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この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
最終章 終わり、そして始まり
33/37

黒幕が月明かりに照らされる夜

協力する、ということで

戦いを再開させた5人だが

イマイチ協力というものがわからないらしい


「塚本君、誰かと協力したこととかありますか?」


「そんな記憶ねーな」


「私も」


向かい合ってそんな会話をする賢人と鈴


振り返ってみれば

今まで協力なんてしたことなかったのだ


しかし2人は同時に1歩踏み出すと

そのまま互いの背後を狙っていた敵を

倒しにかかった


「こういうことでしょうか」


「かもな」


2人はまだ言葉を交わす余裕があった


一華は自分の身体能力を生かして

軽やかに敵にぶつかっていく


勇真も負けじと

相手の死角からの攻撃を計算して行う


涼は4人が倒して動かなくなった奴等に

廊下に置いてきたものと同じ

煙のようなものを吸わせていった


幹部たちは先程までとは違い

まるで自分1人で5人を相手にしているような

戦いづらさを感じていた


「涼、こいつには吸わせなくていい」


気付けば幹部の中で

意識がある者は川口だけとなっていた


「てめぇら……」


ロープで身動きがとれないように

川口を縛っていく勇真


「このパソコンとUSB

貰っていくぞ」


涼は会議室に置いてあったこの2つを

リュックに詰め込んだ

これを鍵に兄の失脚を実行するつもりだ


「俺は街を奪い返そうとは思ってねーよ


ただ

お前らを潰した事実があればいい」


これで祖父を超えられたんだろうかと

ぼんやり考えている賢人


「ウルドも消滅ですよね

私はもうこの組織とは何の関係もありませんので」


いつもの口調の鈴だが

その目には力がこもっていた


「この組織を潰せて良かったよ

順也もこれで自由だ…」


そう言いながら口元の血を拭う一華


「福本を倒せたんだし

妹の復讐はできた……」


勇真だけはまだ

目の前にもやがかかっているような気がした


これで終わりではないような……


「てめぇら、

これで終わりだとでも思ってんのか?」


「どういうことだ?」


勇真はすぐに疑問をぶつけた

嫌な予感がしたからだ


「言っとくがな

俺はこの組織のトップなんかじゃねぇ


組織を潰そうと企んでるのが

お前らだって知ってたら

すぐに動きを封じてたに

決まってんだろ!」


「お前が盗聴してたんじゃないのか?」


一華もかなり不思議そうにしている


「俺もお前らも

結局はあの人に踊らされたんだよ

あの人の暇潰しのためにな」


「もういい

行くぞ」


勇真は何かに気づいた様子で

会議室を出た


その目付きは鋭く

危ない感じをまとっている


「おい、勇真

どこ行くんだよ」


一華に続き皆が追いかける


「……」


勇真は何も言わずに急に立ち止まった

4人から

追いかけられているからではない


勇真の向かっている方向に

人の気配を感じたからだ


「本当に俺らは良いように踊らされてたんだよ


俺の考えが合ってるなら

ずっと俺らを見張ってたんだろうな」


「なんだ?

ユグドラシルの本当のトップのことを言ってんのか?


誰なんだよ、そいつは」


その時、廊下の奥から

コツンコツンとゆっくりとした足音がする


「さぁな

名前は知らない」


窓からこぼれる月明かりが

その人の足下を照らす


「俺らが知ってるのは偽名だろうからな

敢えてその名前で呼ぼうか


赤原学園2-F担任、三浦孝之」


その姿を見た勇真以外の4人は言葉が出なかった


そこには黒いスーツに身を包み

いつも学校でかけている眼鏡はなく

余裕の笑みを浮かべる三浦がいた

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