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この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
最終章 終わり、そして始まり
32/37

目指すは最上階の幹部ども

一方最上階7階を目指す勇真と賢人と鈴

3階までは人が見当たらずがらんとしていたが

4階に上がると男たちが何やら騒いでいた

怒号も飛び交っている


そんな中に真っ先に飛び込んで行ったのは

賢人だった


1人目を蹴り飛ばし

2人目を殴り飛ばし

3人目を頭突きで倒し

そういう具合で次々と戦闘不能に追いやっていく


そしてあっという間に4階にいた全員を

倒してしまった


「全然満足できねー

次行くぞ」


少しも疲れていないような賢人は

すぐに5階へ向かったため

勇真と鈴も追いかける


5階は4階よりも人が多かった

だが同じように賢人1人で倒していく


「圧倒的な強さですね」


「あぁ、賢人には

何人がかりでも勝てないのかも」


浅く切りつけまくる賢人を

2人はどこか他人事のように思いながら眺めていた


そして6階に上がった頃

一気に電気が落とされた


目が暗さに慣れるまでに時間がかかると思った勇真だったが

賢人には関係ないらしい


すぐに目が慣れたのか

それとも感覚的に戦っているのか


暗闇から攻撃してくること

それはユグドラシルのメンバーに

恐怖を与えた


次第に目が慣れてくると

男達は反撃を始めた


「このクソガキがぁぁ!」


拳を振り上げて賢人を仕留めようとする

しかし彼らは止められた

そして直ぐに体が宙に浮き

床に叩きつけられた


「そろそろ私達も動きます

準備運動です」


鈴はしなやかな動きで

敵を倒していく


「そうだな

俺も動いとくか」


勇真は敵の懐に入り込むと

肘をみぞおちに入れた


その動きにはキレがあり

力強さがあった


「倉沢君、戦えたんですね


「意外とやるんだな」


勇真が戦っている所を見たことがない2人は

驚いた声をあげた


「まぁ、一応」


勇真は少し照れ臭そうに返事をした

あまり人には言っていないが

勇真は空手の有段者だ


きっと自分が何もできないほど弱ければ

こんな作戦を立てようなんてしないだろう


「もうこの階も片付いてんだな」


そこに一華と涼が辿り着いた

涼はそう言いながら

また缶を取り出し線を引いて

カランと投げた


「これ俺らが吸ったらまずいから

早く上にいこう」


「あぁ、残すは7階

最上階だ」


涼に返事をした勇真は

階段を目指した


するとそこに人影が見えた

目が合うとその男は慌ててもと来た道を走った


「あ!逃げんじゃねーよ!」


獲物を追いかける猫のように

反射的に一華が後を追った


それに続いて4人も駆け出す


7階にあがると1つの大きな扉が見えた

逃げた男はその扉を開けようとしている


「待てよ!」


男が中に入り扉が閉まった


「あー、あいつ多分

扉蹴破るよな」


「たぶんな」


「蹴りますね」


「跳ぶだろうな」


先を走る男と一華の様子を見ていた

4人は

次の一華の行動を予想した


直後

一華は扉の前で足のバネを使い跳ねると

そのままの勢いで扉を蹴破った


「やっぱり…」


ため息混じりの4人の言葉が重なった




あちこちで戦いが行われている会議室


さすがは幹部といったところだろうか

不意打ちで襲撃されたとはいえ

直ぐに対応している


「篠原、どういうことだこれは

裏切りかぁ?」


鈴はウルドをよく監視に来ていた

北山とやり合っていた


「裏切り?これは復讐ですよ


というか…

盗聴までしてて私がこのチームにいること

あなたは知らなかったんですね」


「はっ、知らねーよ


こんなことしてどうなるかわかってんだろーな」


北山は次から次に殴ろうと攻撃を繰り出すが

鈴には全く当たらない


その時鈴の死角からもう1人が

体をぶつけてきた


気付いた鈴だがほんの一瞬

反応が遅れ

床に転がされる


別の場所では

勇真が数人を相手にしていた

その中には勇真の妹をいじめていた女子生徒の父、

福本もいる


「お前らみたいなガキを相手してる時間はないんだよ!」


自分の娘に薬を渡したのが目の前の男だとは

思いもよらない福本


勇真も言うつもりはないらしい


「こっちにはあるんだよ

お前らを潰す明確な理由がな」


怒りに任せて殴る

だが人数的に不利な勇真は

足をはらわれてバランスを崩し

腹部に攻撃を受けてしまう


涼と賢人は

好きなように戦っていた


1人を掴んでは殴り殴られを繰り返している


だがそう広くない会議室で多くの人数がやり合っているため

掴まれ飛ばされた涼が

賢人にぶつかるということが起きている


「てめぇ邪魔すんなよ!」


「邪魔ってなんだよ!」


そして2人で言い合いをする始末だ


一華は川口と1対1だ


「前みたいにまた地面を拝むことになるぞ」


「黙れ

きっちりケリつけてやんよ!」


一華は攻撃を仕掛ける

1度戦っているからわかる川口の強さ

気を抜いたり隙を見せたり

してはいけない相手だということは

わかりきっていた


「ぐっ…」


集中して戦っていたが

一華は川口の蹴りを受け

背中を壁に打ち付けた


だが何度でも起き上がる

次はどう攻撃したらいいのか

高い集中力の中、一華は考える


その時、一華は視界の端に何かを捉えた

無意識のうちに体が動く

その場から走りだすと

椅子を持ち上げそのまま幹部の男にぶつけた


「はぁ……はぁ」


一華は自分の意図しないところで

体を無理に動かしたため

息があがっている


「足手まといになるなら

ついてくるんじゃねーよ、五十嵐」


壁に追いやられている涼に

言い捨てた


あのままだと涼は骨が数本折られていたかもしれない


そう、一華は涼の危機を救ったのだ

無意識のうちに


その様子を見ていた勇真と賢人と鈴

その瞬間、ここでの戦いかたが見えた気がした


3人は一華と涼の元に駆け寄ると

全員が背中合わせに立つ


「お前らやべーんじゃねーか?

なんなら俺1人でやってもいいけど」


「何言ってるんですか

脇腹から血がポタポタしてますよ」


強気な発言をした賢人に

冷静なつっこみを入れる鈴


「まじだ

血出てんじゃねーか

休んでれば?」


「うっせー、柴崎

こんなの痛くも痒くもねー


柴崎こそフラついてんじゃねーか」


「あ?

あぁ、1人雑魚がいたからな」


「てめ、それ俺のことか?」


助けられたと言うのに

涼は思いっきりガンを飛ばす


敵を目の前にして軽快に嫌味な会話を弾ませている


勇真の口は弧を描いた


「ここにいる10人全員が俺らの敵だ


言いたいこと…わかるよな?」


勇真は言葉には出さなかったが

4人にはきちんと伝わっていた


協力して戦えば

勝てない相手ではない、と


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