救援
「俺が赤鎧をやる。みんなは後ろで待機しててくれっ!」
「アルッ!正気か!?」
シルフィード。
「でっでも赤鎧って強いですわ!?」
クロム。
「問題無い。前回は驚いて後手後手に回ったけど今回は大丈夫だから。リーゼは烏の倍率だけ準備してくれないか?」
「はいっであります!!」
「踊り狂え。喜び悦べ!!!!!」
「【残骸骨・骸】【零式・閻魔骸狂八咫烏】」
「鳴き続けろ!であります!!」
「【閻魔帳・八咫烏】であります!!」
(えんまちょう・やたがらす)
多数の魔法陣から烏が出現し鳴き始めた。
カァー カァー カァー
アルベールは腰の剣を抜く。
「龍門登りし斬り刻め!!!」
「鎌斬龍っ!!!」(かまきり)
アルベールが持っていた剣が峰の部分に小さい刃が無数にあり、ノコギリ状になっている鎌の形状に変化した。
「じゃあ行ってくる。」
「うん。」
「あぁ。」
「はい♥️」
「はい。であります。」
置き去りにされた【青空の龍】のロムがアルベールを映し出す。
ロムのコメント。
・えっ!?
・アルベール居るよ
・アルベールじゃん
・アルベールww
・死神様
アルベールに気付いた赤鎧はゆっくりとアルベールの方に歩いていく。
アルベールと赤鎧がほどほどな距離に来た時、両者は一礼をした。
スパンッ!
一瞬の出来事だった。
アルベールが赤鎧の首を落とす。
赤鎧の真正面に立ち鎌を右斜め方向から左斜め下に振り落とした。
ロムのコメント
・何が起きた!?
・早ww
・首が落ちてるwww
続き様にアルベールは長刀を持つ右手を下から上に振り抜いた。
スパンッ!
ボタッ!
赤鎧の右手が落ちた。
「こんな物か……」
赤鎧は動かない。
タッタタタタ!タッタタタタ!
後ろに控えていた4人は遺体を回収しに行く。
「アルッ!!アルッ!」
シルフィードが叫ぶ様にアルベールを呼ぶ。
「待って素材回収して直ぐ行く。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「で、どうしたの?」
「いや、コイツ…まだ息があるぞ!?」
シルフィード。
「「「えっ!?」」」
驚く女性陣。
「ティラか……」
「コイツがティラか…」
シルフィード。
「あぁ」
「どうする?生きてるんじゃ収納バッグに入らないし……」
「俺が担いで帰るよ。」
「アル君……」
「大丈夫だよ。ルシェラさん。それにコイツはまだ使い道があるから。」
「…うん。……」
「じゃあ、帰ろうか……」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ありがとう。ありがとう。」
泣き崩れた【青空の龍】総帥アンソニーから何度も感謝を口にされた。
「後、これ。」
そう言ってアンソニーにロムを手渡すアルベール。
「アルベールよく無事に帰って来てくれた。流石だなお前さん。」
ギルドマスター ウォーテル。
「あぁ」
◇◇◇◇◇◇◇◇
アルベール達が【青空の龍】第1部隊を連れ帰った翌日にノルン達の弔いが行われた。
その後、【青空の龍】本部に呼ばれていた。
「本当にありがとう。」
総帥 アンソニー。
「いや、まぁノルンの事もあるので…」
「そうだね、だが彼も龍に所属している冒険者だ。トップとして感謝をしないと。」
「…」
「後、これは依頼料だ。受け取ってくれ。」
「いや、今回は俺の勝手でやった事だから。」
「…」
「だから、受け取らないし受け取れない。」
「そうか……」
「ところで、ティラはどちらに?」
「ティラ?……ティラなら治療院だ…」
「そうか、合わせて貰えないか?」
「いくら君でも…それは……」
「大丈夫だ。別に殺しはしない。殺すなら救援する時に殺してるだろ?俺はアイツに用がある。だから、背負ってきた。」
「…なら、私も着いて行く。それでいいか?」
「構わない。」
「だが、彼女は目を覚ましてない。それでもか?」
「あぁ、因みに俺なら目を覚ます事が出来ると言ったらその話を受けるか?」
「なっ!?」
「まぁまだ俺の方が話を着いて居ないから何とも言えないが……取り敢えず案内をお願いします。」
「みんな、悪いけど俺はティラの所に行くから先に帰って、何かお土産買って買えるからさ。」
「わかった。」
「はいよっ!」
「はい♥️」
「はい!!であります!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
ティラはベッドに寝ており目を覚ます気配は無い。
アルベールはティラの側まで来ると収納バッグから眼鏡を取り出し着けた。
ティラの頭の近くには手の平サイズで何処かの国の女王の様な高貴な女性が心配そうにティラを見ていた。
「お初にお目にかかる貴方が精霊の女王かな?」
アルベール。
「えぇ、そうね。初めましてね。私が精霊の女王ティターニアよ。」
「聞いていた通り一目でわかったよ。」
「貴方は…今はアルベールと名乗ってるんだっけ?」
「素性の詮索はよせ。精霊の女王。」
「…」
アンソニー。
「あら、ごめんなさいね。で、私に何か用かしら?」
「俺ならその女を目を覚ます事が出来るが?」
「遠慮しとくわ。」
「なぜ?貴方が滑稽に、今にも死にそうなその女の命の灯火を繋いでいるのに?」
「なら、何が狙いなの?」
「悪霊の王または、女王を紹介して欲しい。」
「それは…無理な話ね。後、悪霊は王ではなく女王よ。私と同じ。」
「女王なのか。ならその女王を紹介して欲しい。」
「だから、無理と言った筈よっ!」
「なら、貴方も薄々は気付いてるだろうがその女が目を覚ます事は2度無いな。」
「…」
「貴方がやっている事は意味の無い。ただの愚行。まぁ寿命という概念が無い精霊ならではの価値観はわからないから無価値とまでは言わない。ただ聖行とは言わない。愚行だな。」
「…」
「確かに目を覚ます事が無くても直ぐに死ぬわけではない。だから時間はあるが、その女は人間。勿論、肉体の寿命も当然ある。そういう意味では時間は無いかもしれない。」
「何が狙いなの?」
「だから、悪霊の女王を紹介して欲しい。」
「その後よ。紹介して何をするの?」
「何も?ただ俺の側で一緒に生きて欲しいだけ。」
「…」
「どうしても無理なのか?なら、これ以上は意味が無いから帰るよ。」
「待ってっ!!」
「何だ?」
「本当に目を覚ますでしょうね?」
「あぁその女は神経も筋肉も体内の魔力回路も切れてる。だから、新たに別の媒体を準備する。」
「難しい事はわからないけど…例の【ゾンビ化】ね?」
「知っているのか?」
「まぁね。貴方の過去も全てでは無いけど知ってるわよ。」
「素性の詮索はよせと言ったはずだが?」
「あらっごめんなさいね。それでこの娘に【ゾンビ化】を?」
「それしか、方法は無いだろうな。むしろその女だから出来る方法でもあるが……」
「なら、成るべく原形に近い形に出来る?
アレクサンダーさん?」
「フンッ!性格の悪い性悪女だな。まぁいいか。出来なくは無いがそれだと俺にメリットが無い。いいか?よく聞け。アンタが悪霊の女王を紹介する。俺がその女の目を覚ます。これで取引成立だ。それ以上の物を要求するなら対価を提示しろ。後、取引と言ったが立場が弱いのはアンタだぞ?俺はアンタに悪霊の女王を紹介して貰えないなら次の一手は考えている。だが、アンタは俺が首を振ればその女が目を覚ます事が無いんだからな。」
「わかったわ。なら、精霊の女王から貴方に貸しという形でどうかしら?これがどんな意味を持つか?貴方にはわかるんじゃないかしら?」
「…」
「後、悪霊の女王は……貴方の前に姿を現すのは…時間が掛かるわ。」
「なぜ?」
「貴方の事が大好きだからよ。自分の考えたオリジナル魔法を思い出せばわかるんじゃないかしら?貴方の放った大半の魔法からは悪霊になる魔力因子が生まれる。つまり貴方は悪霊の王と言っても差し支えないわ。王に惚れない王妃が居るのかしら?」
「探せばいくらでも?」
「まぁいいわ。少し時間をちょーだい。私が責任を持って納得をさせるから。」
「わかった。」
「アンソニーさん。俺の用件は終わった。で、アンソニーさんはどうしますか?先程からの会話を聞いて彼女の目を覚まさせますか?それとも、このままにしますか?」
「…頼む。よろしくお願いします。」
頭を下げるアンソニー。
「値段は税抜き50億ジャストだ。」
「50億っ!?」
「あぁ精霊の女王からの願いと彼女はあのお貴族様と違って首からしたが機能していない。つまり、再生させる部位が多い。これ以上も以下も俺は受け付けない。無理ならこの話は無しだ。俺の用件は俺が違う一手を使う、だから問題無い。」
「…」
「悩むのはわかる。額が額だから。だが、客観的に【深海の明星】のリュウを知ってるか?」
「勿論知っている。」
「最近、95Fを攻略した事も?」
「勿論だ。」
「あのお貴族様は白龍との戦いで左腕が失くなった。だが、今は俺が再生して着いている。そしてより強力な力を得た。そこの女は欠損している箇所的にそれ以上になる。それは断言できる。」
「…何が言いたい?」
「早い話。別途で俺の呪具と俺の制作した武器を買って使えば1人で100Fまでは余裕で攻略出来るはずだ。」
「…」
「そうなれば、50億なんて回収出来るし、むしろそれ以上だ。まぁ呪具、武器の値段は別途だから50億以上だが、それでもだ。」
「わかった……その話、受けよう。」
「あぁ、なら準備を進める。契約は明日でいいか?」
「あぁ、それで構わない。ただ支払いは少し待ってくれないか?恥ずかしい話、色々と集めないといけなくて……」
「あぁ構わないよ。なんなら利子無しの分割で構わないよ。1年に1回払いの。例えばだが、施術料税抜き50億だから例えば5年で契約して毎年1月1日に10億の引き落としとか?」
「恩に切る。」
「値下げはしないが、利子で稼ぐ趣味も無いから提案に対しては聞く耳を立てときますよ!?」
「ありがとう。」
「では、また施術の際に連絡を差し上げます。その女の体を俺達の屋敷に運ばないとなんで。」
「わかった。」




