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002_死の瀬戸際

「...て  ...オン  起きて!レオン!」


朝が来て、夢から醒める。

誰だって経験したことがある感覚だろう。

夢の中って平素の自分じゃ取らない行動をするあたり、別の自我で動いてるみたいだよな。

だが夢を覚えたまま起きれても、すぐ普段の自分に戻るだろう。

夢なんて数時間の経験に過ぎないから、これまでの自我が勝るわけだ。

じゃあ···もし22年の夢から醒めた時、自我はどちらが勝るのか?


「ルーカス!レオンが起きたわ!」

そうだ...俺はエリーを庇って毒矢が左膝に...

泥酔したかのような意識の混濁と、傷の痛みを全身節々から感じる。


「今ミシェル達がベースキャンプまでヒーラーを呼びに行ってるから、安心して!」

上体を起こしてもらい、水筒の水も飲ませてもらった。

だが吐き気を伴って戻してしまった。


「水は飲まない方がいいのかな...」

「ごほっ、ごほ! 壁に寄らせてくれ...」

洞窟の壁に背をもたれ掛け、一息ついてから水筒を自分で飲み直す。


とても不思議だ。

飛び降りで楽に死んだ筈なんだが、傷と毒に蝕まれ苦しめられている。

これは矢切好真から見た状況だ。


だが唐突な状況だと感じているわけでもない。

17年間、俺はレオンとして生きてきた。

色々あって冒険者となり、普段のメンバーで依頼に挑み、今日は運悪く負傷した。

それだけの状況だ。


気を失っていた間に見ていた、自分の人生より長い夢。

意識を取り戻した時は、クラクラした頭が一層混乱した。

さっきのは...夢なのか?

夢という言葉で片付けるには、かつてない体験だった。

22年という長い時間一人の人生を歩み、そして自ら命を経った。


前世...ということでいいのだろうか?

17年生きたレオンとしても違和感を感じないし、22年生きた矢切好真としても違和感を感じない。

人格が全く違和感なく統合され、とても不気味だ。

どっちかというと好真ベースで統合されたか...?

生きた年数より夢の年数が多いと、こうなるのか...


「レオン、大丈夫?」

「ああ、まぁ具合は悪いけど、死ぬ前にはヒーラーが来るだろ。」


膝に矢を受けたところまでは記憶がある。

ゴブリンのことだし毒が塗ってあろうとは思っていたが、予想通りだったな。

あの後石礫を喰らったんだろう。頭から血が少しが流れてる。

クソゴブリンどもめ...

まだカサブタで塞がってないし、そんなに時間は経っていないようだな。

この短い間に22年を生きて終えるとは。

不思議だ...


程なくしてメンバーのミシェル達とヒーラーが到着し、俺は峠を越えた。

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