東の草原にて
ファルススの電話の後に、私、フォス、サクラ、ヴェレナは東の草原に向かって移動していた。
ファルススに東の草原で待っている。と言われたからである
『なあ、エド。いくらなんでもずっと宿に置きっぱなしなんて。ひどすぎるよ。しかもさ、急に来て急に持たれてさ、なんだよ全く』
「すまないね、カタナ。今日は、結構忙しかったんだ」
『せめて事前に説明が欲しかったけどな〜』
こんなことが起こるなら、今日は外に出ないわ!
そうそう、アキはというと、ファルススとの戦闘が起こる可能性があるので、ギルドでお留守番だ。
すでに、空は暗くなっていたが、急いで来て欲しいとファルススからの要望があったのですぐに移動することとなった。
「うわ!」
フォスが急に叫んだ。
「なんだ!」
「サクラさん!何か、ブヨブヨしたのを踏みました!」
「それが何かわかるか?」
「ちょっと待っててください。今、灯りを付けて見ます」
私は、フォスに駆け寄って、そのブヨブヨしたものを見てみた。
「これは……」
ヴェレナも駆け寄ってそれを見る。
「なんだこの、ペールオレンジみたいな色したやつは」
「なんだか、お肉の脂身みたいですね」
フォスがそう言った時、ヴェレナがハッとした顔で言った。
「これ、信じたくないですが……人だったものだと思います。」
ヴェレナの顔が悔しげに歪む
「よくぞこの一瞬で見破ったね!さすがは僕の弟だ!」
後ろから、拍手をしながら近寄ってくる男がいた。
「兄さん……」
「ファルスス……」
「あれ?サクラちゃんとヴェレナ以外の人たちは……あ!サクラちゃんの介護人か。いつもサクラをありがt……」
「そんなんじゃありません!」
おお、フォスさんや。よくぞ言ってくれた。
「え?そうなんですか?いや〜すみませんねぇ。私、早とちりなもので……それでなんですが。サクラちゃんをこちらに渡してもらえませんかねぇ?」
「無理な相談だ!兄さん」
「そうですか……なら、力づくで渡してもらいます」
そういうと、ファルススは、右手をあげ、その上に巨大な魔法陣を描いた
「目覚めよ」
すると、人だったものが膨らみ始めた。
「なに?」
「まさか…」
「これは…」
それが膨らんでいくと、だんだん人型になり、魔物の形になった。
おいおいおい、こりゃないだろ……
私1人でなんとかなるかな〜とか思っていたけど。そんなたなかったわ
ざっとみただけでも100はいるぞ
「クックック……私のこの魔法陣に反応して、ゴミたちが目覚めるようにしておきました。さあ、痛い思いをしたくなければ、サクラちゃんを渡しなさい」
あ〜もう、めんどいな
いいや
「伏せて」
私は、みんなにそういった後、カタナを抜いた。
「やるよ」
『あいよ!』
カタナを抜くと同時に、ありったけの魔力を込めて刀身を伸ばし、一回転して周りの魔物を一掃した。
「これが……雪狼の剣士……」
「あはははは……さすがだよ。エド」
そりゃどーも、と思いながら向かってくるそいつらを次々と切り伏せた。
『おい、これ人間だったらしいけど、大丈夫か?』
「もう、この人たちは、元に戻らない。だったら、せめて一息に」
『なるほどね』
「フォス!切り漏らしあったら処理しといて!」
「は〜い。ほい!大杖!」
フォスは、私が切り漏らした魔物たちを一体一体、水刃で次々と倒していく。
「フォスさん、もう少し、魔法陣に魔力を早く流せませんか?」
お?なんかヴェレナがなんかフォスと話している。
「え?ヴェレナさん。そんなことをしちゃったら、狙いが定まりませんが?」
「じゃあ、魔法陣を小さくしてください」
「そんなの無理ですよ〜。確かに、魔力を早く流せば威力は上がります。しかし、その代わり、精度が落ちてしまいます。だからと言って、小さくしろって言われても、今度は小さくすることで、魔法陣がぼやけて、魔力がうまく流れなくなってしまいますけど?」
「魔法陣は、どうやって書いていますか?」
「えっと、その魔法陣のイメージを魔力で書いています」
「その魔法陣のイメージを持ったまま、縮尺的に小さくできませんか?」
「今じゃなくても良くないですか〜」
「とにかくやってみてください!」
「あ〜もう!やってやるよ〜」
おお!なんか綺麗に小さくなっている!
フォス、言われたことをすぐできるタイプなのか。
「よし!じゃあ、このまま、魔力を流す速度を!」
「ええ〜い!」
すると、出された水刃が、2体同時に切った。
「すごい……私、こんなこと初めて」
「すごいのは、フォスさんの方です。こんな無茶振りみたいなことを、すぐにやっているのですから」
確かに、そうかもな。もし私が、これやれって言われても、すぐにできる気がしないな。
ま、そんなことしてたら、色々終わっちゃったよ。全部倒し切った。ふう〜これで大人しくしていただけるといいんだが
「ファルスス!大人しく、私に薬を飲ませる計画はやめて、お縄にかかってちょうだい!」
「なぜ?なぜだ?なぜ私の才能…努力…優しさを…なぜ誰も理解しない!」
何か、ファルススがぶつぶつと言い出した。
「いいや…理解しようとしないなら…理解させてやる!ほんとは、サクラちゃんとに飲ませるこの薬を飲んで、サクラちゃんを取り込めば…サクラちゃんは強い体を手に入れる!そして…僕と永遠にひとつだぁ…」
ファルススは、サクラに飲ませるはずであっただろう薬が入っている小瓶を取り出し、
小瓶の中身を飲んだ。
おいおいおいおい!
最悪のパターンだ!
ちくしょう!
おそらくあの薬は、完成版だ!今までの魔物は理性がなかった。しかも、普通の魔物よりも弱かった。だけどこれは、きっと理性を保ったまま、魔物よりも強い力を手に入れるだろう。
「兄さん!まさか魔物化するつもり⁉︎」
「魔物化?そんな下等なものになるわけないだろう?これは…そうだな?
人の形をしながらも、魔物以上の力を持つ存在……魔人だ」
ファルススが言い終わると、彼の体に少しの変化が起きた。
瞳孔と角膜が赫く染まり、結膜が黑く変わった。
「さて?サクラちゃん、僕と一緒に行こう」
ファルススが、消えた。
いや、目に追えない速度で移動したのだ。
気づいたら、ファルススは、サクラの前にいた。
ファルススがサクラに触ろうとした、ギリギリで、私は地面を踏み込み、サクラを抱えファルススから、距離を置く。
「あれ〜?君、速いね?でも…」
私の目の前に、狂気じみた顔があった
「僕より、遅い」
素早く、カタナをファルススの首めがけて振ったが、切った感触がなかった。
「それは、残像ですよ?クックックック、これ、言ってみたかったんですよね〜」
背中に、とてつもない衝撃が来た。
殴られたと認識したのは、地面に打ち付けられてからだ。
こりゃ、肋、何本か逝ったな
魔防具化した服でガッチガチにしてたけど、無意味だな
というか、強すぎる。
これどうやって殺すんだろ、サクラさんは?
そう思って、サクラを見ると、
「エド…3秒よ。3秒間だけファルススの動きを止めて」
サクラさんにそう言われた。
その目には、強い覚悟が見えた。
「無理かもしれないですけど?」
サクラを立たせながら言う
「大丈夫、君ならできるよ!」
「だといいんだけど」
フォスとヴェレナは、入ったら逝くな。
「エドさん!一瞬だけ、こちらに来れませんか?」
ヴェレナ〜、今サクラさんから離れたら、まずいのわかっていってる?
「ヴェレナさん、ちょっといいですか?」
え?フォスさん?なにする気?
「どっせ〜い!」
わ〜、ヴェレナさんが綺麗な放物線を描いてきている〜
フォス〜人は投げたらあかんで〜
まあ、ちゃんと掴みましたけどね?
「エドさん、少し痛みを和らげる魔法をかけました。少しはまともに動けるはずです」
「ありがとうございます」
『エド、さっさと3秒間止めるぞ』
「応!」
さあ、決着をつけようか?




