶと、どこからかフォスの背丈ほどの杖が出てきた。
そして、
「火球!」と叫ぶと、赤い魔法陣が杖の先に描かれ、そこから文字どおり火球が発射された。
なるほどね。これが、世間一般で言う<魔法>ね。だけど…
「グオオオォォォォ!」
オークは手に持っていた肉切り包丁でかき消されてしまった。
そう、この火の玉は、火が燃える三要素(熱、酸素、可燃物)のうち熱、酸素しか要素を満たしていない。つまり、単純な、最大瞬間火力で焼き切らなければならない。が、フォスの魔力では、そこまでの火力を出せなかったようだ。
「やっぱりダメだ…なら!水球!」
今度は、水色の魔法陣が出てきてオークの顔を覆えるぐらいの水球が発射され、オークの顔を見事に覆った。しかし難しいのはここからである。
なぜなら、その水の玉を数分間維持しつつ、暴れるオークの顔を覆い続けるためにずっと制御しなければならないからだ。
魔法とは、術者の体から出した魔力を火や水に変換して出しているものである。 そのため、それらが術者から離れれば離れるほど、制御、維持が難しくなっていく。
なら、オークの全身を覆えるくらいの水を出せばよかったのでは?と思うが、魔法の威力、大きさ等は、術者の魔力量による。フォスの魔力量はそこまで多く無いのだろう。
そして現在、フォスは遠くにいるオークの顔を覆っており、オークが暴れて顔の位置をずらすたびに位置を調整し、さらに、その形を維持する。それを行うには、それなりの技量と集中力が必要となる。しかし、フォスは、そこまでの技量が無い。
だから…
「あっ」
バシャッ
このように、術が安定せず壊れてしまう。
なるほどね、フォスの実力はわかった。
さて、そろそろ狩りをしていきますか!
エドが息をしていなかったのはイビキ等による無呼吸状態のためです。
思ってた以上に長くなった…
正直書いてる自分も混乱する…




