003_レオンの1日
目覚ましもなくレオンが朝に起きれる理由は、母さんが井戸で水汲みをする音が家の外から中へ、そこそこ大きく聞こえるからだ。
なんて薄い外壁だ。レ○パレスか。
寝巻きから着替え、部屋を出て食卓へ座る。
パンと昨夜に作られ、冷めたスープを食べ始める。
同室で寝ていた姉も遅れて起きてきたようだ。
そもそもレオンが先に起きるのは、早く起きないと姉にパンを食われるからだ。
かといってレオンが姉のパンを奪えるわけでもない。
3才差で育つ姉弟の関係なんてこんなものだ···
前世では3才差の妹がいたが、喧嘩をして親から大目玉を喰らうのは兄こと矢切だ。
男はつらいよ···
家庭の不条理をダブルで嘆きながら食事を終え、御使いの背負子を背負い村へ出る。
日課を済まさなければならない。
俺が持って回るのはうちで採れた野菜だ。
黄色いトマトもどき、緑の人参もどき、赤色の大根もどき。
前世とは似て違う様相の色とりどりの野菜を、各家庭に届けて回る、そんな手伝い。
そういえばこいつら全部同じ時期に収穫できるのかよ。
年中育つのか?農家の息子だが何も知らない。
親の仕事に全く興味を示さないところは、レオンも似ているな。
野菜を配り終わった後は、そのまま村の役場へ入る。
俺はここで勉強したり、役場の仕事を2時間ほど手伝う日々を過ごしている。
役場には村の為の魔導具が置いてあり、利用許可を取れば村の為に使える。
魔物避けの結界であったり、都市へのテレポートであったり。
しかし動作には魔力が必要であり、魔力を持つ人間は稀に生まれるものだ。
だから王政は各役場に魔力を持つ役人を配置しているのだが、俺にも少しばかり魔力があったらしい。
少しばかりってのは、毎日少しずつ魔力を貯めて魔導具を動かせるって程度だ。
俺は世代交代要員として丁度よかったわけで、農家を継がずに公務員になるよう、村中が満場一致で決めたのさ。
だから魔導具に魔力を足したり、役人に必要な知識や教養を爺さんから教わるのが俺の仕事になるわけだが、算術はもう余裕だな。
歴史とか地理はおいおい覚えていかないと···
役場での2時間が終わった後は、友人と遊ぶ時間だ。
22才が鬼ごっこして楽しいのかと思ったが、普通に楽しかったな。
社会人も鬼ごっこした方がいいよ、マジで。
日が暮れる頃に皆家に帰り始め、俺も帰宅する。
家族が揃って食事を取るのは、夜だけだ。
暖かいスープを飲めるのも夜だけだ。
父母姉と他愛のない話をして食事を終え、明日配る野菜を父の荷車から見繕っておく。
寝巻きに着替え、蝋燭が消され、皆眠り始める。
レオンの1日が終わったな。
前世に比べれば緩い1日だった。まぁ子供故、魔法のある異世界故だろうけど···
少なくとも、今のままなら人生やっていけそうな気がしてきた。
怠慢ゆえに人生を終えてしまったけど、異世界ではもう少し頑張れる気がする。
おやすみ。




