問題児ジャバウォック
「臆するなよ。むしろ、丁度いいぜ!」
93F 白狼 特別個体 桃狼。
一本の大きな角の下に小さな角がもう一本生えている。
「カルロスッ!下がってろ!!」
「生命の源よ、俺の元にっ!!」
「【樹誕愚】!!」(じゅたんぐ)
「花開け!!」
「【花樹誕森】!!」(かじゅたんしん)
樹誕愚によって生まれた木から花が咲いて魔力因子の花粉を辺り一面に撒く。
「樹羅!!」
木から無数の兵士が生まれて桃狼に襲いかかる。
「増え続けろっ!」
「【倍々・菌】!!」(ばいばい・きん)
肉眼では確認出来ないバイ菌を空気中に撒き散らす。このバイ菌は相手の放った魔法の魔力因子を餌にして増えていく。
「俺に仕えろっ!!」
「【各角鹿血神】!!」
(かくかくしかぢか)
辺り一面に色々な色の子鹿が魔法陣から出現し樹誕愚によって生まれた木々を食べている。
成長し立派な雄鹿になると魔法を放つ様になるが使える魔法は1匹に対して1魔法のみ。
例えば、赤色の鹿であれば炎促成の魔法を使う。
紫色のドレッドヘアーの見た目とは裏腹に思慮深く戦況分析に長けているジャバウォックが深層に中々、挑まなかった理由は大きく2つ。
1つ目は攻撃倍率。
2つ目は状態異常に対しての対策。90Fオーバーのフロアボスともなればそれまでの毒や麻痺と違いより強力な状態異常魔法を放ってくる。これを如何に対応するか?
それがこの男がアルベールを自分の隊に入隊させようとしていた理由なのだ。
状態異常属性の相手が1番得意且つ攻撃倍率は聞いた事もないくらいの倍率を付与出来る。
アルベールには入隊を断られた。
成すすべは無いはずだった。
だが、この男は自力でそれを生み出したのだ。
各角鹿血神によって生まれ成長した攻撃倍率付与の雄鹿は今まではどんなに居ても重ね掛けは不可能だったが、それを乗り越えたのだ。
今では攻撃倍率付与の雄鹿の数×倍率が付与出来る様になっていた。
「今こそ、癒す時っ!!」
「朝露!!」
開花した花から水滴を発射して状態異常を無にする。
2つ目の強力な状態異常をどう対処するか?に対して、紫色のドレッドヘアー男のアンサーがこの技なのだ。
朝露により、辺り一面に状態異常を消すシャワーを噴射し何事も無い状態にする。
桃狼は原種とおり黒い瘴気纏いながら氷属性を扱っている。
【倍々・菌】により瘴気と氷属性の魔力因子は消え、皆が警戒する瘴気は朝露によって完全ではないものの今、現在で半分近くは消される。もう少し時間が過ぎれば瘴気の魔力因子もさらに無くなり朝露の効果が完全に上回る事が予想される。
戦いが長期戦になればなる程、ジャバウォックに勝ちが転がる布陣が完成したのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ハァハァ……ハァハァハァハァ。」
「おいっ!ジャバこんな所に居たのか?」
【太道の虎】の魔法練習場。
終日、ジャバウォックはここで魔法の練習をしていたのだろう。
「カルロスか…あぁ、コイツらを完成させねぇと俺達は先に進めねぇ……ハァハァ」
「だからって少し無理し過ぎだろっ!」
「ハァハァ…今、少しの無理で済むなら願ったり叶ったりだろ?ハァハァ…ダンジョンに入ったら少しの無理なんか当たり前だろ?ハァハァ…」
「それで、今倒れたら本末転倒だろっ!」
「ハァハァ…いや、それでも完成させないと。」
「ジャバ…お前……変わったな。」
「ハァハァ、何だ?急に…」
「いや、思ったたけだ。」
元々、クランいや国内でも問題児として有名だったジャバウォック。
パーティーを組めば攻略してもその冒険者達と喧嘩にまで発展し何度も何度も治療院送りにしてきた。
彼が生まれた時に授かったアビリティは【森羅万象】と【天地創造】の2つ。
本来、アビリティは1つのはずが彼には2つ。
だから、人々は彼を神児と崇めた時期もあるがそれはあくまで冒険者として。
人としては自分の才能に溺れ努力を怠り、パーティーを組む冒険者達には悪態をつくまでがセット。
そんな、状況に当時の【太道の虎】総帥が彼を引き入れカルロス・マルティネッリを世話係りとして何名したのだ。
「うるせーぞ!俺に指図すんなっ!!雑魚が!」
「口の聞き方から教えてやるよ小僧。」
2人は何度も何度も衝突した。
そして、何度も何度もダンジョンを攻略した。
ジャバウォックとカルロス。
2人が揃えば連携など無くとも個々である程度の階層を攻略出来る。
いつしか【青空の龍】の第1部隊と並んで国内トップのパーティー、冒険者としての地位を確率した。
「チッ!邪魔なんだよ!コイツらっ!!」
「誰だ?」
「コイツだよ!」
「あぁアルバスか。最近、勢いに乗ってるよな。」
「おいっ!カルロス!俺は負けねぇぞ!!」
「あぁ。知ってるよ。」
そこから、才能に溺れた問題児が少しずつ変わっていった。最初はパーティーメンバーの事を考える様になった。パーティー内の連携を考慮し始めた。
そして、今では93Fをより安全に攻略出来る様に努力している。
◇◇◇◇◇◇◇◇
桃狼と木々が戦っているのを遠くから見守る第1部隊の面々。
「いつの間に?こんな強力な魔法を?」
回復師のアンが口を開く。
「まぁな、このまま独走を許す程、俺は甘くねぇって事だ!フハハハハハ(笑)」
ジャバウォック。
「なぁ、カルロスお前も一発お見舞いしとけよ!?」
「あぁ。」
「重力の前に抗うな足掻くな!」
「ただ、屍に成りし時までそこに居ろっ!!」
「重域・加重力!!」
ズドォン!!
桃狼が足元から沈んでいく。
ワォーン!
甲高い鳴き声を発する桃狼。
ズドォン!!
ワォーン!
もはや、足掻く事も許されない桃狼は少しずつ弱っていく。
バンッ!
ドンッ!
ガンッ!
成長した属性雄鹿が各々、魔法を放って桃狼を攻撃している。
ワォーン!
甲高い声をあげ桃狼は倒れた。
「フハハハハハ!フハハハハハ(笑)
俺達の時代だっ!!」
ロムのコメント
・来たー!!
・ヤバいヤバい!!
・アルベールと同じくらいの安定感ww
・ジャバウォックって前の世代だろ?
・今の観てないんか?
・それな!全然現役だろ!!
・天下取れんじゃねwww




