表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
荒々しいのが赤原学園
12/37

五十嵐涼という男

ホテルで生活を送る涼の部屋に

来客があった

涼の3つ上の兄、夏だ


黒髪で高級なスーツを着こなしていて

パッと見た感じは

涼とは正反対のような外見だが

女受けしそうなルックスの良さは

涼も夏も似たところがある


「チッ、夏かよ」


部屋に入ってきた兄を

心底嫌そうに見る弟


涼は夏を嫌っている


完璧に何でも要領よくこなす夏を

小さい頃から見てきた


そして、自分には真似できないことを悟った

だが負けたと思ったことはなかった


一種の反抗なのか

勧められた夏の通った名門校を受験することはなく

五十嵐グループが寄付金を出している

赤原学園に入学した


夏と比べられることを

何としてでも避けたかったのだろう


兄とは違うと

何度も自分に言い聞かせて生きてきた


弟という理由だけで

夏の下で働く気も無かった


そして成長すると共に

ある思惑が涼の中で芽生えた


夏を自分の下につかせようと


夏としても

次期五十嵐家のトップとして

涼に負けるわけにはいかなかった


涼が自分に劣等感を抱いていることを

ずっと前から気づいている夏は

嫌味な態度を取り続け

涼を押さえつけてきた


「赤原学園はどうだ?

レベルの低い人間しかいないんじゃないか?」


「夏には関係ねーだろ」


「俺と比べられるのがそんなに嫌か?


お前もある程度は学校を支配してるようだけど

まだ完全じゃないようだな


赤原には厄介な奴らが集まってるらしいが

そんな奴らに歯向かわれているようでは…


お前はまだまだってことだな」


「黙れよ」


2人の言い合いは続く


五十嵐兄弟の不仲説は

周辺では有名な話だった


いくつかのホテルの経営を任された夏と

夏によって押さえつけられている涼


だが、

涼がただおさえつけられたままで

黙っているわけもなく

夏の情報を集めてまわっていた


そして高校に入学する前

夏が任されているホテルの会議室を

ヤバい組織に貸している

という情報を掴んだ


夏の失脚を目論む涼にとっては

切り札となるものだった


すぐにでも父親に知らせようと考えたが

今、言ったところで夏にそこまでのダメージを与えることはできないと思った


どうせなら

自分の下につくしかないような

ダメージを与えたかった


「てめーが汚い手使ってることは

知ってんだよ


いつか暴いてやる


そしてグループのトップには俺が就く」


ため息をつくと

夏は涼の肩にポンと手を置く


「何の事だ?

まぁ、綺麗事だけでやっていけるほど

この世界は甘くないんだよ

ガキのお前にはわからないだろうがな」


置かれた手を涼は払いのける


部屋にはピリついた空気が流れる


昔から

夏は涼の嫌がるところを

付くのが上手い


もちろん五十嵐家の長男として

未来のトップの座を

涼に譲るつもりなど全くない


そこへ1つの連絡が入った


「涼様に会いたいという方がいらっしゃっています

赤原学園の…」


そこまで聞いて涼は

厄介な奴が来てしまったかもしれないと思った


「ったく

赤原の奴なんか呼んでんじゃねーよ」


そう言うと

夏は部屋から姿を消した


涼も相手によっては

ここを戦場とする覚悟も必要だと感じた


「こちらへどうぞ」


使用人は勝手に涼の部屋に客を入れようとする


「おい…」


涼は使用人に対して

思わずキレそうになる


だが

見えた姿に取り敢えず怒りを静めることにした


涼を訪ねて来たのは

赤原学園の優等生であり

自分と同じく狂った5人の内の1人である

倉沢勇真だった


「お前が来るとは意外だな

敵討ちか?


どうしてここがわかった」


「イチが涼の家に行ったけど

いなかったって騒いでてさ


身を隠すなら

五十嵐グループの経営してるホテルで

セキュリティが最もしっかりしてる

このホテルかなと思って」


「なるほどな」


2人は部屋の入り口に立ったままで話を続ける


不思議と危険な空気感は

漂っていない


「今日は一応忠告に来た


わかってると思うが、今学校に来たら

イチに殺されてもおかしくない」


「はっ、物騒だな

でも俺を心配する前に

柴崎の方を心配しろよ


俺に殺されるかもしれないからな」


ニヤリと笑う涼に

勇真は真面目な視線を向けた


「涼はそんなことしないだろ?

人殺しなんてしたら

五十嵐グループの後継ぎ争いから

自ら離脱することになるんだから」


涼は背中に冷たいものが走る気がした

後継ぎ争いのことなど

外部の人間に話したことなどない


何もかもを見透かされているような気さえした


もしかしたら

夏との会話を聞かれていたのかもしれない


冷静さを取り戻した涼だが

目の前の男が

危ない人間に思えてきた


「狂った5人の中で

1番狂ったって言葉に相応しいのは

お前かもな」


「まさか


今日はそれだけだ

今のイチは荒れてるから

喧嘩売るとかバカな真似はやめとけよ


まぁ、涼にとっての敵は

イチなんかじゃないんだろうけど」


「はぁ?」


勇真はそう忠告すると

部屋を出て

ホテルを後にした


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ