11 呪縛からの脱却
悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きで、読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
ふたりっきりで過ごす、わちゃわちゃな話がちょっと続きます。ふたりともかわいいので書いてて楽しいです。
最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
よろしくお願いします。
ヴェスがいつもと違う。
アキラは混乱した頭で考えながら、ノーマルスーツを脱いでロッカーにしまった。
そういえば、バイク通話の時も変だったな?
なんかあったのか?
とりあえず、今はさっさと仕事の話をしなければ!!
「バイクに載ってた集荷、倉庫に入れてくれた?」
いつもの感じを意識しながらコントロール室へ入る。
「ああ、収納しといたよ」
「ありがと! それから、これ」
アキラは作業着のポケットから研究所でおじさん研究者から渡されたハンカチを取り出し、ヴェスに渡す。
ヴェスがハンカチを広げて、光にかざすと、隅の4ヶ所の色が模様のように微妙に違うのがわかる。
「4枚、連絡通りだな」
「紅茶こぼしてハンカチもらうだけのつもりが、あんなことになるとは……。
でも、最低限の接触でお互い名乗ってないし。
これから半日かけてサウスに移動しないとだけど、内容だけでも早めに本社に送っちゃって!」
「今やる」
ヴェスがハンカチからマイクロフィルムを丁寧に取り出していく。
「スパロウのおっさん、元気だったか?」
「うん、元気そうだったよ。でも心配かけちゃったな」
「例の変な男だよな。調べておいたから後で話そう。少し休んでてくれ」
「ありがとう」
おお、なんか自然に話せているんじゃない?!
アキラはうれしくなり機嫌よく自室に戻る。
船内のタブレットに礼からの指令が来ていたので礼の部屋に行き、必要なものを取り出してパッキング。バイクに載せるところまで済ませてしまう。
しかし、ウィッグとか持ち込むの、色違いに変な顔されそうだな……。
なんか説明を考えとかないと……。
キッチンでお茶を入れるとコントロール室に戻る。
ヴェスがちょうど椅子に座りながら背中を伸ばしてストレッチをしていたところだった。
「終わった?」
「少し前に。すごい量だったよ。本社の情報衛星じゃなかったらもっと時間かかったと思う。
さすがスパロウのおっさん。
これだけ揃ってれば、連合もそろそろ動くんじゃないかな?」
テーブルにカップを固定するとヴェスがこちらにやってきた。
カップを手に取り一口啜ると「うまい! 入れてもらったお茶はうまいな……」としみじみと言った。
「そんなにひとりが寂しかったの?」とあきれたように言うアキラ。
「寂しいって、俺言ったよな、通話の時」
「うん、言ってたね」
アキラもお茶のカップを手に取る。温かさが手に伝わりほっとする。
「……ごめんな」
ヴェスが急に真顔で言うのでアキラは驚く。
「何が?」
「俺のせいだよな。アキラが男のようにしているのって……」
「何? どうしたの?」
「ひとりになって、いろいろ考えた……。昔のこと、アキラのこと、俺自身のこととか……」
「昔のことか……。
もう私はそこまで引きずってないよ。ヴェスが助けてくれたから。
まあ、似たような雰囲気を持つ奴が近づいてくると、拒絶反応が出るけど……」
「……私?」
「あ、オレだ! なんでだ! ごめん。たぶん昔の話、したからだ!」
あわてて早口で言い訳するアキラを見て、ヴェスは少し悲しそうな表情をする。
「ごめんな。アキラは強く成長していってるのに、俺だけ立ち止まってて悪かった……」
「そんなことないよ! うん、ヴェスは悪くない……」
沈黙……。
お互い話し出そうとして、タイミングが被り、また黙り合う。
ヴェスが意を決して話し出そうとした時、通信の音が鳴った。
チップとかフィルムとか自分で書いててはっきりしないのですが、この世界ではフィルムは電子機器ではないので妨害目的の磁力や電波の影響を受けにくく改竄できないもの=証拠になるという認識です。
チップは日常的に使いやすいが中の情報が壊れることがあるという感じ……。
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!




