5-8 待機
ディルとガルディアは、並んで西の空を眺めた。
地平にわずかに残された最後の色が、藍色の夜空に押しつぶされ消えていく。見上げれば、すでにいくつもの星の輝きが聖地の上空に散りばめられていた。
どこからともなく日没の鐘が鳴り響くと、その余韻とそれに連なる新たな鐘の音が、東の空へと吸いこまれていく。
この鐘は、実際に太陽が地平に沈んだ時刻ではなく、こうして夜空が都市を覆い尽くした頃合いに、一日の終わりを報せてくれる。
眼下の産業路では、通りすぎる馬車の姿がまだ途絶えることはなかった。
その数こそ次第に減ってきていたが、いくつか点灯されている街灯の明るさを頼りに、夜にしては速い速度で駆け抜けていく。
ディルは、自身のすぐそばにあるロープの端を掴むと、それを二十センチほど引いた。
細いロープは、屋上から階段を伝って倉庫内まで伸びている。
少しすると、ディルが引いたのとほぼ同じ長さの分だけ、するりとロープが戻った。
定時連絡の際は、屋上側からこうしてわずかな長さを一回だけ引いて合図し、それを見たフィオリトゥーラが「問題なし」と合図を返す。
ちなみに、何か問題が発生した場合は、わずかな間を置きつつ三回連続でロープを引くことになっている。これを見た際には、連絡を受けた側は即座に相手の配置場所へと移動する。
屋上側であれば二人いるので、定時連絡での反応がない場合や、この問題発生の合図が届いた場合、ガルディアが倉庫内へと戻ることになっていた。
そして、標的の発見。つまり、フィオリトゥーラが外へ出て戦闘態勢に入る際の合図は、ロープを一メートル以上長く引っ張ることで報せる。
これを受けたフィオリトゥーラは、ロープを引き返して行動開始を報せた後、扉から外に出て、相手からは死角となる路地で、剣を構えて待機する。
その他も準備は万端だった。
産業路の路上から倉庫屋上を見た際の見え方の確認や、大小様々な声や物音が届く範囲の確認など、ディルの指示で全てが速やかに完了されていた。
ほとんど暗闇に近い空間の中、大きな棚の一番下の段に腰かけたフィオリトゥーラは、意識して緩やかに細く息を吐いた。
今引き返したばかりのロープをぼんやりと見つめる。
明かりがわずかに差しこむ箇所を見つけて、ロープの端をそこに置いた。すでに革袋から出してあるカルダ=エルギムの両手剣も、そのすぐ脇に置いてある。
もう随分と目が慣れてきていた。
最悪、ロウソクの一本でも用意するかとディルに言われていたが、倉庫近くの街灯にも火が点けられたことでその必要はなかった。
「長期戦になるだろうから、気を張りすぎずのんびり構えてろよ」
そんなディルの指示がまだ耳に残っているが、それに反して緊張は収まらなかった。意識せずとも、普段は聞こえない胸の鼓動や脈拍が鮮明に届いてくる。
剣を失った絶望の瞬間からここまで辿り着けたとはいえ、その機会はたった一度きりだろう。この機を逃せば、兄の剣はこの聖地から外へと消えてしまう。
目前にして、不安と緊張が加速していた。
例えば、広大な夜空を見上げたまま、いつ訪れるかもわからない流れ星の軌跡を瞬時に発見し、それを素早く手のひらで掴みとる。しかも、そのチャンスはたった一度きりで、それを逃せば全てを失ってしまう……。そんな行為を強いられているような恐怖があった。
耐えきれず、剣の柄に手をやる。
そして、兄から託された剣の姿を思い浮かべた。
彼女が「それ」を見たのは、ほんの数度だけだった。
兄が手に入れたそれを披露してくれた時、それを一人振るう兄の姿を遠巻きに眺めたいつかの夜。そして、託されたその剣を自ら手にした旅立ちの日……。
以来、自らが所持するも、再びその剣の姿を目にしたことはなかった。
不思議な剣だった。
クローディアが手にしていたあの月明りのような光を発する宝石同様に、フィオリトゥーラは初めて見たそれを「美しい」と感じた。
それだけに、兄が聖地の頂点でそれを掲げるイメージは、抽象的でありながらも強く彼女の脳裏に焼きついていた。
フィオリトゥーラは、ふと思う。
気がつけば、自分のことばかり考えている――。
あの漠然とした恐怖。ディルとガルディア、二人の道が途絶えてしまうかもしれないという不安が、今は目の前になかった。
それに気づいた今、またあの暗闇が襲いかかってくるのではと身構えるが、それでも自身に変化はない。
それだけ集中できているということなのだろうか?
不意に浮かんだ前向きな思考が引き金となり、くるくると巡っていた不安や緊張が、いつの間にか意識の外へと消えていく。
フィオリトゥーラは、先まで耳のそばで鳴っていた自身の鼓動が、今は遠くにあるのを感じた。
緊張はまだある。だが、先までと違う落ちつきが降りてきていた。
人の感情や思考というものは、何に起因して動くのだろうか。それは時に明確で、時に不可解なものだと、彼女はあらためて思う。
道の先を視界に捉えたまま、ディルは手にしていた干した果実の欠片を口にすると、ゆっくりとそれを咀嚼する。
先ほど、下のフィオリトゥーラとの三回目の定時連絡を終えた。
「やっぱり、なかなか来ないね」
ガルディアが呟く。その声はささやくより少し大きく、声帯を適度に振動させた程度の音量だ。
「まあ、わざわざ日没以降を選んでるんだ。すぐには来ねえだろ」
口の中の物を飲みこんだ後、ディルも同様にして話す。
これぐらいであれば、隣同士では苦労なく会話ができるが、下の産業路には真下でもなければ声は届かない。
眼下を、一台の馬車が右から左へ通りすぎていく。
ここで待機して以降、通行人の姿はまるでなく、夕刻ではあれほど頻繁に行きかっていた馬車の姿ですら、今ではほとんど見かけなくなっていた。
馬車が通りすぎた後の産業路は静まり返り、パチパチと燃える松明の音と、揺らめく炎が空気を震わせる音だけが聞こえる。
「月はまだだね。真夜の刻までだと、まだ半分も経ってないかなー」
座ったまま身体を伸ばすように反らして、ガルディアは東の空を眺めていた。
その隣でディルは、革製の小さな水筒に入ったワインを少しだけ口に含む。
リディアが用意した携行食の袋と水筒を、今は三人それぞれが所持していた。携行食の中身は干し肉と干した果実で、これを少しずつ摂取することは、栄養補給という観点以外でも長時間の集中を保つには最適といえた。
「馬車も通らなくなったな」
西側、街灯の炎が距離を置いて点々と連なる産業路の先を見たまま、ディルが言う。
二人の役割は決まっていて、ディルが産業路のみの監視で、ガルディアは周辺全体を見ることになっていた。
「それにしても、今回の件はほんと意外だったなあ」
体勢を戻して、ディルと同じ方向を眺めながら、ガルディアが再び呟いた。
「何がだよ?」
「いやいや。ディルが、だよ。こんな面倒見がいいなんて思わなかったし」
言われてディルは、眉をしかめる。
「おまえだって同じだろ?」
「ううん。僕はたぶん、ディルが動かなければ静観してたよ。今だって、半分ぐらいは厄介なことに巻きこまれたなあって思ってるから」
そんな言い方をしながらも、ガルディアは楽しそうにほくそ笑んでいる。
ディルはガルディアに悟られぬよう、小さく唇を噛む。
フィオリトゥーラを手伝うと決めた理由――。すでに、自分の中に湧いた感情と動機については自身で把握できていたが、それだけに、それを誰かに説明することはなるべく避けたいとも思っていた。
「やっぱり、惚れちゃった?」
ガルディアが覗きこみ、茶化したように言う。
「なんでそうなるんだよ」
「いや。むしろあの人相手に惚れない方がおかしくない? 正直言うけど、僕はフィオさんのこと好きだよ。美人だし清楚で品があるし、その上強くて、しかもちょっと変わってるしさ。まあでもあんな感じだから、どうにかなりたいなんて思わないし、普通の恋愛感情なんかとは全然違うんだろうけどね」
あまりに素直なガルディアの告白に、ディルは思わず小さく笑う。
「まあ、そう言われちまったら、俺にもそういうのがまるでないわけじゃないかもな。ただ、今回の件は違うんだ」
なんとなく毒気を抜かれたディルは、少し考えこむ。それを話すにしても、自身の中身をもう少し整理してからにしたかった。
予想外の反応を前にして、ガルディアは何かを訊ねたりせず、続くディルの言葉をしばらく待った。
「なんだろうな……。俺はあいつみたいなのを見て、前から不思議に思ってたんだ」
ディルが顔を上げた。
「俺がこれまで倒してきた奴らの中にも、たまに混じってやがった。自分じゃない『誰かのため』に闘ってるって感じの奴がな……。最初はそんなのは考えもしなかったが、次第に相手を見ればなんとなくわかるようになってきちまった。ただ、だからといって全部同じでもない。それが力になってる奴もいれば、逆に足枷になってる奴も見た。だけど、そいつら全員に共通してるのは、俺とは何かが違うってことだ」
普段ならば何かしら口を挟みそうなガルディアだが、今は黙ってそのままディルの話に耳を傾けている。
「俺は聖地に来る前もその後も、自分のためにしか闘っちゃいなかったからな。その何かがわからねえ。俺にとって、それが力になるのか邪魔になるのかさえ、な。ただ、考えちまうと、どうしてか頭から離れないんだ。我ながら呆れるが、半分イラついて、たぶん残り半分では、それを羨ましく思ってる……」
ディルはそこまで話すと一息ついて、あらためて産業路の先を凝視する。話をしながらでも監視を怠っていないと、そうして自分にもガルディアにも示した。
「だから、今回の件は丁度いいチャンスだと思ったんだ。俺がフィオのために闘えば、それがどんなものかわかるんじゃないかってな。まあ、結局はただの気まぐれってやつか?」
ディルは、口の端を歪めて苦笑する。
「ふうん。そしたらさあ、それはわかったの?」
「いや、まだ何も。俺はまだ、あいつのために力を振り絞って何かしてやったわけじゃないしな。そんなんじゃ見えてこないだろ」
ディルの横顔を見ながら、ガルディアは自身でも気づかぬうちに、どこか疲れたような冷めた表情をその顔に浮かべていた。
「誰かのため、ねえ……。そんないいもんじゃないと思うけど」
そんな呟きを耳にしながら、ディルはふと考える。ガルディアはどうなのか、と。
これまで、そういった雰囲気をこの男から感じたことはなく、それだけにガルディアがこの聖地で闘う理由や動機など、そこに関心を寄せたことは一度もなかった。
「おまえは――」
ディルは、思わずそんな疑問を口にしてしまいそうになるが、それを目の前に突きだされた手のひらが制していた。
「僕から振っておいてなんだけど、この話やめない? 集中できなくなっちゃうよ?」
手のひら越しにガルディアが、にこりと微笑む。
ディルもまた、自嘲するような笑みをそこに返した。
「そうだな」
そう答えた瞬間だった。
ディルの視線の先、遠く産業路の先の闇に小さく火が灯った。
まだガルディアには声をかけず、ディルは目を凝らして続く変化がないかと注視する。
すると、元々あったまばらな灯火の間を埋めるように、次々に炎が現れていく。
「やっぱり、全部点けるんだね」
視線の方向をディルと揃えて、隣でガルディアが呟いた。
やがて聞こえ始めた馬の蹄の音が、次第に大きくなってくる。それは断続的で、よく聞けば二つの音が重なっていた。二頭の馬が、それぞれ街灯の前で足を止めてはまた進むのを繰り返しているようだった。
二人は息を潜め、その様子をじっと見守った。
次々に浮かぶ灯りとともに、道の両端を進む二頭の馬が近づいてくる。手早く点灯作業を済ませるために、それぞれが道の左右を担当しているようだった。
すぐ近くの松明にも火が配られると、夕刻に見たのと同様に、聖剣教の者とおぼしき男たちが、各自馬を操り目の前を通りすぎていく。
ディルはそれを眺めつつも、交互に視線を産業路の先へと送るのも忘れなかった。だが、続いて誰かがやってくるといった様子は見られなかった。
誘導灯があるとはいえ、男たちの作業はかなり手慣れていて、二頭の馬が去っていくまでにはさほどの時間もかからなかった。
遠ざかっていく灯の列の誕生を見送りながら、再びガルディアが口を開く。
「そろそろかな。わかりやすくていいね。これ、フィオさんに報せる?」
「いや。音と光の変化で大体は察しがつくだろ。フィオから何かなければこのまま待機する」
答えてディルは、眼下の産業路を見渡した。
数メートル間隔で並ぶ街灯全てに火が灯ったさまは、なかなかに壮観だった。街灯の松明が燃える音が、左右からいくつも重なり耳に届く。
もはや産業路は暗闇ではなかった。これならば路上で何かする場合の制約は少ないだろう。
もっとも、それは相手にも同様のことがいえるわけだが……。
ディルが引いたロープは、わずかな間を置いてすぐに引き戻された。
四回目の定時連絡に対しても、遅れることなく反応してくる。
先の街灯に火が配られた際に何も反応がなかったフィオリトゥーラだが、変わらずしっかりと待機しているようだ。
彼女を一人で待機させることをいくらか不安に感じていたディルだったが、ここまでの間、特に問題は起きていないようだった。
同じく引き戻されたロープを眺めていたガルディアが、口を開く。
「ちょっとフィオさんの話でもしない?」
ディルは思わず眉をしかめた。
「何も話をしないで集中するってのも、思ったより疲れるなって思って」
「まあな」
少し前に自分で話を切っておきながら、唐突にそんなことを言いだすガルディアに呆れつつも、集中の維持が難しいことに関しては、ディルも同様に感じていた。
街灯に火が灯された直後こそ、すぐに標的が現れるのではと緊張し身構えたものだったが、それからすでにかなりの時間が経っている。
「で、なんであいつの話なんだよ?」
ロープを見て思いついただけかもしれないが、先の会話の中で、ガルディアから「惚れた」という言葉が出されたことで、あまり望ましい話ではないという予感が先立ち、ディルは思わず攻撃的に訊いていた。
「実はさ、フィオさんについて何かわかることはないかなって、少し前に調べてみたんだよね。だって、あの人、気になること多すぎじゃない?」
「調べたって、いつだよ? それにどうやって」
「僕の試合があった日に、第八教会広場にある図書館に行ってきたんだ。なにせ試合があまりにも簡単に終わっちゃったしさ。ちなみに、〝カルヴァート〟のネタを拾ってきたのもその時だよ。あ、先に言っておくけど、大して何もわかってないから期待しないでね」
「その口振りだと、何かしらわかったことはあるんだな」
ディルは、フィオの素性についてそこまで強い興味を抱いているわけでもなかったが、ガルディアが何かを知り得ているのならば、それについて聞きたいと思う程度に関心はあった。
「ラスタート関連の書物を調べたら、見つかったよ。〝ランズベルト〟って名前」
「まんまじゃねえか」
「うん。わりと簡単に出てきたね。ランズベルト家はラスタート王家直下の爵位持ちの家柄で、現当主は、シルヴェリオ・ランズベルト。爵位は伯爵。ラスタートの中だと伯爵号は、王家以下の主な序列の中では上から三番目に位置するみたいだね。三年前に隠居した先代の当主が、ラスタート王にかなりの寵愛を受けていた側近だったらしくて、与えられた領地とかこそそれほどじゃないものの、発言権なんかはその階級の域を越えた相当なものなんじゃないかって書かかれてたよ」
そこまで聞いても、ディルの中にはなんの感情も湧いてこなかった。元より自分とはかけ離れた人間だと認識していただけに、大した驚きもない。
「そんなことまで本に書かれてるもんなんだな」
ディルが平坦な口調で言う。
「帝国とかラスタートクラスのことになると、専門家や愛好家が山ほどいるからね。ディルはそういうの読んだことないの? せっかく〝読み書き〟覚えてるのに」
「政治や権力の話に興味はねえよ。名のある軍団や剣士とかでも絡んだ文献なら別だけどな」
ディルの興味の対象は、時に広がりを見せることはあってもその方向性は基本的に変わらない。実際、彼が聖地で読み書きを学んだ動機は、剣位やAランク剣闘士のリストを閲覧することや、有名な剣のブランドの目録などを読むためだった。
「にしても、反応薄いね。僕的には結構衝撃だったんだけどなあ。もし、本当にそのランズベルト家がフィオさんの家だとしたら、本来口も利けないような雲の上の人だよ、たぶん」
「知らねえよ、向こうから勝手に来たんだからな。で、そんな風に言ってるってことは、当主以外の名前とかは載ってなかったってことか?」
「あ、うん。流石にここの図書館程度じゃそこまではね。それがあれば、確定情報だったんだけど」
それを聞いてディルは小さく舌打ちする。
せめて、その名ぐらいでも――。
思わずそう考えた時、ディルは、今となってはフィオリトゥーラの素性云々よりも、彼女の兄の存在が自身の興味の対象となっていることに気がついた。
フィオリトゥーラの「剣」を形成したその存在は、一体どれほどの力を持つ剣士だったのだろうか? そして、何者なのか?
「――ディルはさあ、実際のところ、どう考えてる?」
ガルディアが少し唐突に、元より調整されていた声のボリュームをさらに絞って、ささやくようにして訊いてきた。
「ディルのことだし、盗まれたフィオさんの剣がどんな物なのかって、考えたことあるよね?」
ディルは答えない。だが、ガルディアの言うとおりだった。
剣を捜索する手段をフィオリトゥーラと検討する中、それについて深く思考することを意図的に停止してはいたが、それでその疑問が消えるはずなどなく、それは以降頭の中にずっと棲みついていた。
そのカルダ=エルギムの両手剣は、所有者である彼女でさえその存在について語ることが許されず、「非公式」などと言われている以上、おそらく国から持ちだすことも容易ではなく、さらにはこの聖地にただ二つしか存在しない物だという……。
この広い世界に対して、あまりに乏しい自身の知識の枠の中ですら、いや、多くの答えを持たないからこそ、安易にひとつの想像に辿り着きそうになってしまう。
「そんなことってあると思う?」
ガルディアは、ディルが何を考えているのか察したように質問を続けてくる。
「ねえだろ……」
ディルは、静かに呟く。
「少ない材料から推理した気になったところで、世の中にありえないことなんか山ほどあるだろ? この聖地の中でヴァレルやレディシスに会える偶然はあっても、外の世界はもっともっと広いんだぜ? 俺からすれば、カルダ=エルギムの剣をこの目で見られたことですら奇跡みたいなもんなんだ。ありえねえよ」
「でもさ――」
そのカルダ=エルギムの剣があるからこそ繋がるのでは、とガルディアは反論しようとするが、それをディルの手が素早く遮っていた。
口を噤んだガルディアの視界の中、ディルが見つめる遠く先で、小さく何かが動いた。




