刹那
物心着いた時から私は、病弱で、ずっとベッドの上にいた。
ベッドの横にある窓からは、いつも子供たちが楽しそうに遊んでいた。
私は、羨ましいとは思わなかった。
なぜなら、これが日常だったからだ。
ある日、窓から外を見ていると、1人の男の子が窓に寄ってきた。
「ねえ、君。なんで外に出ないの?」
私は、この時、何て答えればいいのかわからなかった。
困った顔をした男の子が、
「君は、桜っていう木を知ってる?」
急に、そんなことを言ってきた。
「知ってるよ。だって、私の名前、サクラだもん。でも、本物は見たことない」
「え⁉︎そうなの?もったいないな〜。あのね、桜の木はね、すっごく綺麗な、君のほっぺたみたいなピンク色の花を咲かせるんだ〜」
この時、初めて外に出ている子供達が羨ましいと思った。
私には、お気に入りの絵本があった。
題名はもう忘れてしまったが。話しかけてきた男の子、ファルススがくれた絵本だ。
お話の内容は、世界をめぐる冒険者が、世界で一番綺麗な花を咲かせる、幻の木を見つける。というお話だ。
この時から、私は、冒険者になりたいと夢見るようになった。
少し成長して、体も少し強くなった頃、ファルススと、ヴェレナと一緒に外にいることが増えた。
でも、まだ遠出はできず。桜の木を見にはいけなかった。
その時、私は、強くなりたいと思っていた。
だから、両親に我が儘を言った。
「強くなるために、特訓をさせて」と
もちろん両親は、体がまだ弱いから、長い間動けないよ。と言ってやめるように諭した。
その時に私はこう言ったらしい
「なら、全て一瞬で勝負がつくくらいに強くなる」と
さらに数年後、特訓の成果は、実を結んでいた。
この時、すでにファルススとヴェレナは研究所に行っていた。
私には、武の才能があったらしい。
剣 弓 槍 柔
他にも、武器を持っても持たなくても、宣言通り、全て一瞬で勝敗を決めることができるまで成長していた。
この時の二つ名は「瞬速のサクラ」だったそうだ。
さらに時がたち、私は故郷を出て、バーシスの街に来た。
夢だった冒険者になった。
そこで、私の速度に磨きがかかった。
短時間の戦闘しかできないが、全て完璧に獲物を仕留めることができる。
Aランクに最も近いBランク
「刹那のサクラ」
これが私の冒険者としての評価だった。
ある夜、依頼を終え、街に戻ろうとした時、なぜか、森に入っていった。
危ないとわかっていた。だけど、森に入らなければならない気がしたからだ。
そのまま、森の中を進むと、開けた場所に出た。そこで見たのは、
月光に照らされた、満開の桜だった。
私はこの時、初めて桜を見た。
気づいたら、ボロボロと涙を流していた。
空には、天の川が流れていた
この次の日、私は冒険者を引退することにした。
体が弱いのに、今まで無理に体を早く動かしていたから、ガタが来た。
そんな理由だ。
でも本当は、桜を見たときに、
もう君は弱くない
そう聞こえた気がしたからだ
その後、私は冒険者ギルドのギルドマスターに抜擢された。
なぜだかわからない。でも、期待に応えようとした。
そして今、私のギルドマスターとしての最後の大仕事を任された。
おそらく、この一撃で、私の体はいよいよダメになるだろう。
だがしかし、これは、これだけはやらなければならない。
やるよ、ファルスス




