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この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
動き出す5人
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作戦会議に近づく影

次に5人が集まったのは

もう3年生の卒業式が近づいている頃だった


「いやー、本当に良かったです

五十嵐君、元気にしてましたか?」


F組が全員が揃った喜びを噛み締めている三浦に

昼休みの廊下で話しかけられ

涼は立ち止まる


「まぁ」


「そうですか、心配してたんですよ

その…退学処分がなくなったとはいえ

理事長はまたいつそんなことを言い出すかわかりませんからね」


「たしかにな

あの男ならまた退学とか言い出しそうだな


てか別に退学になってもいいけど」


涼は理事長の顔を思い浮かべたのか

あからさまに不愉快そうな声になった


そんな涼に三浦は急に声を大きくした


「駄目ですよ!

退学になっていいなんてことないですよ


2-Fには皆揃って3年生にあがって

皆揃って卒業して欲しいんです」


涼はこ三浦の変に熱いとこらに

若干引きそうになっていた


「そりゃ自分のクラスから退学者なんて出したらマズイよな」


だから嫌味を言ってさっさとこの場を去ろうとしたのに

余計に三浦を語らせてしまうことになった


「そういうことじゃありませんよ


いや……

よく考えてみたら

自分のためかもしれないですね

僕はF組が全員揃うと安心するんです


学校での問題は増えるかもしれないですけど

それは少なくとも僕達教師が介入しようとすればできるところでの問題ですからね


学校の外だったら

何をしているかわからなくて

不安になるんです」


先程の熱さとはうって変わって

しょんぼりという表現が似合うまでになっている


「あんたが安心したいから

学校に来いよって言いてーのか?」


「そうですね…

僕達教師は生徒を守りたいと強く思っていますから」


「ふーん……」


そう返してやっと

三浦との会話を終えた涼は

屋上に行き1人校庭を見下ろしていた


昼休みということもあり

サッカーをして走り回っている男子の姿が多くある


三浦の話に何か影響されたのか

そんな光景を眺めながらふと思った


もし自分が五十嵐グループとは全く関係なく

普通の高校生だったら

あんな風に遊んでいるんだろうか


それとも別の理由で

街の裏側を潰そうとするんだろうか


たぶん後者だな


それでも三浦は俺達を守ろうと思うんだろうか……


「はっ、何考えてんだか」


最後に出てきた素朴な疑問から目を背ける

だが見てみぬふりをしても

涼の中に三浦を試してみたいという気持ちが芽生えたのは確かだった


守りたいというその思いは

無償のものなのか、

それとも義務なのかと



そして放課後

5人の集まる場所となってしまっている空き教室にて

作戦会議を行っていた


「明日の10時に会議室を襲撃する

以上だ」


「以上!?

それじゃあ前と同じじゃねーかよ」


勇真のあまりに短い作戦に

一華が声を荒げる


一華だけじゃない

他の3人も同じ気持ちだった


「俺はお前たちを信頼してる

この中に裏切り者がいるとは思えない


あー、違うか…

お前たちを信頼してるというよりは

お前たちがユグドラシルを潰すっていう

思いの強さを信頼してる」


「なるほど

そう言われると反論しにくいな」


賢人は小さく頷きながら言った


「こんなんで上手くいくのかよ

次失敗したらシャレになんねーよな」


「1つだけ前とは違う点があります


最近、ユグドラシルの幹部の娘が薬物に手を出してたことがわかったみたいなの


その薬物っていうのが

ユグドラシルが独自に開発して売ってるものだった


幹部の関係者には渡さない決まりがあったのに

誰かがそれを破ったんだって言って

今、内部は混乱に陥ってる」


できそうにないと言う涼に

鈴は内部情報を打ち明ける


「まぁ、なら

混乱してる今が

狙い目っちゃ狙い目か」


なんだかんだ言いつつ

涼は参加を決意する


「あぁ、だから動くのは明日だ」


勇真が確認するようにもう1度繰り返す


「明日成功でも失敗でも

どのみちこのチームは最後ってことだろ」


一華はどうでもよさそうに言ったが

確かにこのチームは終わりを迎えようとしていた



そんな5人の会話を

学校の駐車場に停めた車から

ノイズ混じりに盗聴している人物がいた


袖口を捲っている腕には

巨大な木の刺青があった


卒業式を来週に控え

受かれている赤原学園の3年生


生徒たちの目は希望を見て輝いているのか

それとも問題児の集まるこの学園から逃げ出せることに安堵しているのか

思いはそれぞれだろう


「3年間早かったよなー」


「あっという間だったな

でも俺ら就職も決まったし


バカな後輩ともこれでさよならだな」


「あいつら色々やらかしてくれたからなー」


卒業式まであと数日

最近は大きな問題も起こっていない赤原学園

3年生達はもう何も起こらないだろうと勝手に思っていた

そう、勝手に思い込んでいた


誰も嵐の前の静けさだとは

思わなかった

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