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かつての勇者がもう一度  作者: 隆頭
新たな戦い

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八十話 舞い降りた赤い煌めき

 帝国城跡地と辺境町オルス。日照国軍が占拠し居を構えた場所では、凄まじい攻防が繰り広げられていた。

 軍人たちは慣れない環境で疲弊し、相手にしたことのない戦い方をする冒険者たちに、徐々に数を減らしていく。

 既に武器は実弾銃から最新鋭であるレーザーを使い始め、冒険者たちにも負傷者が現れ始めた。


 そして、帝国城跡地にある戦闘機の五機のうち、御帝(みかど)の搭乗機を含めて三機が戦域離脱に成功。残りの二機は蒼佑(そうすけ)とソフィにより破壊された。

 指揮官である典宮(てんぐう)も武装し、バレットたちと交戦している。



 戦火に包まれたその近くにて舞い降りたのは、白き衣を纏った少女。その姿はとても幼く、まだ十を超えていないような風体。

 その背中には白い翼を携えており、浮世離れした雰囲気があった。

 腰ほどまである、赤々と煌めいたブロンドの髪を風に靡かせ、紺色の瞳で戦地を睥睨していた。口角が上がっており、どこかワクワクとしたような表情。


 そう、彼女は戦うためにやって来たのである。正確には蹂躙だが。


「クソッ、こんなとこにもいやがる!」


 少女がふよふよと浮かびながら戦地へと赴くと、軍人三名が彼女に気付きそう叫んだ。彼らからすると、敵の増援が現れたようなものである。

 真ん中の男が銃を構え、彼女向けてその引き金を引くと、銃口から光線が放たれる。最新鋭武器であるレーザーだ。


 少女は右手を前に突き出して、その光線(レーザー)を掴み、光の玉にしてしまう。あり得ない光景に軍人たちが目を開き愕然としている。


『意思の含まれないエーテルじゃ、だぁれも傷付けられないよ?』


 嘲笑うように告げた少女が手元の光を棒状に変化させ、左から右へと一閃。すると、軍人たちは光の通った場所から血を拭きだして崩れ落ちた。


『んふふ♪そういえば、あっちにもなにか飛んでったよね……?なんだか楽しそうな予感!』


 三名の死亡させた少女が無邪気に笑い、飛んでいった戦闘機に興味を抱いた。目をキラキラとさせて追いかけるように、その方へと猛スピードで飛翔していく。

 すると即座に勢いを止めて、思い出したかのように振り返った。


『おっと、その前にあのおっきいのも……えい!』


 そんな軽い調子で、少女はいくつもの赤い光の玉を作り出し、払うように手を振ってそれらを放ち、戦闘機の方へと向かっていった。狙われたのは、ランドル率いるドラゴンたちだ。




 その少女が現れた頃、蒼佑(そうすけ)とソフィ、グラットやランドルたちが異変を感じていた。ヒリヒリと肌を焼く緊張感が、新たな敵の来訪を知らせる。


「嫌な空気だ……何か来たんじゃないだろうな」


 銃弾や光線の降り注ぐ中、蒼佑(そうすけ)が眉根を寄せてそう呟く。その声は小さく、反撃に放った魔法の音でかき消され、誰にも届くことはなかった。

 しかし、もしソフィたちがそれを聞いていたら間違いなく頷いたことだろう。


 それまでに異質で重厚な空気を放っていたのがあの少女であり、彼女が降り立ったこともその方角も知らないが、蒼佑(そうすけ)たちはそちらから何かを感じとっていた。


『なんだ、この不快な空気は……?妙に力を奪われるような感覚だ』


 苛立ちを滲ませながらそう呟いたのはランドルだ。感じたことのない不快感に周囲を見渡すと、十一時の方向に何者かの存在を認識した。

 そう、舞い降りたあの少女である。


 人間よりも遥かに優れた視力で赤白く光る少女見つけ、すぐに警戒を強めた。不快の正体は、突如として現れたソレからであることをすぐに理解したからだ。



 敵かとそう頭に過ったのも束の間、その少女が勢いよく飛び出して、辺境町の方へと飛び去っていく。その去り際に放たれた赤い光を見て、全身の血の気が引いた。


『お前たち、後ろだ!』


 ランドルのその叫びを聞いたドラゴンたちが後ろを見てすぐに状況を把握したものの、一部のドラゴンが回避の姿勢が間に合わず攻撃を食らってしまう。

 胴体や翼が傷付いた者たちはバランスを失い、地面へと墜落した。当然、軍人たちがその隙を逃すはずもない。

 降り注ぐ光線や砲弾により、ドラゴンたちの身体を傷付ける。ランドルなど無事だったドラゴンたちも、魔力を纏わせた翼を盾にして守っているが、その魔力の壁に光線が穴を空け、砲弾により傷を増やしていく。


 そこにソフィが駆けつけ、雨霰のような攻撃を放っていた集団やタンクに向けて、強烈な魔法を上空から叩き込んだ。

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