10 とりあえず一度戻る
悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きで、読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
今作は宇宙が舞台ですが、内容は恋愛&冒険ものみたいな感じです。
折り返し地点は過ぎました。
後はばらまいたものを忘れずに回収しながら最後まで走りたいと思います。
最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
よろしくお願いします。
「では、明日の朝一で、アキラは母船へ戻り、次の日にまた入国でいい?」
礼がタブレットとにらめっこしながら言った。
「うん、ヴェス、今ウエスト待機だよね。今からノースに移動開始できるかな?」
「大丈夫よ。今連絡したらOKの返事がすぐ来た。それに応援も来るそうよ。
ちょうど式典のある3日目の朝には到着予定なので、ヴェスも動きやすくなると思うわ」
「んで、礼の部屋から持ってくるものリスト、オレのタブレットに送っておいて……。
でも……、やっぱり、大学っつうか研究所……、行きたくないんだけど……」
「だから変な男に見つからないように変装するんでしょう!
アキラの髪は染まりにくいし、ウィッグつけるしかないでしょう!」
「そこまでして……。あ、ヴェスと変わろうか?」
「アキラ指名の依頼なんだから……わかってるわよね」
新しい依頼というのはヘンリーからのものだった。
3日後の午後、大学で式典があり元王族2名の出席が求められている。
今までの事故やソフィーの事件のことを考えると両親はとても参加させられない。
ヘンリーとソフィーで相談した結果、このふたりで参加することに決めたそうだ。
ヘンリーは自分についてくれている信頼できる運転手を同伴するという。
しかし、ソフィーの付き添いが決まらず、仕事として依頼できるならば、アキラと礼に警護をしてもらいたいという内容だった。
ヘンリーはユーシップカンパニーについて調べたようで、荷物の配送だけでなく、人に関わる業務(警護や旅行の計画、運転手、付き添いなど)もやっていることを知り、礼に直接、依頼してきた。
表向きは配送業務担当の3人(しかも1人は宇宙待機)なので、一度は断ったようだが、不在だった一番上の兄エドワードからも再度依頼を頼みこむ連絡が入ったという。
「エドワードって、政治家として人気が出てきている人だよね」
「そうね。最初はエドワードが出席すると言ってたようだけど、周囲に止められたそうよ」
◇ ◇ ◇
次の日の朝、アキラは母船に帰る準備をしていた。
「アキラ、ぎりぎりまで付き添うから!」と礼。
「うん、とりあえず検問を出て出国チューブに入ればこっちのもんだもんね」
「ヴェスによろしく伝えといて! ちゃんと次の日戻ってくるのよ!」
◇ ◇ ◇
出国のために早めの朝食を済ませ、ノーマルスーツを着込んで検問所に行くとあの色違いの男がいた。
「あ、色違い!」とアキラが声をかけ、礼が「やめなさい!」とアキラの頭を小突いた。
「出国だな。うん? また明日入国予定となってるが……?」
「ここで依頼を受けたので、一度母船に戻って必要なものを取ってきます」
アキラの言葉に続けて礼が説明を加えていく。
「レムリア元国王のご家族様から警護の依頼がありました。そのため、在留予定を変更して申請し了承済みです」
色違いが頷く。
「ソフィー嬢の事故のことがあるし、元国王様もご心痛だろう。
予定変更の許可も出ている。問題ない。おい、お前、気を付けて帰れよ」
「あ、はい。ありがとうございます……」
アキラはきょとんとしている。
色違い、そんなに悪い奴ではないのか??
バイクに積んでいる物を見せるように言われるが、配達後に集荷した物もほとんど国が後援している企業の物品であり、バイクの備品は入国時に詳しく調査済みであったため、物品検査もすぐ終わった。
「早っ!」
「アキラ、気を付けてね!」
礼と別れ、バイクに乗り込むとバイク内カメラをオンにし、モニターをチェック。異常なし。
「異常なし。これより出国チューブに入る」
◇ ◇ ◇
あっけないほど何も起こらず、ウエストの待機ポートまで無事到達。目の前に懐かしい母船が見えた。
懐かしいと言っても1日ぶりか?
昨日は、何かいろいろありすぎた……。
母船の格納ハッチが開き、無事にバイクを船内に停め固定すると、アキラは大きく息を吐いた。
ベルトを外しながらバイクのシールドを開け、たら人影が目の前にあってびっくりする。
「うわっ! 誰?」
フェイスシールドをこんこん叩かれ、ヴェスだとすぐわかる。
急いでフェイスシールドを解除して外しながら「びっくりさせんじゃないよ!」と言いかけているところでヴェスが抱きしめてきたので、アキラは動きを止めてしまう。
「おかえり、アキラ、無事で良かった」
「……ただいま、ヴェス」
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!




