街に抗う危険なチーム
里美への監視をやめてからも
勇真の心の闇は晴れなかった
見え隠れするこの街の裏側を暴かないと
復讐の達成にはならない気がしたのだ
「イチ…話したいことがある」
高校2年の夜、一華を呼び出した勇真は
今までの自分の行動を話した
「ってことは
知ってたのか
木の刺青の男達のこと」
「あぁ、イチと初めて喋った時にはもう
知ってたよ
妹のためとはいえ
殴られても仕方ないと思って………っ
う…いって…」
気付いたら殴られていた
だが以前考えたような
記憶が飛んでいることはなさそうだった
それどころか
そこまで痛みがないように思った
「もしかして…手加減した?」
そうとしか考えられなかった
一華に一発殴られただけで
意識を失った人を
何度も見たことがあったからだ
「手加減したつもりはない
この強さが私の怒りの度合い
嘘をつかれたのは腹が立つけど
大事な人を思う気持ちはわかるから…」
そう言うと勇真に手を差しのべる
「そっか」
勇真はその手を掴み立ち上がる
そして福本についての知っている限りの情報を一華に教えた
その数日後、川口という男を一華が呼び出したと知った勇真は
福本に脅しをかけたのだろうと
すぐによめたのだった
勇真は思った
そろそろこの街の闇を暴く者が現れてもいいのではないかと
そこで声をかけることにした
この街の闇を潰したいと考えている奴らに
そして放課後の廊下で
退学になるかもしれないという状況の中
更に問題を起こすチーム作りを
勇真は進めていた
自分が復讐をしたい目的についても話した
あとは4人が首を縦に振るのを待つのみ
「…賢人は強い奴と戦いたいだけじゃないだろ?
その先に成し遂げたいことがあるはずだ
それは賢人だけじゃない
ここにいる全員に共通する」
「どういうことだよ」
賢人は勇真が自分のことについて
本当に何かを知っているのか
そこを強く疑問に思った
「数年前に失踪した人物を探したい
兄を失脚させ自分が上に就きたい
ウルドから抜け出したい
亡き人物を越えたい
その目的を達成するための条件は
共通してるんだ」
「勇真…?」
中学時代からの知り合いが壊れてしまったのかもと
困ったような心配したような
声を一華がかける
一華の頭では
勇真が途中から何の話をしているのかさっぱりわからなかった
「ユグドラシル…
それがこの街の裏側だ
数十年前に現れてこの街を支配した組織であり
西岡順也をさらった組織でもあり
五十嵐夏が手を組む組織でもあり
ウルドの上にある組織でもある」
ユグドラシルに関する情報
それは勇真が命の危険を感じながら
集めたものだった
それと同時に
4人の過去についても
しっかりと調べていた
「なるほど
その組織を潰したいという思いは
全員が一致している
ということですね」
「そういうこと」
鈴は理解が早かった
そして決断も早かった
「賛成です
私1人では太刀打ちできないことが
目に見えていたので」
「まじかよ」
淡々と意見を述べすぐにチームに参加すると決断した鈴に
驚きつつも
一華も同じようなことを考えていた
確かに自分1人では
やりにくいことも出てくるだろう
それにこのチームを提案したのが勇真なのだから
信頼はできる
参加することことが
最良の選択かもしれないと
「よくわかんねーけど
私も参加する」
「2人ともありがとう
男2人はどうする?」
勇真は賢人のほうを見た
「…
そのユグドラシルとかいう組織は
本当にこの街の実権を握ってるのか?」
「あぁ、賢人が探してる奴らに間違いないよ」
賢人は勇真が
自分がどうしてこの街に来たのかを
知っていることを知った
「なら…俺も参加する」
「塚本も柴崎もいるチームに
入れるかよ
協力なんて考えただけで鳥肌が立つ」
涼は不愉快そうな目付きで2人を見ている
だが
勇真は涼はチームに不可欠な存在であり
チームに間違いなく参加すると確信していた
「協力なんてするつもりはない
仲間なんて言い出したら
そんなの弱味になるだけだからな
ただ人数が多い方が敵も混乱するだろうし
隙もできるだろうから
俺らは集まるだけだ
涼は自分1人で奴らをどうにかできるのか?」
「ったくわかったよ
参加してやんよ」
痛いところをつかれ
渋々参加を表明した涼
勇真は納得したような表情をのぞかせた
「よし、これで5人揃ったな
俺らは自分の目的のために戦うんだ
周りに構わなくても
自分本位でも関係ない
俺達は…狂ってるんだからな」
赤原学園の理事長が
受験者全員を合格にすると決めたあの日から
およそ2年半
その間には、生徒同士の喧嘩
他校の生徒との喧嘩
街の人との喧嘩
器物破損
あげるときりがないくらいに
色んなことがあった
問題がありすぎた
その度に理事長は頭を悩ませた
そしてついに決断した
だごその決断は
またもや街の運命を左右する選択となった
学園の平和のために
退学に処そうと呼び出した5人
しかし皮肉なことに
そのことがきっかけとなって
学園だけでなく
街もただでは済まない可能性のある
危険なチームを作り上げてしまうことになった
もう街の裏側は
彼等を歓迎しているのかもしれない




