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アラサーからのダンジョン探索~英雄は目指さない。マイペースに遊びながら稼ぎます~  作者: 迷子
第三章 はじめましてマイ・フェア・レディ

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第120話 新年会①

 さて、場所はいつもの公民館の体育館。

 集まった面々を前にして、俺は姿勢を正して挨拶をする。


「皆さん、明けましておめでとうございます」

『おめでとうございます』


「今年もよろしくお願いします」

『よろしくお願いします』


 皆揃って、ペコリと頭を下げる。

 普段乱暴な人も、こういう挨拶の時はしっかりとする。実に日本人らしい。


「さて、今年初の小畑会集会となりますが、なんでもミライさんと天城さんが【種族進化】したそうですね。早くも第一号、二号が現れて嬉しく思います」

「チッ、あと一週間あれば俺だって【種族進化】してたってのによぉ……」

「天城の爺さんはともかく、ミライは駄目だろ。一番先を越されちゃいけない奴をいかせてしまった……」


 トシさんは不機嫌そうに舌を打ち、世永さんは憂鬱そうにぼやいた。

 まぁ確かにな。抑止力が揃ってないのに、ミライさんに頭一つ抜かれるのはちょっとな。

 自衛隊や協会、暴力団に匹敵する新たな勢力になりかねん。面倒になるぜこいつぁ……!


「ところで、トシさんは一週間あればって言いましたけど、【種族進化】の条件は分かったんですか?」

「ああ。とにかくレベル50に到達することだ。ババアのメンバーと天城の爺さんが揃ってそこで進化しているから、まず間違いねぇ」


 なるほどね。キリがよくて分かりやすい。トシさんがハッキリと言いきるはずだ。

 レベルを上げるだけでいいなら、小畑会のメンバーは誰でも【種族進化】できることになるな。時間が経つにつれ、どんどん増えていくと思うとワクワクしてくる。


「でも、逆に言えば一ヶ月で二組だけしか【種族進化】出来なかったのか。今回の遠征メンバーはまとめて【種族進化】してもおかしくないかな~、と思っていたんですが」

「獲物の取り合いになっちまったからな。いくらダンジョンが広いとはいえ、これだけの数が同時に同じ階層を探索していればな」

「仲間同士でスライムの取り合いになるんですよ。そうなるとほら、必然的に他人を出し抜く人が上を行くというか……」


 タケさんとマサ君が詳しく教えてくれた。

 納得した。そりゃミライさんが真っ先に進化する訳だわ。

 天城さんはソロだから、その分、経験値を独占して進化できたという訳か。


 語られてないだけで、熾烈な戦いが起きてそうだな。頼むから仲間同士で殺し合いだけは避けてくれよ?


「で、そのミライさんと天城さんがいないのはなぜです? 遅刻ですか?」

「いえ、小畑さん達へのお披露目の為にスタンバっているだけです。呼べばすぐに来ますよ」

「さいですか……」


 また下らん遊びを。まぁ楽しそうだからいいけど。


「ですが小畑さん、気をしっかりもってくださいね。天城さんはともかく、ミライさんはまずいですよ」

「まったくだ。アイツに出し抜かれるのはしょっちゅうだが、今度ばかりは本気で危機感を覚えたな」

「そんなにヤバいんですか……?」


 拝賀君と兵藤さんが、本気で嫌そうな顔をしている。

 一体何に進化したらこんな顔になるんだよ。

 見てみたいような、怖いような……。


「それじゃあ早速と言いたいところですが、その前に一つ、俺から聞きたいことがあるんですけどいいですかね? ――なんでペロ達を連れてきてんだよお前ら!?」


 俺はペロ達――初期生産ホムンクルスの五匹を抱きかかえている連中を睨み付ける。

 まぁ、主にペロを抱きかかえているアキラさんなんだけど。


「もう私とペロは家族だから~……離ればなれはあり得ない~……と言う訳で直訴です。ペロを私にください!」

「やる訳ねぇだろ! つうか周りも止めろよ! 何やってんだ!?」


 これはさすがに駄目だろ! ライン超えじゃねぇか! 会長命令だぞ!?

 俺の当然の怒りに、タケさんと真帆さんが本当に申し訳なさそうに頭を下げる。


「すまん。これでも全力で叱ったんだよ。楓太の機嫌を損ねたくないし」

「力ずくでもやめさせようとしたのよ? でも、頑なに拒否されて、顔をボコボコに腫らしても絶対に連れて帰るって、泣いて聞かなくて……」


 殴ったんか。一応若く見える女性を。まぁ実体はただのおばさんだけど。

 で、ペロを連れて帰るなら私もって感じで、便乗してまとめて連れてきちゃったという感じか。頭が痛いわぁ……。


(ペロ。お前はどうにかして残れんかったのか?)

(すみません。アキラママには逆らえませんでした。この失態、腹を掻っ捌いてお詫び申し上げます)


 切るな切るな。その程度で死なれては困る。

 というか、この人達に戦闘力で歯向かえと言うのも無茶な話だし。


「アキラさん。前にも言ったでしょ。ペロは渡せませんよ」

「いいじゃん! お金ならいくらでも払うから譲ってよ! もうペロがいない生活なんて考えられないんだよ!」


 駄目だっつの。涙目になったって聞けません。

 俺に泣き落としが通じると思うなよ? ちょっと可愛いけどさ……。


「楓太君は私に借りがあるよね!? その借りを返して!」

「ねぇよそんなもん。何寝ぼけたこと言ってんですか?」


 Win-winの関係だけど、どっちかと言ったらむしろ俺の方が貸してるだろ。

 俺がいなかったら拠点製作も、フィールドボスの討伐も不可能だったんだぞ?

 貸しがあっても借りなんかある訳ねぇだろうが!


「私を裸に剥いたでしょ!? その借りを返して!」 


 あったわ。すっかり忘れてた。


「ねっ!? だからお願いっ! ペロを買わせて! 一生のお願い! 大事にするから!」

「うう~ん……」


 それを言われたら断り辛いんだよなぁ。借りは早めに返しておくに越したことはないし。

 でもさぁ、なんか釈然としねぇよなぁ。


 確かに事故で下着姿にしてしまったよ? 

 だけど、所詮アキラさんの下着姿だろ?


 ぶっちゃけ本人もそこまでダメージないだろ。怒りはするけど、その程度じゃん?

 これがチヨちゃんとかカコちゃんみたいな若い子だったらさ、むしろ土下座で謝ってどんなお願いでも叶えるけどさ。

 

 なんというか、賞味期限切れ商品のパッケージを剥いたから弁償して、って言われてもな……なんだったら消費期限切れの可能性まであるじゃん?


 ちょっと釣り合ってないよなぁ。仕方ないと思うけど、釈然としないよね。口にしたら殺されるから言わないけど。


「それを言われたら弱いんですけど、でもやっぱり駄目ですよ。ペロは渡せません」

「なんで!? こんなにお願いしてるのに!?」

「いや、普通に考えてくださいよ。購入とはいえ、生産ホムンクルスを渡すことになったら、消耗品は自分で作れちゃうじゃないですか。俺の商売上がったりでしょ」


 そりゃそうだ、と。皆が納得したように頷いていた。

 

 損得の問題で普通に駄目なんだよな。もちろん質の良いアイテムはホムンクルスには作れないけど、結局お金を使うのってポーション類じゃん? 


 低級、中級の品質だったら、今のペロ達でも余裕で作れちゃう。冗談抜きで、生産職の居場所がなくなってしまうのよ。


「なので、条件付きのレンタルなら許可します」

「本当に!? 条件は!?」


「月額レンタル。そしてホムンクルスにアイテムを作らせた場合、後でそのアイテム分の代金を請求します。ホムンクルスに申告させるので、誤魔化しできません。当然ホムンクルスの生活費はそちら持ち」

「――全然いいよ! やったよペロ! 今日からうちの子だよぉおおおおお!」

「わんっ!」


 アキラさんはペロを持ち上げて喜んでいる。

 ペロも喜んでいるように見える。まぁ本心は分からんが。


「待った! それが許されるなら俺らだって欲しいんだが!?」

「そうよ! ズルいでしょ! だったら私はエルリックを貰ってもいいよね!?」

「じゃあ私はめじろーを貰うから! 絶対に譲れないから!」


「良いわけねぇだろ! というかペロだって駄目だろ! せめて話し合いしてからにしろよ!」

「なんだぁテメェ……? 俺達の家族を引き離そうってのか?」

「奪おうってなら本気で抵抗するわよ。覚悟できてるんでしょうね?」

「調子いいこと言ってんじゃねぇ! タケ! 真帆! そりゃテメェらも利益があるから言ってるだけだろ!」


 ああ、また争いが勃発してしまう。どうして人はこうも争うのか。

 ぎゃーぎゃー言い争っている皆を眺めていると、川辺が気まずそうに言う。


「良かったのか? まだ言うのは早かったんじゃねぇか?」

「僕は良いと思うけどね。どのみちこの要求は遅かれ早かれだろ。それに真面目な話、定期的な収入になる。かなりの儲けになると思うよ」


「確かに魅力的ですよね。一月いくらでレンタルするのかにもよりますが、仮に百万で貸し出したとして、それに加えてあとからアイテムの料金も精算。アイテムの素材は自分達で集めてもらうからこっちの手間が省けて……小畑会に所属するパーティの数を考えると……」

「お姉ちゃん。目がお金で汚れてるよ」


 思わずチヨちゃんが呟くくらい、七緒ちゃんの目が金に染まっている。

 まぁ実際、皮算用とも言えないんだよな。


 今回の拠点製作で、現場に〈錬金術師〉がいることの有用性が証明された訳だし。

 これは今後の小畑会……いや、OBATAにとって重要な収入源となるだろう。


 皆にはそのテストケースになってもらいたい。そして問題ないと判断したら、いずれ全国的にこの〈ホムンクルスレンタルサービス〉を展開するのだ。皆にはOBATAの社員割引でもしてあげればいいだろう。


 完全なるブルーオーシャン。一体いくらの儲けになるのか、想像もつかない。今から涎が止まらない。

 確実に何らかの横やりが入るだろうから、皆には強くなってもらって、一年後には始めたいところだな。

 

 小畑会に武力が揃い、国すらも手が出せなくなったら、その時こそ俺達の天下よ。ぐはははははっ!


 ――ドンッ!


 内心で高笑いを上げていると、入口の方から扉を叩いた音がした。

 陰になって見えないが……ミライさんが放置されてお怒りのようらしい。


 いつものミライさんなら、こんな重要な話をしていたら真っ先に飛んでくるんだが、よっぽどお披露目に本気を出しているのだろうな。


 そう考えるとちょっと面白いが、あまり放置すると怖いから早いとこ進めようか。


「はい、皆さんそこまで。詳しい話はまた後でするとして、それじゃあ天城さんとミライさんの成果を見せてもらいましょうか」


 俺がそう言うと、皆は興奮を収めて控えてくれた。

 そして入口に近い〈斥候〉の人が合図をすると、一人の男がスタスタと体育館に入ってくる。


「――うお!? えっ、マジで?」

「うわっ、イケオジ」

「海外の俳優みたいだ。いや、それ以上か」


 入ってきたのは、ラフな格好の上にハンティングジャケットを羽織った、髭を伸ばした男性だった。


 浅く皺が入っているが、端正な顔立ち。老齢と分かりながら、その美形に一切の陰りはない。いやそれどころか、それがさらに彼の魅力を際立たせていた。


 小柄ながら、まさしく長い年月を経た大樹のような。そんな壮大さと落ち着きを感じる魅力を放っている。


 そして特徴的なのが、その長い耳。

 エルフの特有の耳を携えた銀髪の男性は、用意された椅子に座って足を組む。


 まるで俳優のような仕草だが、それが様になっている。あまりに絵になる姿に、無礼とも思えない。

 同じ男でありながら見蕩れてしまう。誰もが注目している中、彼は口を開いた。


「明けおめンゴ~」

「あっ、これは間違いなく天城さん」

「ああ、良かった。別人かと思った」

「一気に雰囲気が崩れたね。なんて低俗なエルフだ」


「あぶない。危うく惚れそうだった……」

「うん。カッコイイお爺ちゃんだもんね……」


 惚れかけた女性を一瞬にして正気に戻すこの言動。

 やはり天城さんはこうでないとな!


 うんうんと頷いていると、ボシュン、という気の抜けた音がしたとおもったら、一瞬で天城さんはいつものお爺ちゃん、普通の人間に戻った。

 そして肩をグルグル回し、面倒そうに溜息を吐く。


「はぁ。やっぱりこっちの方が落ち着くンゴ」

「へぇ、そういう風に戻るんですね? 落ち着くっていうことは、やっぱり今も人間の姿が本性と言う感じなんですか?」


「いや、どっちも本性だぞ。ただ俺がこっちの方が良いというだけで。それにあっちの姿だと、知らん女に逆ナンされて鬱陶しいンゴ」

「ああ〜、それは確かにありそう」


「ジジイでもあんだけカッコよければなぁ。オレが女でも声をかけるかもしれん」

「でも、女性にモテるなら良かったのでは? 今からでも青春を味わえますよ?」

「人間の女に興味はないンゴ」


 伊波の問いに、天城さんはキッパリと言い切った。

 やっぱり天城さんは俺達の親友だ!


「で、天城さんはエルフということでいいんですよね?」

「ンゴ」


 天城さんは軽く頷く。見ろ、と言っているようなので、俺は遠慮なく【鑑定】した。


【人物鑑定】

 名称:天城晴久(種族:半森人ハーフエルフ

 種族スキル:【森の加護】


【森の加護】――森に愛されし民に与えられた加護。森林、および草原フィールドにおける全ステータス向上。精霊に好かれやすくなる。


 はぁ〜、なるほど。エルフっぽいスキルだわ。森では敵に回したくない能力だな。

 それ以外の場所だと利点はないが、場所を選んで戦えばいいだけだし、天城さんなら問題ない。


 森と草原なら、魔獣に属する魔物が中心だろうし、天城さんにはぴったりなスキルだろう。

 しかし、この精霊に好かれやすくなるという一文は気になるな。精霊が存在するのか?

 そのうち【精霊術】とか覚えるかもしれん。分かったら教えてもらおう。


「寿命の心配があった天城さんに相応しい進化ですね」

「300年くらいは生きそうだおっ!」


 エルフならマジでそれくらい生きそうだよな。今まで中々厳しい人生を歩んできたそうだし、その調子で今からでも幸せになってほしい。


「さて、それではミライさんですね」


 とうとうこの時が来てしまったかと、緊張してくる。

 ミライさんは正直、何に進化するか予想がつかない。


 美しさ目当てでエルフになっても納得だし。

 戦闘スタイルからゴリラ型の獣人になっても俺は頷く。


 本当に予想がつかない。ただ一つ言えるのは、皆の口ぶりからして普通ではないということだ。

 不安と恐怖で揺れている中、体育館の明かりが消えた。


 上で待機している奴らがカーテンを閉め、スポットライトを用意する。

 そこまでやるのか。まぁ料理バトルで同じことをやった俺が言えることじゃないが。


 内心で呆れていると、コツ、コツ、と高いヒールの音が聞こえてくる。

 来たな、と入り口に油断なく目を向けて――俺は言葉を失った。


「は? ――はぁ?」

「おい、嘘だろ……?」

「これは……」

「ミライさん、綺麗……」

「うん。というか――」


 完璧なモデルウォークで入ってきたミライさんに、目を離せない。


 ホルターネックのワインレッドのドレス。首から胸元はしっかりと隠し、露出はほとんどないが、ぴったりと張り付くようなそのドレスは、ミライさんの美しい身体を浮かび上がらせた。歩みに合わせて揺れる裾のスリットから、一瞬だけ蠱惑的な脚線が覗く。


 天城さんとは違い、ミライさんの外見に種族的な変化は見えない。見た目はただの人間だ。

 しかし、今までのミライさんとは決定的な違いがある。


 それは――


「めっちゃ若返ってる……ッ!?」


 巧妙な化粧でも隠しきれなかった皺が完全に消え。

 肌のシミは一切なく、水を弾く玉の肌に。

 美へのこだわりというよりも、執着すら感じていたあの必死な雰囲気は何処へ行ったのか。


 今のミライさんは、希望に溢れている若者のようだった。

 最後のポーズを決め、俺達の視線を察したのか、ミライさんはからかうように微笑んだ。


「あら。そんなに見られるとちょっと照れちゃうわね」

「すみません。でも見るなって言う方が無茶でしょこんなの。まさかこんなハッキリと若返るとは。何歳くらい若返ってますかそれ?」

「そうね。鏡を見た感じ、二十八くらいかしら。私が全盛期と感じていた時の姿だわ。まさかもう一度この若さを取り戻せるとは。本当に頑張った甲斐があったわね……」


「さすがです! お姉様!」

「おめでとうございます! 僕達もお手伝いして良かった!」

「そして、私達も~!」

「頑張った甲斐がありました!」


 嬉し泣きしそうなミライさんに、いつの間にか傍にいた〈百花繚乱〉のメンバーが囃し立てる。

 祝【種族進化】!! 女神降臨!! といった幟、プラカードを持ったり、色とりどりの紙吹雪をばら撒いたりと大したはしゃぎ様だ。


 今までも十分に美人だったけど、今のミライさんはそれとは比べ物にならないほど美しい。若い頃からこんなに綺麗だったのなら、パトロンも付きそうだわ。


 もうババアとか言えないな……。


「それにしたって女神は言い過ぎでは? 確かに美しいのは認めますが」

「あら、言い過ぎではないわよ? 文字通り神になったのですから」


 とうとう自尊心がここまできたか……。

 いくら外が良くても、中身が終わってたら魅力もないよな。

 ミライさんはまず、人としての美しさとは何かをもう一度見つめ直してほしい。


 誰かビシッと言ってやってくれないかな。

『いまのあんたが いちばん みにくいぜ!』って。


「いや、楓太さん。これが冗談じゃないのよ。【鑑定】してみて」

「え? はぁ、それじゃあ……」


 苦い顔をしている真帆さんに言われ、素直にやってみる。


【人物鑑定】

 名称:中野三蕾(種族:亜神(美))

 種族スキル:【信仰】


「――亜神!? マジで神になってるじゃねぇか!?」

「ふふっ、この私の美しさがとうとう神に達してしまったと思うと、いっそ罪深くすらあるわね」


 そう言いながら、さり気なくポーズを決めているミライさん。お前絶対そんなこと欠片も思ってないだろ。


 だけどそう言われても納得の美しさだから、何も突っ込めねぇわ。

【種族進化】をした全員に言えることではあるが、とうとう人を辞めてしまったか……。


「でも、外見の変化と言えば若返りだけなんですね? 神様ってのはびっくりしましたけど、これなら天城さんの方が面白いような」

「あら、それは挑戦と受け取っていいのかしら? いいでしょう、これでも影響が出ないように抑えていたのだけど、そこまで言うなら私の力を見せてあげましょう」


「止めろバカ! 俺らにまで被害がくるだろうが!」

「ふざけんなババア! そう何度も――チィッ!?」


 なんだ? いったい皆何を恐れ……は?

 

 その瞬間、ミライさんが確かに輝き出した。

 激しい光ではない、その身に纏うのは、うっすらとしながら優しい光だ。

 

 その灯りは、ミライさんの美しさをより際立たせる。

 人知を超えた美しさに、人は自然と敬意を持ち――自らの意思とは裏腹に、自然と頭を下げてしまう。

 

 いつの間にか俺は、テーブルに頭を叩きつけるようにしていた。


 な、なんだこれは……!? 

 ふざけんな! いくら若返ったとはいえ、実体は四十超えのババアだぞ!?


 今までの傍若無人なあの姿を思い出せ! 頼りにはしてるし凄いとは思っているけど、決して尊敬出来ない相手だぞ!?


 それなのに……なんで……なんで俺はっ……頭を下げているんだ……ッ!!


 混乱しながら感動するという訳の分からない状況に思考が止まるが、フッと、その強迫観念のようなものが止んだ。


 頭を上げれば、ミライさんが放っていた光は止み、いつもどおりの悪戯っぽい笑みを浮かべている。くそ、若くなって綺麗なだけじゃなく、可愛くすら見えるのがちょっと腹立つ!


「〈亜神〉に進化したことで、【魅了】の力が跳ね上がったのよ。自分から意識的にオフにしないと、普段の動作だけで人を惹きつけるほどにね。フフッ、ようやく私の美しさに力量が追い付いた、といったところかしら」

「なんすかそれ。もはや災害みたいなもんじゃないですか」


 見れば俺達はもちろんのこと、会場にいる皆がミライさんの【魅了】を防げなかったようだ。誰もが頭を上げて、忌々しそうにミライさんを見ている。


「クソッ、あのババア……調子に乗りやがって……ッ!」

「なんでいちいち私が頭を下げないといけないのよ……」

「ダンジョンは最悪な女に最悪な力を与えやがった。早く対抗しないとあの女に全てを支配されるぞ」

「くそ……ッ! なんたる屈辱か……ッ! こんな有様では、アリスちゃんに顔向けできん……ッ!」

「兵藤さん、やるならいつでも動けます。誇りを守るためなら、俺らは死ぬ覚悟はできてますよ」


 皆が皆、不満をあらわにしているが、特に衝撃が大きそうなのは兵藤さんを始めとした〈戦士派遣団ロリコン〉の人達だ。まぁ性癖を捻じ曲げられているようなものだからな。憤死もんだよ。命を懸けるに値する。


 いやでもこれ、真面目にやばくないか?

 未だ【種族進化】に至ってないとはいえ、もう間近に迫っている皆でさえ【魅了】に逆らえないんだろ?


「眩しいから一々光るのは止めて欲しいンゴ。死にかけのホタルじゃあるまいし」

「不敬にもほどがあるわよジジイ。神罰を下しましょうか?」


 耐えられているのは天城さんと、〈百花繚乱〉のメンバーくらいか。ということは【種族進化】をしない限り、ミライさんは一方的に敵を殴り殺せる状況が出来るということになる。


 これ本当にやばいな。もはや【種族進化】をしてないと探索者としてやっていけないという状況に――はっ!?


「ぐっ……! ぐぐっ……!?」

「トシさん!? 何やってんすかアンタ!?」


 至っていない誰もがミライさんに屈していたと思いきや、トシさんだけがミライさんの【魅了】から逃れていた。しかしその方法がえぐい。

 トシさんは【魅了】から逃れるために、ナイフで自分の手の平を貫いていた。

 

 あら? と、ミライさんはそんなトシさんに、意外そうな目を向けた。


「生意気な奴がいるわね。たかが人間如きが私の美しさから逃れようとは」

「何度も引っかかってたまるか……ッ! てめぇに頭を下げるくらいなら死んだ方がましだ……ッ!」

 

「フッ、健気なことね。たった一人足掻いたところで無駄だというのに」

「一と、零は違ぇ……ッ!」


 ――モ〇ンガ中将!?


 トシさん、あんたそこまで……ッ!

 いや、さすがに意地を張り過ぎだろ。どんだけ頭を下げたくないんだよ。アホか。


「ミライさん。これはさすがに迷惑ですよ。あまり遊ばないでくださいね?」

「小畑さん! もっと言ってやってください! あの人、調子に乗って僕らのことイジメるんですよ!」

「本当にお願いします。意味もなく光って頭を下げさせてくることもあるんです。いい加減、僕も我慢の限界というものが……ッ!」


 拝賀君とマサ君が必死に訴えてくる。

 若手の彼らはなおさら虐められてそうだしな。


「天城さんが抵抗できてるってことは、やっぱり【種族進化】が分かれ目だよね。カコちゃん達には影響ないの?」

「そうだと思いまーす! でもカコ達はむしろ、ミライお姉様の傍にいると調子が良いです!」


 調子が良い? それはどういう……。


【人物鑑定】

 名称:久世果湖(種族:神ノ僕)

 種族スキル:【奉神】


【奉神】――その身は仕えし神の為にあり。仕える神の影響圏内にある間、自身の全ステータスに補正を得る。補正量は神の力に比例する。


「こらまた面白い種族とスキルを持ってるね。調子が良いってのはこれか」

「これ種族なんでしょうか? むしろジョブのような?」

「でも、美の神様に仕えているって考えると、恩恵もありそうですよね」


 チヨちゃんと七緒ちゃんが、興味深そうに〈百花繚乱〉のメンバーを見回す。

 その視線を受け、〈百花繚乱〉の子たちは嬉しそうに笑っていた。


「カコちゃんだけでなく、皆が同じ種族になったってことでいいの?」

「はい! お姉様のおかげか! カコも最近ますます調子が良くなった気がします!」

「僕も最近は、ますます肌が美しくなりました!」

「私もミライと同様、二十代半ばまで若返りました!」

「実は私も、ウエストが少し細くなりまして……」


 今西さんはピシリとポーズを決め、刻子さんもニヤニヤとした笑みが堪えきれず、小鈴ちゃんも照れながらも嬉しそうだ。


 ミライさんが目立って気づかなかったが、確かに刻子さんも若くなってるな。こっちも負けないくらい美人さんだ。


 なるほど、女性にとってミライさんに仕えるというのはメリットが大きいかもしれない。

 でも、美の基準については些か議論の余地があるな。

 小鈴ちゃんの絶妙なウエストが減るのは、むしろ損失ではないだろうか……?


 あと、種族的にそれでいいんかお前らと思わなくもない。ミライさんへの隷属が決まったようなもんじゃないか? 本当にそれでいいのか?


 まぁ喜んでいるならいいのか……ん?


 きゃぴきゃぴ喜んでいる〈百花繚乱〉のメンバーの中で、微妙に反応が悪い日向さんの姿が目に入った。なんというか、愛想笑いのような……。


 そして、俺が見ていると気づいたのか、その表情が更に引き攣った気がする。

 なんだ? 何かあるのか? 別に特に思い当たるようなことは――あ。


【人物鑑定】

 名称:淀川日向(種族:高位人間ハイヒューマン

 種族スキル:【反逆者】


【反逆者】――神格、王権、権威。あらゆる上位者に対する叛意を秘める。範囲内に上位存在がいる時、使用者の全ステータスに補正。神格・王権・権威を有する対象に対し、攻撃性能が上昇する。


 身内に不安要素がいるじゃねぇか。

 やっぱり不満に思う人はいるのね。嫌いではないだろうけど、必ず従うって言われたら、そういう訳じゃないもんね。


「――――ッ!?!?」


 自分が見抜かれたことを察したんだろう。日向さんは俺を見ながら、プルプル小さく震えていた。

 言わないでっ! お願いッ! 口にせずとも、目が語っている。


 俺は労わるように彼女を見て、小さく頷いた。すると、日向さんはほっと息を吐く。

 いつかユダ、あるいはブルータスになってもらうかもしれない存在だ。優しくしておくに越したことはない。


「ところで、ミライさんがいきなり仕掛けてきてスルーしちゃったんですけど、亜神の種族スキル。これヤバくないですか?」


【信仰】――神を神たらしめる根源の力。その数に比例し、神の全能力が増大する。


「信仰を集めれば集めるだけ強くなるとか、反則だと思うんだよな」

「上昇率が気になるけど、この文面だと上限がないんじゃねぇ?」

「数を増やすのに労力と時間はかかるけど、長い目で見れば最強クラスの種族スキルになる可能性があるね」


 伊波の言う通りだ。どこまで強くなれるのか、興味が尽きない。

 もしインフルエンサーがこれを手にしたら、一体どうなるのか……。

 そんな俺達の反応に、ミライさんは困ったように眉を寄せる。


「ええ、その通りなのよ。だけど今のままだと効果が無いに等しいのよね。ここにいる連中だけだと、全然数が足らないし」


「はぁ!? ふざけんなよクソババア! 誰がテメェなんぞに信仰なんざ捧げるか!」

「勝手に信徒にしてんじゃねぇ! ババアを神にした宗教なんざあってたまるか! 経典なんてもんを作ってみろ! 迷わず焚書にしたるわ!」

「そもそも何が美の神だ! テメェはまず見た目じゃなくて中身を磨けや!」


 ――ピカァアアアアアア! うぎゃああああああああ……!


 ミライさんは【魅了】を全開にし、喚いている奴らをまとめて黙らせた。力の使い方が間違いまくってんだよなぁ。そりゃ信仰なんか芽生えんわ。


「それでね、楓太君。少し相談があるのだけど」

「……なんです?」

「そんな嫌そうな顔をしないでちょうだいな。難しいことじゃないから」


 でも、面倒なことではあるんでしょ? 俺は知ってんだ。


「さっきも言ったけど、今のままだとこのスキルも宝の持ち腐れでしょ? だから今から信仰集めに動きたいの」

「まぁ、それは分かりますけど……具体的にはどうするつもりで?」


「〈美肌薬〉を大量に作ってちょうだい。そして流通に流しましょう。OBATAの目玉商品として。つまり、OBATAの本格稼働の始まりよ」

「なんでそうなるんですか……」


 自分が欲しいだけじゃないんかと。それのどこが信仰に繋がるんだよ。

 俺の疑いの眼差しに、ミライさんは自信満々な笑みを浮かべた。


「そのOBATA製の〈美肌薬〉を、私が広告塔になって売りさばくのよ。そうすれば大量に売れるし、私に憧れが集まるでしょう?」

「うわっ、すっげぇ売れそう。しかもマジで信仰が集まりそう」


 中身はともかく、外見はマジで世界レベルの美女――いや、なんだったら今なら世界一かもしれない。

 そんな人が愛用する〈美肌薬〉。宣伝する人といい、商品といい、売れない訳がない。憧れる人がぞろぞろ出てくるだろう。

 これ計画としては嫌なくらい完璧だな。勝ち確の商売だぞ。


「反対反対反対はんたーい!!!!」


 が、当然のようにトシさんが声を上げた。


「楓太! 冷静に考えろよ!? こいつの宗教ができあがってみろ!? とんでもないことになるぞ!」

「同感です! これ以上ミライさんに権力を与えてはいけません! そのうちOBATAが乗っ取られますよ!?」


 トシさんと拝賀君という、ミライさん被害者の会の代表二人だ。実に説得力がある。

 その意見に賛同する人もいるし、俺もそんな気がするんだよなぁ……。


 どうしようかな。ただでさえミライさんが一人勝ちする環境になりつつあるのに、それを助長するのもな。


 それにさぁ、なによりも最大の問題があるんだよ。


「ミライさんがOBATAのイメージガールか。ちょっとなぁ……」

「あら? 私に何かご不満?」


「いえ、ミライさんに不満はないんですよ。ただ、俺達の予定としては、イメージガールは七緒ちゃんと決めてましたからね」

「聞いてないけど!?」


 七緒ちゃんが吃驚したように俺を見てくる。

 何をいまさら。


「確かにな。OBATAが本格稼働した際、七緒ちゃんも宣伝する計画だったしな」

「ミライさんに食われかねないことを考えると、今後の七緒ちゃんの営業戦略に差し障りがありますね」


「ちょっと二人もなに当然のように言ってるんですか!? だから聞いてないんですってば! 本格的にアイドルになる気とかないですからね!?」


 悪いんだけど、七緒ちゃんに拒否権はないんだよね。

 七緒ちゃんが〈偶像アイドル〉に目覚めた瞬間から、君の未来は決定したんだよ。

 君の栄光の道は、俺達が作って見せる!


 俺達の熱意が通じたのか、ミライさんも悩ましそうに眉を顰めた。


「なるほど。それを言われると困ったわね。七緒ちゃんのアイドル活動を邪魔したい訳じゃないのよ。私が出ちゃったら、七緒ちゃんが浮かび上がる前に消えちゃうし……」

「そこまでハッキリ言われると、それはそれでムカつくんですけど!?」

「お姉ちゃん。対抗心バリバリじゃん」


 口では嫌と言っても、態度が物語っている。

 七緒ちゃんにはとっくに覚悟が出来ている、とな。


 七緒ちゃんの本心を確認し頷いていると、伊波はあっさりと言う。


「とはいえ、ミライさんの信仰集めは、一日でも早く始めた方がいいとは思うんだよね。そして僕らも全力で協力すべきだと思う」

「おん? それはまたどうして?」

「いや、今はまだ焦る必要はないかもだけどさ。これ、ゆくゆくは信仰の奪い合いになるんじゃないかと思ってね」


 ……ああ~、なるほど。確かにそれはあり得るな。


「多重の信仰が許されるなら問題ない。だけど、もしそれが許されないとなると、亜神による信仰の奪い合いが発生する。そしてその場合、後発組はかなり不利になるな」

「うん。でも、まだ亜神の発生が確認されていない今なら? ミライさんという女神に加え、アイテムの量産体制が整いつつある今なら? ハッキリ言って、決して埋めようがない差が出るんじゃないか?」


 そのとおりだな。

 亜神はまだミライさん以外に誰もいない。

 そしてまだ誰も、公に〈美肌薬〉を売っていない。


 ミライさんが美の信仰を独り占め。そして〈美肌薬〉を世界で一番最初に売り出した会社というブランドも手に入る。OBATAの絶対的な地位が確立されるぞ。


 日本どころか、世界中にミライさんが知れ渡ったら……。


「冗談抜きで、ミライさんが世界を支配することも可能か? そしてそんな人が俺の仲間にいてくれれば……」


「楓太ぁああああああああ! 冷静になれ! お前の仲間はこんなにいるぞぉおおおお!」

「マジで洒落になってないですって! 止めましょうよ!? 誰があの人を止められるんですか!?」

「貴方たち、本気で死にたいみたいね……」


 ミライさんが不穏な気配で代表の二人を睨んでいる。

 皆の危惧は分かっている。だけど、今なら勝てると分かりきっている。それなのにやらないなんて馬鹿じゃないか?


 そしてなにより、もし他の奴が先にこれをやったら?

 やらないという選択はないか……でもなぁ……。


「ちなみにミライさんは、多重信仰とかどうお思いで?」

「ふふっ、私は日本人よ。私だけを崇めなさいなんて器の小さいことを言うつもりはないわ」


「なるほど。それならいいかな? 七緒ちゃんの参考にもなりそうだし」

「え? あの、すみません。それどういう意味です?」


「種族スキルとはいえこんなスキルがあるなら、ジョブにだって似たようなスキルがあってもおかしくないと思わない? むしろ絶対にあるでしょ。〈偶像〉なら」

「確かに。アイドルの仕事は信者集めみたいなもんだしな」

「どこまで信者に金を落とさせるか。それが〈偶像〉の実力を測る物差しだ」

「偏見が過ぎる! アイドルはもっとキラキラしたものですから! そんな拝金主義の権化みたいな言い方は止めてください!」


 七緒ちゃんは意外と〈偶像〉に夢を見ているな。〈偶像〉ほどドロドロした世界はないと思うんだが。

 いや、この歳でも未だにこのピュアな心を持っているからこそ、〈偶像〉に目覚めたのかもしれない。

 分かった。泥は俺達が被ってやる。だから君は前だけを見てどこまでも登っていけ!


「では、正式に指示を出します。ミライさんにはOBATAの広告塔として、〈美肌薬〉の宣伝活動を命じます。俺は生産ホムンクルスを更に量産して、〈美肌薬〉の量産体制を整えますので、メディアにバンバン出てください。その美貌をもって、OBATAの名を知らしめてください」

「ええ。美容部門の責任者として、しっかりと働いてみせるわ」


 満足そうにミライさんは頷く。そりゃ〈美肌薬〉も捌けて自分に信仰も集められるもんね。不満がある訳ないよな。


 しかし、ミライさんの言葉に、うん? とタケさんが首を傾げた。


「ちょっと待った。美容部門ってなんだ? そんなのいつ作った? OBATAって、小畑会って意味じゃないのか?」

「ああ、いえ、OBATAは俺が作った会社のことですね。ミライさんには前から美容部門の責任者になってもらうと話がついてましたから」


「会社作ったの!? いやそれなら早く言えよ! 何で教えてくれなかった!?」

「あっ、すみません。単純に皆さんに払える給料がまだなかったので……」


「んなもん後回しでいいっての! とりあえず俺も入れてくれるよな!?」

「小畑さん。前にも言ったが組織経営なら俺の経験が役立つ。戦闘部門の統括は任せてくれ」

「黙れ兵藤! まだ俺はテメェが頭と認めた訳じゃねぇ!」


 ぎゃーぎゃーと皆がまた醜い争いを繰り広げている。

 いうタイミングがなくて引っ張ってしまっただけなんだが、こんなことならもっと早く言うべきだったか。


 皆が言い争っている中、パンパンと手を叩いて、ミライさんは注目を集めた。


「静かにしなさい。そろそろ時間よ」


 それを聞くと、渋々ながら皆が矛を収めて各自の場所に戻っていく。今日は皆がミライさんに反発していたのに、随分と素直だな?


「ミライさん、時間ってなんです? 何かあるんですか?」

「ええ。もうすぐお客さんがね。そもそも、何故私達がここまで必死にレベリングをしたのか。覚えているでしょ?」


 え? いや、強くなりたいからじゃないの?

 当然の答えに小首を傾げる俺に、ミライさんはニヤッとした笑みを浮かべて言う。


「――調子に乗っている林華を痛い目に遭わせるためよ」

「いや絶対に違うでしょ」


 少しはそれもあったかもしれんが、それは副次的な結果といいますか……。

 完全に私怨じゃねぇか。ん? でも待てよ?


「ってことは、お客さんって……」

「森山さんがいらっしゃると!?」


 ガタンッ! と立ち上がって叫ぶ伊波に、ミライさんは頷いた。


「ええ、そういうことよ。私は【種族進化】に至り、皆も進化こそまだだけど、レベルは十分に上がった。もはや私達の敵になる相手はいない。そう、つまり時が来たということよ。私と林華、どちらが上なのかというね」


 森山さんだろ。内面力の差で圧倒だわ。

 いくら外面が良くても、内面が伴わなければ意味がないんだぞ。



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― 新着の感想 ―
この流れは小畑さんが創造神に種族進化するということでは!? 信仰を100持ってる亜神Aが信仰を10持ってる亜神Bを信仰し始めたら亜神Bの信仰は111になるのかな。いやそれ以前に神が神を崇拝するとかあ…
ミライさん怖いわ〜亜神とか格が違いますね。 怖いですけど、魔神、魔王設定もありそうでさらに怖いね。 小畑さんが錬金チートで無双出来るのか楽しみ。 あと、ペロが可哀想ですね。唯一読心持ちで話せる貴重種な…
悲惨な進化先も有るとのことでしたが、ゴリラ的な何かにならなくて良かったです。 つまりネタ枠は他に・・・まさか川辺、お前進化したら・・・ ペドオークなんて討伐対象待ったなしだぞ・・・。
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