呼び出しを食らう5人
「聞きたいことって何?」
放課後の屋上に
賢人は鈴を呼び出していた
この優等生に見える奴が
本当に強いんだろうか
そもそも本当にウルドのトップなんだろうか
いくら赤原学園で狂ってると言われる存在でも
簡単には信じられなかった
「お前は…ウルドのトップで間違いないのか?」
どういう反応をされるのか
賢人はわからなかった
否定されるかもしれないし
口封じのために
攻撃を仕掛けてくるかもしれない
だが
鈴の反応はそのどちらでもなかった
「そうですよ
ウルドのリーダーは私です」
あっさりと肯定した
1度勇真にバレているのを
経験したからか
賢人の問いに驚く様子もなかった
「塚本君は強い人を求めてるんですよね
どうやって私に行き着いたかは知らないけど
あなたと戦うつもりはありません
私、暴力とか好きではないので」
これが鈴の本音だった
自ら進んででも
仕方のない場面でも
なんだろうと暴力行為は好きではなかった
だがそんなので
賢人は納得できるはずもない
「ウルドのトップなんかにいて
よく言うぜ」
「そうなんですけどね
でも、私よりも強い人なんて
いくらでもいますよ
例えば…
ウルドを支配している組織の人とか…
私もあまり会うことはないけど
この街に隠れた
最強の男かもしれない」
「最強…」
最強という言葉を聞いた賢人は
自分の中の血が騒ぎ出す気がした
祖父よりも強いのだろうか
今、俺が戦ったら勝てるのだろうか
「そいつはどんな…」
鈴の言う男について
もっと詳しく聞こうとしたところ
邪魔をするように
放送が鳴った
「2年F組の
五十嵐涼、倉沢勇真、柴崎一華、篠原鈴、塚本賢人
今名前があがった5人は
すぐに理事長室まで来なさい」
歳のいった男性の声
理事長のその声は
怒りを圧し殺しているようだった
部活などでまだ校内に残っていた生徒は
呼ばれたのが狂った5人
だというのにすぐ気づいた
5人を1箇所に集めるなんて
無茶なことをすると
誰もが思っただろう
「2人とも呼び出されましたね
行きましょう
続きはそれからです」
「…」
さっさと校舎の中へ入る鈴に
賢人は強いものに近づいているということに
喜んでいた
ところが理事長室に入ると
その喜びは急激に冷めていった
「五十嵐、柴崎…
お前らも学校来てたのかよ…」
呼び出されたとはいえ
5人とも揃うことなどないと思っていた賢人
だが
理事長室に入るのは
賢人が5人目だった
涼についても一華についても
決着がついていないため
顔を合わせると
心の底に苛立ちがくすぶる
「この5人が呼び出されるって
絶対良くないことだよな」
睨み合う涼、一華、賢人を
横目で見ながら
場を和ませようと
そんなことを言う
放送がかかる
数十分前
三浦は自分の耳を疑った
「え!?理事長今何て言いましたか!?」
驚きのあまりかなり早口になっている
「このままにしておく訳にはいかないだろ
本人達には私から伝える」
理事長は足を止めることなく
廊下を進む
三浦は必死で説得しようとするが
聞き入れてもらえない
「そんな!
ちょっと待ってください
もう1度考え直してください!」
三浦の声虚しく
理事長室の扉は開けられた
「まさか本当に5人揃うとは思わなかったな
今日は君たちに話があってな」
「理事長!」
「三浦先生は黙っていなさい
君たちには自主退学をしてもらいたい
ここにサインをすれば即完了だ」
理事長は立派な机が構える席につくと
正面に座る5人に紙を広げた
それを見た5人は
驚く様子もなく
理事長に対して反抗的な目を向けるだけだった
暴れだすかもしれない
今までの経験からそう感じた三浦は
黙っていられなかった
「こんな…急すぎます
彼らのことは僕たちが守るべきです
見放してはダメなんです!」
頼りないように見えて
やるときはやる男なのだろうか
1度や2度理事長に止められただけでは
諦めなかった
「皆さんはもう出て大丈夫です
僕はもう少し、理事長と話しますから」
「もう決めたことだ
話すことなどない」
5人は三浦の意外な姿に驚きながら
理事長室を後にした




