決着の夜
「さすがですよ、倉沢君
彼ら4人をまとめてあげているだけあります
黒幕が僕だって察しがついていたんですね」
いつもの敬語で勇真に話しかけるが
そのたたずまいや表情には
怯えや頼りなさは見られない
どっしりと構えた態度と
5人を捉える目付きは
学校で見る三浦とは全くの別人のように思えた
「三浦が黒幕?」
その姿を見ても未だに信じられない4人
「そうです
裏で糸を引いていたのは
全部僕です」
「盗聴していたのもあなたですか?
だとしたら、どうしてそのことを幹部の人達に
黙っていたんですか?」
鈴は北山が盗聴について
知らないと言っていたのが
ずっと引っ掛かっていた
「もちろん盗聴も僕です
川口には話しましたが
君達の名前は伏せていました
君達の行動は僕の良い暇潰しだったんです
もし川口に名前が知れたら
そこで君達の計画は終了させられてしまうでしょ?
今夜、君達が内部分裂するところを
見られると思ったんですけどね
残念です
まさか盗聴器を逆手にとられるとはね…」
そう言いながらも
三浦は目を細めその声には笑いを含んでいる
「暇潰しってこいつ…!
騙してたのか!?」
涼は以前三浦が生徒を守りたいと
言っていたことを思い出していた
涼が興味を抱いた三浦のその思いは
義務でもなく無償のものでもなく
計画の1つだったのだ
「えぇ、学校では頼りないけど
生徒思いの教師を演じてたんです
君達を監視下に置くために
退学処分を取り消すように
理事長に裏から働きかけもしました
上手く騙せてたみたいでしね
倉沢君以外は」
三浦は楽しそうな目を
勇真に向ける
だが勇真は敵意を込めた視線を崩さない
「ホテルの会議室に
裏切り者が俺らの中にいると疑わせるあの紙
俺らの存在を知っていながら何も手を出してこない
となれば、どこかで様子を見ているはず
川口ならすぐに手を打つだろうから違うと考えると
それはこれから接触してくる人物か
もう既に接触している人物だろうってことも
でもそれがあんただって思ったのは
さっき川口から自分よりも上の存在がいることをほのめかされた時だ
俺らには闇社会で決して存在がバレない所にいるなら
表社会では積極的に関わってる人物なんじゃないかってことで
あんたが思い浮かんだ」
「すごいですね
本当に見ていて飽きません」
まるで何かを成し遂げた
生徒を誉める教師のように
三浦は喜んだ
「ふざけるなよ」
そんか三浦に怒りを露にしたのは
賢人だ
だが三浦はそんな怒りをさらりとかわす
「僕の祖父が塚本君の祖父たちから
この街を奪ってからもう
何十年も経ちますが
まさか孫同士が睨み合う日がくるなんて
予期していなかったでしょうね
」
「こんな狂った街造りやがって」
そう一華がぶつけた言葉に
三浦は心外だと言いたそうな表情に変わった
「表だけで生活している人にとっては
賑やかで暮らしやすい街なはずですよ
むしろ僕らがいるからこの街は成り立っている
裏に足を踏み入れた人は
自業自得ですよ
さぁ、ネタバラシも済んだことですし
どうします?
もうこの組織は壊滅的です
でもだからって
僕を見逃しては
………くれないですよね?」
三浦は隠し持っていた銃を出すと
片手で構えて勇真に向けた
三浦だって逃げるつもりなど
最初からなかった
三浦は優位に立ったと思ったが
同時に自分にも勇真の両手により
銃口がしっかりと向けられていた
「これ、川口の銃を借りたんだ」
かつて一華が川口と公園でやり合ったとき
一華に銃を蹴り飛ばされたが
パトカーのサイレンの音が聞こえ
銃を回収できずにその場を去った
それを一華にも見られることなく
こっそりと拾ったのが勇真だった
「ぬかりないですね」
「当たり前だ」
そして一瞬で引き金が引かれる
今までの街に別れを告げるように
建物の中に2つの銃声がこだました




