女王
精霊の女王ティターニア、アンソニーとティラについて話がまとまった。翌日の事。
「アルベール。アルベール。」
「ん?」
屋敷でキョロキョロ辺りを見渡すアルベール。
「どうしたの?アル君」ルシェラ。
「今誰かの声が聞こえた。」シルフィード。
「声?」ルシェラ。
「アル様を呼んでいましたわ♥️」クロム。
「私よ。ティターニアよ。」
「あぁティターニアか。ちょっと待ってくれ。」
そう言って収納バッグから眼鏡を取り出して着けた。
「だっ誰と話てるの?」ルシェラ。
「あぁ彼女は精霊の女王。名をティターニアって言うんだ。昨日、あれからあの女の治療室に入って取引をしたんだ。」
「精霊……?」
シルフィード。
「うん。」
「凄いですわ♥️」
クロム。
「でも、精霊なんて本当に居るんだね?」
ルシェラ。
「居るよ。居るけど彼女達は基本的に【精霊共有】のアビリティを持つ人間としか会話をしないから。」
「じゃあ、なんでアル君が!?」
ルシェラ。
「取引したんだよ。あの女を目を覚ます事が出来るのは俺だけだから、それと悪霊の女王と繋いでくれと。」
「まぁ流石ですわ~♥️」
クロム。
「取引は成立したのか?」
シルフィード。
「まぁそうなるね。」
「いいかしら?」
「あぁ問題無い。」
「早速だけど、連れて来たわ…でも…その…彼女……緊張してるから優しくしてあげてね。」
「あぁ大丈夫だよ。」
精霊の女王ティターニアは悪霊の女王を連れて来た。
悪霊の女王は恥ずかしいからかずっと両手で顔を隠している。
「君がお姫様かな?」
「うぅ…」
顔を赤くして両手で隠している悪霊の女王。
「出来れば、顔を見せてくれないかな?別に君を取って食べるとかしないし、ただ君と一緒に過ごしたいだけなんだ。君の力を貸してくれないかな?」
両手をどかしてアルベールと目が合う。
「キャッ!カッコいい!!どーしよー。目が合っちゃった!!どーしよー。どーしよー。」
「可愛い顔してるね。」
「かっ可愛い…私が?」
「うん。可愛いよ。凄く可愛いよ。」
「アル君っ!!」
「アルッ!!」
ルシェラ、シルフィードがギロッと睨む。
「2人も可愛いよ。おいで」
ギューギュー
「アル君♥️アル君♥️」ルシェラ。
「アルッ♥️アルッ♥️」シルフィード。
「君も良かったらどう?」
アルベールは左手の手の平を差し出した。
チョコンと手の平に座る悪霊の女王。
「温かい…」
「今日は来てくれてありがとう。よかったらまた遊びに来てよ。」
「いいの…!?」
「うん。いつでもおいで。俺は君と仲良くしたくてティターニアに紹介して貰ったわけだから。」
「…うん……なら、暫く居て…いい?」
「勿論。こっちはずっと居て欲しいよ(笑)」
「本気に…しちゃうよ?」
「いいよ。そのつもりだから。」
「うぅ…嬉しい!!嬉しい!!嬉しい!!」
悪霊の女王はアルベールの左手の指に体をクネクネしながら絡み始めた。
「ねぇお姫様、君の名前を教えてくれないか?」
「ペル…ベルセポネ……」
「ペルって呼んでいい?」
「うん。ターニアにはそう呼ばれてる…」
「そうなんだ。これからよろしくねペル」
「うん…」
「騒がしいけど大丈夫かな?」
「…慣れるかな?」
「よろしくねペルちゃん!」ルシェラ。
「よろしくな!!」シルフィード。
「よろしくですわ~♥️」クロム。
「よろしくであります!!」リーゼ
「よろしく…お願いします…」
ペル。
「良かったわねペル。」
ティターニア。
「うん。」
「なら、アルベール。次はあの娘の事よろしくね。」
「あぁ、問題無い。」
「いつの予定?」
「明日かな?」
「わかった。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「施術をするから部屋を出てくれないか?」
「…」
「俺1人じゃなくて精霊の女王が居る。だから心配は無用だが?」
「わかった……」
総帥アンソニー。
翌日、アルベール達の屋敷でティラの施術が行われた。
「ねぇ貴方はどうだった?」
施術中、ティターニアが声を掛けてくる。
「何が?」
「あの時から今日まで、辛くなかった?」
「まぁ……」
「ティラの事、ごめんなさい。」
「…」
「この娘、貴方に嫉妬してたのよ…」
「…」
「追い出した人間に助けられるって笑い者よね。」
「まぁ、そうだな。」
「ねぇ……貴方は何なの?」
「何とは?」
「どっち側?それとも……」
「フンッ。俺は俺だ……俺のやりたい様に生きたい様に生きるだけだ!」
「そう……貴方、今幸せ?」
「あぁ。幸せ過ぎると…思う……」
「そう…なら良かったわ。」
「そうかい。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
ガチャ!!
「アル君っ!」ルシェラ。
「アルッ!」シルフィード。
居間にルシェラ達と総帥アンソニー、秘書がお茶を飲みながら何やら会話をしていた。
「終わったのかい!?」
総帥 アンソニー。
「あぁ部屋で寝ている。もうじき目覚めると思う。」
『えー。マスタ~あのざぁこ豚は一生あのままでいんじゃない?どうせ目覚めても、ざぁこなんだし(笑)』
アルベールの足元に居た額に水色の宝玉が埋め込まれている小さな白い九尾の狐が口を開く。
「まぁ…同意したい所だけど、阿天羅が生まれた時点で少なくともあの女は強くなってるからな。」
『えへへへへ。それ、アタシのお陰?』
「そうだよ。阿天羅のお陰だな♪」
『えへへへ、マスター好き!!』
そう言って白い九尾の狐はアルベールの右足に頬擦始めた。
「アル君…その狐…は何?」ルシェラ。
「この子は阿天羅と言って【ゾンビ化】をする上で体に核を埋め込まないといけないんだが精霊の女王からの要望でそれが出来なくて、それで思い付いたのがこの方法なんだよね~」
「で、その子が…核?」
「うん。あのお貴族様で言う所の呪流扉の役割がこの阿天羅なんだよ。」
「アル、お前また凄い発明じゃないか!?」
シルフィード。
「そうかな?」
「凄いですわ~♥️。流石、アル様♥️」
クロム。
「凄いであります!!」
リーゼ。
「まぁ、元々考えはあったから今、急に思い付いた案じゃないけどね♪」
ガチャ
部屋の扉が開いてティラが立っていた。
「おぉー!!ティラ!!」
総帥 アンソニー。
「ここ…は?」
ティラ。
「俺達の家だ。記憶が混乱しているかもしれないがお前達は赤鎧に無様に負けて死んだんだ。お前は精霊の女王ティターニアの尽力と俺様の叡智により、なんとか一命を取り留めた。そして今だ。」
「ノルン…達は……」
首を横に振る総帥 アンソニー。
「そ…んな……」
泣き崩れるティラ。
『うるさいわねっ!!ここで泣かないでくれる?アタシとマスターの感動の再会の場なんだからっ!!ざぁこ豚はどっか行ってなさいっ!仲間1人守れないざぁこ豚(笑)』
辛辣な阿天羅。
「…この……子は?」
「2度も説明するのは面倒なんだが……リュウという冒険者貴族の左手の役割をこの子が努めてくれる。名を阿天羅。」
『フンッ!アタシ全部知ってるんだから!!この馬鹿女がマスターを虐めたんでしょ!?本当っ!!性悪女よね!!さっさとくたばりなさいよっ!!ざぁこ、ざぁこ、ざぁこ。惨めなざぁこ豚(笑)』
「まぁ、それくらいにして、一応…施術の件は終わりましたが……」
アルベールがアンソニーを見ながら口を開く。
「うむ。我々はお暇するとしよう。お金は提案して貰った通りで頼む。今、2/3は集められたんだが……」
「前にも言った通り、利子で稼ぐ趣味はありませんから別に構いませんよ。」
「恩にきる……」
「それと、武器はどうしますか?阿天羅同様の武器を今なら作りますが?勿論、値は張りますが?」
「ちなみに、いくらかな?」
「30億。」
「うむ。」
「普通の武器じゃないからな。ほぼ同じ宝玉を埋め込んだ阿天羅をロッド状の武器にした様な強力な武器だからな。基本的に値はつけられない代物だ。」
「ティラはどうかな?前、使っていた武器は赤鎧との戦闘で折れてしまってね。」
「…総帥…でも、30億ですよね…」
「お金の事は心配しなくても大丈夫だ。私が何とかする。それよりも、君の意見が聞きたい。」
「…その武器を使えば…私は…今よりも、もっともっと強くなれるの?」
「それは、保証しよう。お前の様な馬か鹿が使っても100Fくらいなら1人で攻略出来るんじゃないか?」
「なら…お願いします。」
『マスターいいの?このざぁこ豚に勿体無いんじゃない?だってただの馬鹿女でしょ!?』
「貴方ねっ!さっきから馬鹿馬鹿ってうるさいわよっ!!」
「まぁ事実だがな。で、なければ君はここに居ないはずだが?前金は明日まで100万から500万内くらいを指定の口座に振り込んでくれ。」
「…」
「わかった。」
総帥 アンソニー。
『ハハハハハ!図星♪図星♪図星♪だから何も言えない(笑)!!』
「では、武器は完成次第そちらの本部に届けるとしよう。」
「わかった。よろしく頼む。」
総帥 アンソニー
総帥アンソニーを始め【青空の龍】の面々が帰り支度をし始めた頃。
『ねぇマスター。アタシもこの馬鹿女と行かなきゃダメなの~?』
「まぁ一応、核だからね……」
『うぇ~ん。マスタ~の意地悪。御姉様ー。ここに居ちゃダメ~?』
白い九尾の狐が目をウルウルして懇願する。
「アル君、どうにかならない?」ルシェラ。
「なんか、可哀想だし……」シルフィード。
「可愛いですわ~♥️」クロム。
「可愛いであります!!」リーゼ。
「う~ん。そしたら、そこの女も一緒だよ?後、精霊の女王も。」
「「「「…」」」」
「…」
ティラも黙る。
『マスタ~。お願い~。マスターと御姉様達と少しでも居たいよ~。』
「う~ん。」
「ティラ!!これが貴方が選んだ道の罰よ!!」
ティターニアが口を開く。
「私は何度も何度も彼女達を宥める様に言った筈よね!?でも、貴方は恋を優先した。それは素晴らしい事だわっ!何の犠牲もなければね!!貴方が選んだ恋は1人の人間の心を殺した上で成り立っていたのよっ!!」
「うぅ…うぅうぅ……」
再び泣き崩れるティラ。
「泣いて許される事なんて無いわよっ!!甘ったれるなっ!!貴方は立派な魔術師になって偉大な冒険者になれる器だったのに……まさか人としての部分で…最初の初歩的な所で……いいかいティラ。偉大な冒険者はその人間性も偉大なんだよ。今の、アンタと真逆。」
「…ごめん…ね…ア…ル」
「ねぇ、アルベールの奥方様達…どうか、この馬鹿でどうしようも無いこの娘を許せとは言わない。だけど、この屋敷に住まわせて貰えないかしら?」
「「「「…」」」」
「ちゃんと私が責任を持って見るわ。駄目かしら?」
「貴方は、どうしたいの?」
ルシェラが泣き崩れるティラに声を掛ける。
「うぅ…わかりません……でも、ここに置いて……貰えるなら…一緒に住みたいです…お願いします。」ティラ。
「そう……」
ルシェラはティラの顔を上げ、パチーンとティラの頬をビンタした。
「ごめんなさいね。私はね、ずっとずっとアル君の事が好きだったの。ノルン君に恋をしていた貴方ならわかるわよね?好きな人が虐げられているのを目撃したり聞いたりしたら居ても立ってもいられなくなる気持ち。私は生まれながら魔力量が少なくて冒険者を諦めて受付嬢として働いて貴方達を見てきたわ。何度も何度もアル君の側に居て支えてあげたかった。そして、何度も何度も貴方達、馬鹿女を殺してやりたいと思ったかっ!!この1発で私は終わりにするわ。」
「うぅ…ごめん…なさい。」
「ふぅー。一件落着ね。悪霊の女王ペルセポネ共々よろしくね。」
ティターニアが口を開き締める。
『えへへへ。マスターと一緒。』
阿天羅はアルベールの右足に幸せそうに頬擦りをしている。
「こういう形になったので、完成した武器は直接彼女にお渡しします。」
「うむ。それで頼む。ティラ、武器が完成したら報告だけ頼むよ。」
総帥アンソニー。
「はい…」
作者より
アルベールが総帥アンソニーに対して敬語とタメ口なのはアルベールの性格を想像しながら書いてます。
こういう感じかな~みたいな(笑)




