16 何も起こらないわけない(中)
悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きで、読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
一番盛り上がるところ!と思い、頑張って書きました。
後もう少しで終わります!
最後まであきれずにお付き合いいただけたらと思います。
「離せ! なんだよ!」
ビルに腕をぐいぐいねじ上げられて、いやでも歩かざるをえない状況。
連れていかれた先の建物に入る時、アキラはやっぱりと思った。
「なんで研究所の建物にっ!」
抵抗するが、とうとうビルに抱えあげられてしまう。
研究所の奥の方の棟で周囲に人の気配はない。
そのまま、階段を下り、地下1階を奥の方へと進んで行こうとする。
地下はちょっとまずいかも!!
アキラは暴れてメガネを階段の方へ飛ばした。
ビルがアキラを抱えたまま立ち止まりメガネが落ちた方向に視線をやるが、ヘンリーに急かされ、また奥へと進み始めた。
一番奥の部屋の黒く重そうなドアをヘンリーが開けた時、嫌な予感が的中したことがわかった。
想定内の範囲だが、一番最悪なパターンだ。
「連れてきました! ダグラス先生」
ヘンリーの言葉に椅子から立ち上がってこちらを向いたのは、あの仮面のような顔の男、ダグラスだった。
「お前か!! おい、ヘンリー、ふざけんなよっ!」
アキラが再び激しく暴れるが、ビルは力を緩めず、部屋の中央の大きなテーブルのようなところへ近づいていく。
テーブルに見えたのは固いベッドのようなもので、手かせ足かせがついてるのを見てアキラの顔が引き攣る。
「……やめ!!」と言いかけたところでビルにベッドの上に降ろされる。
「上着を脱がせろ」とダグラスが言い、ビルとヘンリーがアキラを押さえつけて上着を脱がすと、部屋の隅に放り投げた。
「それでいい。上着は破きにくいがシャツぐらいなら後で破って取り除けるからな」
「何、気色悪いこと言ってんだよ。離せ!」
アキラの右手が手かせに固定されたところで、もう逃げられないだろうと判断したヘンリーが話し始めた。
「ウィリアムには感謝だよ。君の話を聞いて、セレスシャルが目の前にいることに気づけたんだから」
「最初から、オレを誘い出すための依頼だったのか?」
「ああ、君を誘い出すためにソフィーを出席させるつもりだった。
ただ、ソフィーは何も知らないから、ちょっと面倒だなとは思ってたんだ。
そこを君が素晴らしい提案をしてくれたものだから、本当に感謝だよ」
「ダグラスとグルだったとは……。
目的は研究のための生物サンプルか?
血ぐらいくれてやるから、採血したらさっさと離せ!」
「血だけじゃないよ。君の存在、セレスシャルが私には、王には必要なんだ。
君が私のものになることで、私は王として認められる……。
王族として生まれたのに、それを取り上げられていたと知った時の無念さがわかるかい?
父も兄も王という称号に未練はないようだが、私は違う!
私は王になるべき選ばれた男なんだよ」
ヘンリーの声がだんだん大きくなり、語調が熱を帯びてきて、それを聞いているアキラはぞっとする。
こいつも、やばい奴だった。
転がるものが近づいてくる音に気が付きそちらを見ると、ダグラスがサンプル瓶や注射器が乗ったワゴンをこちらに押してくるところだった。
「まず血を頂いて、それから髪。唾液と口内細胞も頂こうか……」
うれしそうに眼が開いていて、言っている内容との相乗効果で不気味さが増している。
ヘンリーがアキラの左手も手かせに固定し、金髪のウイッグをゆすって乱暴に引っ張る。
ウィッグが外れて緑がかった銀色の地毛が現れた。
「素晴らしい……」
ダグラスがアキラの髪に手を伸ばすと、ヘンリーがその手を制止する。
「ヘンリー?」
訝し気なダグラスの声。
「私のセレスシャルに許可なく触れないでいただきたい。サンプルは私が取る」
ダグラスが一瞬にして目を細める。
「君が? 君のセレスシャル?」
「そう、私の、レムリア王のセレスシャルだ」
仲間割れ?
ダグラスもうちょい粘れ!
アキラは気持ち悪いと思いつつ、ダグラスを心の中で応援した。
とりあえず時間を稼がなくては!
部屋の隅に放られた上着を見る。
たぶん礼がポケットに入れてくれたのは音声機能もある発信機だ。
礼が受信機を持っているなら、位置とこちらの会話も聞こえているはず。
不安なのはここが地下だということ。メガネに気が付いて同じ地下の階で探してもらうことができれば……。
ダグラスが不満気な声で言った。
「わかりました、レムリア王。それでは私の言う通りサンプル採取をお願いします」
ダグラス、もうあきらめたのか!!
やっぱ、お前絶対許さん!!
ヘンリーが「ビル、押さえろ!」と言った。
アキラは近づいてきたビルの顔を狙って蹴っ飛ばす。
ビルは蹴りを腕でガードしながらアキラの右足をつかんだ。
「固定する前にズボンを脱がせろ!」
「!! この、変態!!」
アキラは叫んでもがくが、ビルとヘンリーのふたりに押さえ込まれる。しかも両手はすでに固定されているためそれ以上動けない。
両足の靴が脱がされたのがわかった。
ズボンに手をかけられ、ベルトを外される音に恐怖が全身を駆け上がってくる。
「やだ!! やめろ!! 離せ! ……助けて! ヴェス!! ヴェス!! 助けて!!」
最後は絶叫していた。
ドアがすごい爆音とともに倒れる。
ビルとヘンリーがアキラの上にかがみこむようにして爆風を避ける。
「この変態どもが!」と礼の声。
「アキラから離れろ!」とヴェスの声。
良かった、助かった……。
「ヴェス! 礼! 手かせをされてて動けない!」
アキラのその言葉にふたりが逆上した。
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!




