反乱軍倉沢組
勇真が説得のために涼と賢人を呼び出した夜
2人話した作戦はこんなものだった
「おそらく俺達5人の中に裏切り者はいない」
「なんでそう言えるんだ?」
「さっき言ったように
まだ確証が無いから詳しくは言えないけど…
これを見てほしい」
そう言って勇真は携帯の画像を見せた
そこに写っていたのは差し込んである三穴コンセントだ
「これがなんだ?」
いきなりコンセントを見せられて困惑する2人
「これ、盗聴器なんだよ」
「盗聴器!?
ってことはそれのせいで
俺らの行動がバレてたってことかよ!」
驚きを隠せない涼
一方賢人は眉間に皺を寄せている
「こんな小細工しやがって
じゃあなんだよ
これを仕掛けたのは学校の奴か?」
「いや、わからない
こな学校の裏にはユグドラシルの影が
見え隠れしてる
でもまさか
盗聴器が仕掛けてあるなんて思わなかった」
学生から盗む情報なんてないと奴等は
考えるだろうと思っていた勇真
学校に盗聴器が仕掛けられていることは
盲点という他なかった
だからこそ思ったのだ
こっちもこの盗聴器を使ってやろうと
その時、別の場所で話していた
一華も鈴に連れられて
3人に合流した
そこで勇真は考えた作戦を話し始めた
「木曜日の放課後
また同じ空き教室で
作戦会議と称して偽の情報を俺らで話す
それを盗聴した奴等は
おそらくまた会議の場所を変えるだろう
俺らはその移動先を襲撃する」
「待て
移動先ってどこだ?」
賢人の疑問に
勇真はニヤリと笑った
「あぁ、やっと見つけたよ
この建物が間違いなく移動先
ユグドラシルの拠点だ」
勇真が取り出した1枚の写真
そこにはマンションのように見える
背の高い建物があった
「幹部が油断しているところを狙う
それに最近はユグドラシルの内部が混乱しているようだからな」
「えぇ
今が混乱のピークだと思う
仕掛けるなら早い方がいいでしょうね」
ということで
金曜日の夜10時少し前
川口がそろそろバカどもがもぬけの殻である
会議室に襲撃をかけるころだと思っている頃
5人はユグドラシルの拠点の入り口にいた
ガラスの扉にロックがかけてある
「入ったらイチと涼は地下に行って
建物の電気を遮断させる
賢人と鈴と俺は
最上階を目指す
足止めは食らうだろうが
問題ないよな?」
「そこは問題ねー
なんで俺がこいつと組まなきゃなんねーんだよ」
「あ?
お前が1人だと弱ぇからだろ」
パソコンのキーをカチカチ打ちながら
不服そうな涼の嫌味に
一華が睨みながら返す
「どうすんだ、これ?
叩き割っていいのか?」
「叩き割らねーよ!」
入口のガラスを見ながら言う一華に
黙っていると本当に割りかねないと感じた勇真は
慌てて止める
「できた、開くぞ」
パソコンをいじっていた涼の手が止まった
ロックの掛かっているエントランスを
ハッキングで開けていたのだ
「それじゃあ、行くとするか」
全員が覚悟と共に頷き
今、ユグドラシルの拠点に足を踏み入れる
入った所には誰もいない
だがもちろん気は抜けない
階段を見つけた5人は
計画通り二手に分かれる
地下に向かった一華と涼
全く人がいない
余裕を感じたその時
主電源がある部屋の前で
数人の男たちが言い争っているのが見えた
「柴崎、なんかいるぞ」
「あぁ、なんかいるな」
その声に反応した男達は
一旦言い争いを中断する
「なっ、どうやって入ったんだよ!」
「ここはガキが入ってきていい所じゃねーんだよ」
「っつーかお前ら誰だ!?名乗れよ!!」
「うっせーな
お前らどうせ雑魚だろ?
俺が相手するまでもねーんだろ
だからこいつで充分だ」
片方の耳を抑えながら
ダルそうにそう言った
涼が喋っている最中に
既に敵に向かって走り出していた一華
それを見ながら調子の良いことを言う涼
涼が喋り終わると同時に
男達を殴り飛ばしたため
結果的に一華は
涼の言いなりのような扱いになってしまった
「てめー、ふざけてんじゃねーぞ!
何がこいつで充分だ、だよ!
私はてめぇの下っ端じゃねーぞ!」
「聞こえてたんだな」
全く悪びれた様子もなく
涼は扉を開ける
「主電源は…これか
落とすぞ」
「…」
一華はチラッと見るだけにとどめた
涼がレバーを下げると
ブーンと何かが停止したような音が聞こえ
建物の電気が一斉に消えた
「よし、ここまでは順調だ
上に行くぞ」
「私に命令してんじゃねーよ」
一華はそう言うと
対抗心からか涼を追い抜いて先に階段へ向かった
その時、涼は男たちが呻く声が聞こえた
「お前ら……いったい…」
「俺らは……あー、その
なんだ…?
反乱軍倉沢組とかいうらしいぜ」
何を思ってそう名乗ったかはわからないが
涼はおもむろにリュックから缶を取り出すと
線を引いて床に転がした
そこからは煙のようなものが床1面に広がり出している
「暫くの間眠っててもらう」
そう言い残して
涼も階段を駆け上がった




