表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

17 後始末(後) 《完》

悪役令嬢や聖女の話が大好きで自分でも書いてみたくなり、2作目はSFものになりました。

でも、『セレスシャル』という聖女っぽい宇宙人設定を盛り込んだ話になりました。

異世界好きな方でも楽しめる話になったと思います。


これで最終話です。

最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

 ホテルに着くとやっとカラーコンタクトを外すことができ、ほっとした。

 作業着の予備があるので着替えようと取り出して、アキラの手が止まる。


「ヴェス、バスルームに行っててくれない?」

「なんで?」

「着替えたいけど、バスルーム狭いからここで着替えたい」

「わかった」


 ヴェスがバスルームに入りドアを閉めてくれたので、アキラは手早く着替える。

 バスルームのドアを軽くノックし「もういいよ」と声をかけた。


 バスルームから出てきたヴェスはアキラの姿を見てうれしそうに言った。

「いつものアキラだ」

 

 そして、抱きしめてキスをしようとしアキラに抵抗される。


「まだ仕事中です!!」

「仕事中じゃないならいいのか? さっきは?」


「あれは、ヘンリーにあきらめさせるための……だったんだろ?」と真顔で答えるアキラ。


「いや、ただキスしたかったから。少しはヘンリーの心を折りたい気持ちもあったけどな。 

 なあ、仕事中じゃなければいいのか?」

「な……、う、うん……、まあ、仕事中でなければ……」


 その時、部屋のドアがノックされた。


 ヴェスが身を低くしてドアに近づき、アキラに部屋の奥へ下がるように目配せする。


「はい、何か用ですか?」


 ヴェスが低い声で返事をする。


「ヴェスか? パパだよ~!」


 アスランの声が聞こえて、ヴェスが大げさにがっくりして見せてからドアを開けた。


「何?」

「いや、礼に、心配だから追っかけるように言われて、さ。

 アキラ、大丈夫か?

 元国王家の方はもう捜査は終わって、ヘンリー以外は白だと判明したよ。

 連合の方もこちらに協力してくれていた元国王家の次男ということで、ヘンリーの思想や傾向までは特に気にせず調べてもいなかったそうだ。今までの接触でも気になることもなかったそうで……。

 調査不足で危険に晒してしまい申し訳ないと謝られたよ。

 礼の証言でヘンリー、ビル、ダグラスは拘束されたから安心しなさい」

「それは良かったです。

 ソフィーさんの所に行っても大丈夫ですか?」

「大丈夫! 

 ヴェス、一緒に行ってやって!」

「言われなくても一緒に行くよ!」


「……出かけるなら大丈夫だな、俺は戻るな!」

「何が大丈夫なんだよ? 」


 ヴェスが怪訝そうに聞き返す。


「ふたりっきりが危ないってことだろ? 

 礼が昨日ふたりを焚きつけるみたいなことをしたから、ヴェスが暴走しないか心配だと言ってた。

 そうそう、礼、何したんだ?」




   ◇ ◇ ◇




 話を聞きたがるアスランには持ち場に戻ってもらって、ヴェスのバイクで元国王家の屋敷に向かった。


 ソフィーがアキラの顔を見るなり「ごめんなさい、アキラさん。ヘンリー兄様がなんてことを!」何度も謝ってくれた。


 中へと招き入れられたがお断りして、玄関で話をすることにした。

 汚れを払いできるだけきれいにしたアーサーの礼服を返し、ソフィーの部屋に置いてもらっていた荷物を持って来てもらうことにした。


 荷物を待っているとウィリアムが走ってきた。


「アキラ! また来たの?」

「もう太陽系の方に帰るので、最後のあいさつに来ました」とアキラが返事をする。


「もう帰っちゃうのか。また来てね!」

「はい、ウィリアムも元気でね!」


「こいつがウィリアムか……」


 後ろからヴェスの小さな声が聞こえた。


「こいつ誰?」  


 ウィリアムがヴェスに気が付いて言った。


「俺はヴェステラント、アキラの婚約者です!」

 

 アキラが目を見開いてヴェスを見た。

 

 おいおい、子どもに何言ってんじゃ?


「そうか、ヘンリー兄様が帰ってきたら教えとく。アキラにはもう男がいるって」


 ウィリアムが重々しく言った。


 そうか、まだウィリアムにはヘンリーが捕まったことは伝わっていないんだな……。

 その時、ソフィーが荷物や箱を持って来てくれて受け取る。


「アキラさん、本当にごめんなさい。私達のことを本当に心配してくれていたのに……。

 礼さんにもお礼と謝罪をお伝えください。どうもありがとう。さようなら」


「ソフィーさん、お世話になりました! また、お会いする時があるかもしれません! 

 それまで、さようなら!」


   


   ◇ ◇ ◇



  

 ホテルに戻ると礼が戻ってきていた。


「隣の部屋を取ったから、寝る時、ヴェスはそっちに行って!」と言いながら、部屋に入れてくれた。


 礼の話を聞く。

 報告はアスランから聞いた内容とほぼ同じで、これからのことを確認した。


 明日、出国ゲートから母船に戻る。

 母船は本社のスタッフが留守番をしてくれているとのこと。


 私達が戻ればスタッフは近くに待機している自分の船に戻るそうだ。


 今夜は出国のための仕度をしなければならないが、前回の時のように隠したり気を付けたりすることもないのですぐに仕度も終わるだろう。


「礼が私の上着に入れてくれたこの発信機。地下でも受信できた?」

「あー、これ、かなり強力で広範囲まで発信できるんだけど、あの時は建物に入った直後に受信できなくなってかなり焦ったわ。

 でも、あの建物の中で消えたから、発信機が壊されたか、または地下では? と見当を付けて探したの。ヴェスがメガネを見つけてね。奥の部屋の近くに行ったらまた受信できるようになって……」

「ヴェス、見つけてくれて、ありがとう。

 地下に下りた時、受信できるか心配になって、メガネを落としたの。

 ビルは気にしたんだけど、ヘンリーは急いでてそのままにしてたから助かった!」


「ビルね。護衛の素質ありそうだと思ったんだけど、ダメだったわね」



 

   ◇ ◇ ◇




 次の日の朝、それぞれ自分の乗り物(アキラとヴェスはバイク。礼は車。)に乗って出国ゲートに向かう。


 出国ゲートの審査担当はやっぱりというか色違いだった。


「連合が来て上の方は大騒ぎだけど、こちらは変わらず業務を続けるだけだからな。

 お前達もそんな時に居合わせるなんて災難だったな。

 まあ、レムリアはこれからいい国になるだろうから、また来てくれ!」


「これお返しします!」


 アキラはにっこり笑ってバイクに仕掛けられていた発信装置を差し出した。


「気が付いてたんだな。いや、これも仕事で、大変申し訳なかった!」


   


   ◇ ◇ ◇




 やっと自分達の母船に戻ると、心の底から安心することができた。

 留守番をしてくれていたスタッフにお礼を言い送り出す。


 コントロール室に3人集合する。


「さて、帰りましょうか! ヴェス! 最初は頼んだわよ!

 アキラは部屋で休みなさい。私も自分の部屋で報告書作るから!」

 

 アキラが自分の部屋に戻るとベッドの上に見覚えのある包みがあった。


「あれ、これって……」と怪訝に思いながら開けるがすぐに閉じて、礼の部屋に行くと突き返す。


「あのさ、社長に焚きつけるようなことしたから心配だって言った人が、なんでまたこういうことするかな?!」

「言ってたお詫びプレゼントよ。前のと違うデザインと色にしたけど、気に入らなかった?」

「そーいうんじゃなくて!」

「返すなら返していいよ~」

「……う。もらっとく……。何かこれ使って企んでそうだから。返さない」

「……だいぶ勘が鋭くなったわね」

「何これ、修行なの?」

「早く休みなさい! 無事に太陽系に到着すれば、ヴェス念願の休暇よ~!

 仕事中でなければいいんだよね~!!」


「は、なんでヴェスが……。あ、あの上着の発信機でホテルでの会話聞いてたのか!!」




   《完》

最終話まで読んで下さりありがとうございます。

 

高校生の時は重い出生の秘密設定をアキラ親子に課してしまい、悲劇的な感じになってどうにもならなくなり未完となり放置してしまいました。


今作はアキラとヴェスの恋愛を中心に書いたら話がうまく転がってくれました。

私自身書いててとても楽しかったです。


評価や感想を頂けたらとてもうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ