17 後始末(前)
悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きで、読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
後2話で完結です。
もう少しです。最後までお付き合いいただければうれしいです。
よろしくお願いします。
礼はダグラスを追って部屋の奥へ進んだ。
小さなドアがあり、開いている。
非常口で建物の裏の地下駐車場につながっている。
ダグラスは自分の車のところまで走っていくと、震える左手でポケットからキーを取り出そうとする。
右手は欲しくて欲しくてたまらなかったセレスシャルの髪を数本握りしめているのだ。
開くわけにはいかない。
左手で不器用にポケットを探っている時、肩をたたかれた。
人の気配がしなかったのにと驚いたダグラスが振り向くと、同僚の研究者ジャックが立っていた。
「どうしたんだ、あわてているようだね」
「ああ、すぐに行かなくてはならない……」
ダグラスが答えると、握りしめたままの右手を見てジャックが言った。
「それ、返してもらえるかな?」
ダグラスがさらに驚いた表情で右握りこぶしをジャックから隠すように自分の方へ引き寄せる。
ジャックは素早くダグラスの右手首をつかむとそのままひねり上げ、組み伏せた。
「娘のものなんでね。返してもらうよ」
そこへ礼が走ってくる。
「スパロウ! ありがとう!」
「押さえてるから、礼、君がアキラの髪を回収して」
ダグラスの手のひらを開かせ、礼がきらきら光る髪の毛を注意深く回収していく。
「12本も! アキラ痛かったでしょうに……」
スパロウはダグラスの両手首を背中側に回し、持っていた細いロープで拘束するとその場に転がす。
「もう連合が政府の中枢を制圧したよ。間もなくここにもアスランが到着するだろう。
私は姿を消す。後は頼んだ」
立ち上がったスパロウに礼が声をかける。
「あなた、シリウスなの?」
スパロウは無言で背を向ける。
「ごめんなさい。娘という言葉が聞こえたの。
アキラは今、身体の変化を迎えて不安に思っていることもあると思うの。
ちゃんと会って話をしてやって!」
礼の言葉にスパロウは振り向くと言った。
「すまない、アキラには内緒にしておいてくれ。
小さいうちから離れているもので、親子として会うのが気恥しくてね。
ただ、必要な時には父として、シリウスとして会いに行くから。それまで、礼、アキラのことを頼む」
「わかったわ……」
礼が答えると、スパロウは去って行った。
◇ ◇ ◇
礼が地下の部屋に戻ると、ヴェスがヘンリーとビルを縛り上げていた。
「アキラ、髪は取り返したわ!」
「ありがとう、礼!」
「私がこの場に残るから、あなた達は撤収して」
ヴェスが乗ってきたバイクで礼と泊っているホテルに戻ることにした。
本当ならば元国王家に服や備品を取りに戻りたいところだが、ヘンリーの件にどこまで元国王家の人々が関わっているかわからないため、用心することにしたのだ。
読んで下さりありがとうございます。
次は最終話。
少し長くなる予定です。頑張ります!




