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十六夜のぱっと晴れた顔は、また物思いに耽りじっと炎を見つめている。
彌眞は訝し気に彼女を見た。
少しの沈黙の後、十六夜は、
「南の蘇奴国まで、あとどのくらいかかるのでしょうか」
彌眞はなんとなく彼女は郷愁かなと思った。
「あと、数日はかかるかと」
正直に答えた。
十六夜は頷き、小さく溜息をつくと、
「本当に私達は、使命を果たせるのでしょうか」
彌眞は彼女の不安が多岐にわたると感じた。
自分もそう同じ気持ちなのだ。
彼は黙り込む。彼女は星空を見あげた。
「ごめんなさい」
彌眞は十六夜の詫びの言葉に答えられない、自分の弱さに嫌悪を抱いた。
無理に笑顔をつくる。
「なんで、謝るのですか」
少しだけ、おどけたように言う。
「すいません」
彌眞は大きく首を振り、
「大丈夫、ほら大丈夫」
と胸を叩く。
十六夜はかすかに笑った。
「こっちも大丈夫です」
と返してくれた。
二人は互いにぎこちない笑いをした。
「あなたのお母さまが、言われた通り一日一日を大事に生きましょう。きっとうまくいきます」
彌眞は炎を見つめながら、自分と彼女に言い聞かせるように喋る。
「はい」
彼女は頷いた。
十六夜は少しだけ落ち着いたのか、瞼をこすり欠伸がでた。慌てて手で口を押える。
彌眞はそれを見て笑った。
「もう!」
「夜も更けましたし、寝ましょうか・・・怖いですか」
彼女は笑って首を振ると、布を上から被り仰向けになって、満点の星空を見つめる。
彼も仰向けになって同じ星空を見た。




