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この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
最終章 終わり、そして始まり
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予期せぬ侵入者

2度目の会議室の移動を川口は幹部に伝えた

移動場所はユグドラシルが拠点としている建物の最上階だ


幹部全員が席に着いたのを確認すると

川口も座り険しい表情になった


「福本!お前娘が薬物に手を出したからって

その犯人探しに懸賞金まで懸けてんじゃねーよ


お陰で今、内部は混乱しちまってんだろーが」


睨まれた福本は下を向くが

黙ったままではない


「しかしですね

あの薬はうちの組織の物ですよ


掟を破った奴をそのままにできる訳ねーっすよ!」


自分達では金儲けのために散々他人の人生を食い物にしてきながら

自分や身内にその危険がふりかかると

今までの事を棚にあげて怒りだす


これは人間として当然なのかもしれない


薬に手を出す方が悪い

騙される方が悪い

福本は何人もの他人に言ってきたが

それは自分には通用しない


「お前が娘を思う気持ちはわからねーでもないけどよ


この混乱に乗じて

うちの組織を潰そうと企むバカどもがでてきてしまってんだよ!」


バンと机を掌で叩く

その乾いた音が部屋中に響き渡る


「いや…ですが……」


言葉がでない福本に代わり

別の年配の幹部が発言をする


「ってこたぁ、川口さん

そのうちの組織を潰そうとしてる輩と

会議室の移動は関係してるっちゅうことですかい」


「そうですよ

どうやら今日失敗したら

諦めるらしいんでね


また空の会議室に襲撃かけて

チームはバラバラになるんでしょうよ」


「それなら

別に我々が移動しなくても

迎えうてばいいんじゃないっすか?」


また別の幹部が

軽い調子で質問する


「いや、それじゃあ面白くない

そのバカどもには絆と言うか

信頼関係のようなものが

できているようなんでな


それを崩してから

終わらせてやるんですよ」


「なるほど

川口さんも人が悪いや」


不気味な笑い声がおこる


「そろそろ22時か

バカどもが空の会議室に飛び込む時間だな」


川口は腕時計に目をやると

口元に笑みを浮かべながらそう言った


「では川口はん

わしらは会議を進めましょうや」


年配の幹部の一言で

会議が始まろうとする


しかし会議室の外が未だに騒がしい

内部が混乱しているとはいえ

会議室にまで騒音が聞こえてくるのは好ましくない


「おい!」


川口は会議室の外で待機している若い男に

静かにさせるように言った


若者は一礼すると静かに会議室から離れていった


しかし一向に騒ぎは収まらない

すると会議室の電気が全て消えた

窓から月明かりが入ってきているが

そんなほのかな明かりでは不十分すぎる


しばらくたっても

電気が復旧する気配がない


「ったく、何やってんだよ」


川口がそう呟いた直後

会議室の扉がノックも無しに開けられた


駆け込んできたのは

先程騒ぎを収めに向かった若者だ


「大変です!

何者かがっぐはっっ」


若者は最後まで伝えることができず

後ろから蹴破られた扉に吹き飛ばされた


暗さに目が慣れ

周囲が見渡せるようになった幹部たちの目に

暗闇に紛れていた彼ら5人の姿が月明かりに照らされ写し出される


「お前ら…」


川口は一瞬困惑したが

すぐに冷静さを取り戻す


「まぁいい

せっかくここまで来たんだ

相手してやるよ


最期の言葉でも言っとくか?」


挑発する川口

だが決して油断している訳ではない

周りの幹部も戦闘を意識する


「1つだけ言っておく


お前らを確実に潰す


それだけだ」


それを合図に

勇真、一華、涼、賢人、鈴の狂った5人は

命懸けの戦いを仕掛けた


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