004_死んだ魚の目
転生?して1週間が経った。
役場の爺さんは俺の知能が覚醒したのを把握したらしく、教材を選び直している。
まぁ高卒とはいえ日本の教育は素晴らしいだろう。
この世界の学校、もといアカデミーは限られた人間の通う場所であって、義務教育みたいなものは存在しないのだ。
多くの平民は親から家業を継ぐか、冒険者になるかが殆ど。
知能というか算術くらいしか役に立たない気はするが、それでも大きなアドバンテージと言える。
現状、この日常を俺は結構楽しんでいる。
非日常ってのもあるが、やはり同年代の友人と遊べるのが楽しい気がする。
高卒でプログラマになった時は、18才のままSES企業に入社した。
だが俺のように若い人間が採用されるのは珍しい出来事であって、入社から退社するまでの2年半の間、俺には後輩はおろか同期もできなかった。
うむ···やはり年の近い人間が周囲にいた方が楽しいようだ。
友人の弟をよく可愛がって過ごしている。
充実した生活を送りエンジョイしていると思っていたようだが、レオンの母エマはそう思わなかったみたいだ。
「レオン、最近元気ないね?」
流石親だ。何かしら察しがいい。
俺自身楽しんで過ごしていたとはいえ、前世の人間は死んだ魚の目をしていたのだから、乗り移れば元気もなくなるだろう。
同じ頃から友人たちにも言われ始める。
「レオン、最近元気ねーよな!」
「ああ、父ちゃんが昨日捌いた魚より目が死んでるぜ!」
「私のこと好きって言ったのに、なんで最近遊んでくれないの?」
「最近のレオン兄ちゃん、あまり笑わないね...」
悪いな君たち。俺の精神年齢では君らの気持ちに共感しきれないんだ。
見守るのは楽しいけど、一緒に100%楽しむのは無理そう。




