8.汰世さんを説得。その3
「むぅ」
汰世さんの手が、自分の左側にあるベットの上のヌイグルミに伸びます。
「…そう言う事情かぁ」
数回の空振りの後で、何とかひとつを確保。
それを、横座りしている自分の右の太ももの上に座らせました。
「……ホントサぁって、文夏さんと真茉ちゃん絡みだと、アレだよねぇ」
正座していた佐世さんが、頭を下げます。
「面倒くさくて、申し訳ありません」
「………自覚はあるんだ」
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「それってさぁ」
汰世さんは、ヌイグルミを両腕で抱えました。
「タぁが、真茉ちゃんの前で制服姿なら良いんだよね?」
正座を崩しながら、佐世さんが頷きます。
「はい」
「じゃあ── お披露目前に着替えられれば、無問題じゃん??」
「─ おお」
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「でぇ」
抱えているヌイグルミの頭を、自分の顎に押し付ける汰世さん。
「…何処で着替えようかなぁ」
佐世さんは、自分の下唇に左手の親指の腹を当てました。
「改めて家に帰って着替えて来るのは── 大変過ぎますよねぇ」
「駅の公衆トイレでか、着替えるとか?」
「なんか、怪しい人みたいですね」
「着替えた後、休日にひとりで制服姿で歩くのもなぁ」
「それは、判ります」
ヌイグルミの頭が、汰世さんの顎から離されます。
「あと、それだと… デート中タぁは……制服持って歩く事になるしぃ」
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「判りました」
佐世さんは左手の親指で、自分の下唇を押しました。
「汰世さんの制服一式は、私が真茉ちゃんの家まで持っていきます」
「…良いの?」
「はい。それなら汰世さんは、現地で着替えられますよね?」
「……だね」
自分の下唇を、左手の親指で押すのを止める佐世さん。
その顔を、汰世さんが覗き込みます。
「お願いして良い?」
「任せて下さい!」




