75 お見合いと、人でなしのブルース
9月29日、ちょっとだけ加筆しました。
「ノフタ―ル神父様。フランネ神父はどちらに?」
俺は屋敷の庭で指揮を取っている神父に声を掛けた。
たしかドンダリデの壁の件でも、フランネ神父の隣に控えていた神父だ。
「フランネ様は所用で教会本部に行っております。大変残念がっていましたよ。グレイ様のお話を直接聞けないと。」
「そうですか。ところで前回もそうでしたが、僕の話を記録している方もいらっしゃいますか?」
「はい。書にして遍く人々に広めたいと・・・御迷惑でしたか?」
いやいやいや、俺の話を『書』にしてど~すんのさw
寄席でも開く気かい?
前世の “爆笑ネタ” 教えよっか??
ほとんど “一発芸” だけど???
「いえ、構いません。むしろ前に出て聞き漏らさないように複数人で描き残して頂けると助かります。後でサラフィナ様に添削していただきますのでw」
そだな、コントでも披露してやろう。
ソリアン様と組んでw
「ほ・・・本当ですか!?」
そこ興奮するトコ?
「それと、ご存じかとは思いますが、屋敷には絶対に立ち入らないようにお願いいたします。」
「勿論です!」
気合の入った返事だね~w
ノテノテと玄関に足を向けると。えらくガタイの良い “偉丈夫” が腰の剣に手を掛けて立っていた。
殺気立ってないかい?
「キサマ!何のつもりだ!!」
え~・・・どちらさん?
態度や装備品から見て、たぶん王族護衛の責任者?
誇らしげに縫い付けてある胸の紋章に見覚えは・・・ないが?
鑑定:セロス・テモデリア子爵。31歳。レベル21。
《 領地を持たない宮廷貴族では?》
コクウさんの意見だ。
「何のことでしょう?」
「誰の許可を得て、コヤツらを中に入れた!?」
随分な物言いだが、立場からすると伯爵家子息より子爵位をもつセロス氏のほうが上だ。
上から目線で “圧力” を掛けているつもりなのだろう。
「この屋敷は、王宮の許可を得て僕が管理させていただいておりますが?」
とりあえず牽制。
「キサマが『勇者』か!何ゆえにクレアリス様の住まう屋敷の庭にコヤツ等を入れた!?」
あったま固そうな質問だな~
これが『王都育ち』ってヤツかな?
「外でのテント生活は危険なので、防壁のある庭に入ってもらっただけです。ダンジョン周辺の危険性をご存じないですか?」
外壁には結界張ってあるからね。
ワイバーンの襲撃にも安心安全設計だす♪
「生意気な!クレアリス様に仇なすつもりか!!」
何でそうなる?
職務に忠実なのは認めるがね~
「そのようなつもりは毛頭ございませんし、屋敷に入るなとも伝えてあります。もし、王族の御方に害意ある不心得者がいたとしても、それを阻止するのが騎士様のお役目では?」
「キサマ!愚弄するか!!」
いや、職務の確認をしただけだが?
セロス子爵が腰を落とした。
腰の剣の鍔鳴りが耳朶を打つ。
やめてケロ~
おニューの屋敷を壊す趣味なんぞ、持ち合わせて無いんだっテバ!
「セロス隊長!」
玄関が開け放たれ、女性騎士とロデムが現れた。
「先ほどからクレアリス様がグレイ・アストラスをお待ちになっておられます。」
いいタイミングだ。
「そういうことですので・・・ロデム。神父様方に水の用意を。あとシスターもいるから、使用人用のトイレも開放してくれる?」
「畏まりました。」
何か言いたげな隊長さんを無視して、屋敷に入った。
さっさと剣を仕舞ってくレロw
「クレアリス様は2階の貴賓室に居られる。失礼のない様に・・・」
その前に自己紹介してくれない?
鑑定:サフリー・ドアトリス。17歳。レベル27.ヨーデル王国騎士団員。
第三王女警護班。ドアトリス家の子女
あらま!
サルムンド侯爵のお子さんでしたか?
勝気な別嬪さんかw
『トンビがタカを生む』とは、よく言ったもんだww
てか『鑑定くん』
階段上とはいえ、先に立つ女性の微妙な位置に『テロップ』出すのやめてくんない?
コクウさんが笑ってるんだが??
隣を歩くスズネさんの視線が痛いんだが???
「この部屋だ。他の者は外で控えるよう。」
「いえ。共に入ります。関係者なので。」
「なに!?」
「関係者です。彼女らが入室できないなら、僕も入りません。王女殿下にご確認を。」
これ大事w
「・・・解った。少し待て。」
許可はすぐに取れた。
入室し、 “臣下の礼” を示す。
「お初にお目に掛かります。アストラス伯爵家が次男。グレイ・アストラスと申します。」
長々と “おべっか” を使う必要もあるまい。
陛下にも鼻で笑われたしなw
せっかく、ただでさえ少ないボキャブラリーをフル動員したのになww
「クレアリスと申します。よしなに。どうぞ、お顔をお上げください。」
うむ。
赤毛とブロンドの美女二人。
絵になるね~
で、車椅子の娘がクレアリス第三王女か。
陽の加減か?顔色悪そうだな・・・
《 検査しますか?》
コクウさんだ。
できる?
《 問題なく。》
「フェルナ・ノーティラスよ。聞きたいことがあるのだけど?」
こっちは健康そうだ。
その手にあるのは・・・俺のノートか?・・・ロデム君??
「その前に、僕のチームメンバーを紹介させていただきたく・・・彼女らは僕と共にダンジョンを攻略する仲間であり、許嫁です。」
一気に微妙な空気になったなw
「・・・御三方とも・・・ですか?」
クレアリス様が口を開いた。
俺に婚約者がいることは知っているはずだが?
「はい。正確には、うち二人の御両親は不明ですが、将来を誓っております。」
「両親がいない?それで許嫁とよく言えますね。」
フェルナ様の発言だ。
「そうですね。ですが、 “許嫁” という言葉の定義は、本人同士の意思にかかわらず周りの者達がそうだと決めた時に使われるものです。だとするならば、僕は毎晩のように彼女らとベッドを共にしていますし、目撃もされていますのでw」
割烹着のオネーサンが、余所余所しくなった件ww
「「「・・・!」」」
言いたいことは解る。
”襲われてる” と言わないだけ感謝して欲しいんだがw
三人揃って顔赤くしてるしww
相対する御三方も、目が点になってるしwww
ようやく状況が理解できたのか。
クレアリス様やフェルナ様が真っ赤になって俯いた。
「き・・・きさま!痴れ者が!!」
おっと!
サフリー嬢も真っ赤になって、剣の柄に手を掛けてらっしゃる。
ムッツリさんかな?
「痴れ者とは心外ですね。事実を述べただけですが?」
「うるさい!愚弄する気か!」
「そんなつもりはございません。僕はこの世に生まれた時から “称号持ち” です。他の “称号持ち” はどうか知りませんが、そういった特殊な状況下では “未来に子を残す” などと言うのは、夢のまた夢でしかありません。しかしながら彼女達は僕の立場や、それに伴う過酷な未来を理解しながら、それでも共に歩むことを誓ってくれたのです。なれば、男としてその期待に応えるのが筋と言うものではありませんか?」
お~
我ながらよく回る舌だことw
なんだかんだ言いながら、ぶっちゃけ “スズネさんに惚れた” のがキッカケなんだけどねww
恥ずいから言わないけどwww
場の空気がカオスになってないかい?
「・・・その・・・」
長い沈黙の後、クレアリス様がようやく口を開いた。
「私達も許嫁になることは、可能でしょうか?」
「姫様!?」
サフリー嬢の声が、絶叫に近い。
「良いのです。もとより私達がここにいるのは、グレイ様と婚儀を交わす約束を取り付けるためです。多少の障害・・・失礼、許嫁様がいらっしゃろうとも、私達の決意が変わろうはずもございません。」
“障害” ときたかw
結婚した後、追い出そうとでもいうのかね?
俺も ”行方不明” になる自信があるがw
「フェルナ様、異論はございませんか?」
確認の為に、俺を睨みつけてくる侯爵子女に聞いてみた。
「構わないわ。貴方にどのような事情があろうとも、私は私の意思を貫くだけよ。」
強気なこってw
「解りました。お二方がそのつもりであるならば、この “お見合い” は成立したと父に報告させていただきます。ですが、僕の中では、第一婦人はスズネであり、第二夫人はメイ。第三夫人はメルロスになります。お間違えなされぬよう・・・」
「な!?」
サフリー嬢が、再び声を上げた。
まあ、落ち着けw
「王宮としても立場があるでしょうから、名義上の第一婦人はクレアリス第三王女殿下に、第二夫人はフェルナ・ノーティラス様になるでしょうが・・・それだけのことです。」
人でなしの台詞だな。
我ながらヒドイ言い方だ。
だがどんなに着飾った言葉で遠回しに説明したところで、俺の心は変わらない。
一人を貫き、野垂れ死ぬ覚悟でいた俺を救ってくれたのは、他ならぬこの三人なのだから。
「貴様ぁ、自分が何を言っているのか分かっているのか!?よりによってクレアリス様を、どこの馬の骨とも知れぬ者達の下に置くというのか!!」
ですよね~w
馬の骨どころの騒ぎじゃないけどww
将軍家の姫様なんだけどwww
「僕は、貴方様方をよく存じ上げません。」
「だから何だというのだ!」
「人を愛するということは・・・特に男女間の愛とは、互いによく相手を知り、思いやるということです。相手の人格を尊重し、尊敬の念をもって互いを高め合う。それが神の説く “愛” の在り方です。立場や世間体などの話は二の次、三の次ですよ。」
「き・・・貴っ様!」
「おやめなさい。サフリー。グレイ様。おっしゃりたいことは解りました。確かに、今日お会いしたばかりの殿方のお屋敷に断りもなく滞在し、尚且つ婚約の話を取り付けようなど、非常識な振る舞いをしているのは私達の方です。王族の一人として恥ずべき行為です。ここは一つ、広い心を持ってお許し願えないでしょうか。」
そういうと、クレアリス様は丁寧に頭を下げた。
そういうこと言ってるんじゃないんだがな~
どうやら “王宮教育” というものが、彼女の深いところまで根付いてしまっているようだ。
「謝罪は受け取りました。僕もその点については言及いたしません。で、婚約の話ですが・・・」
「お話を進めさせていただきます。」
ニッコリ笑って断言しやがったよ。
「・・・畏まりました。では、次の議題ですが・・・その前に、少しお時間を頂いても?」
「はい。何でしょう?」
「庭で神父様方が僕を待っているようなので、行ってきます。早く終わらせないと陽が暮れると危険なので・・・」
一礼をして、部屋を出た。
王族を前にこのような態度は失礼以外の何ものでもないが、今更だ。
今のうちに帰れる神父は帰ってもらわないと、トラブルになりそうだし・・・
最悪、庭で一晩明かすことになるだろうが、そうなると食糧や水の問題がな~
ひもじい思いさせたくないが、折角かき集めた食材を放出するのもな~
最低限の食糧くらいは持参してるだろうが・・・ノブレス・オブリージュ。
貴族子息の屋敷にいる以上、“おもてなし” はしないとな~
俺の財布が金貨で埋まる日は来るのだろうか・・・
「出費が嵩むね~」
呑気なメイさんが揶揄ってきた。
「ボクが第三夫人か・・・悪くないな。」
メルさんが御機嫌だ。
「でもメルを見ても何も言わなかったね。忘れてるかな?」
「そうかもしれんな。ボクが『教義』を教えていたのも随分前の話だし。」
「寂しくない?」
「全く寂しくないと言えば、嘘になるな。だが『メルロス』になったボクが、あの娘にとやかく言う権利もないし、そのつもりもない。好きにさせるさ。」
「強いね」
「そうかい?もっと褒めてくれてもいいぞw」
「・・・」
スズネさんは、フンフンと興奮してらっしゃるw
『第一婦人』が気に入ったかな?
あの場で王女達が怒り狂って「婚約解消だ~」なんて叫んでくれれば、病気だけ治して王宮に戻すつもりだったが・・・
《 どうやら、マスターの前世で言うところの “筋〇ス” のようですね。そこそこ “進行” しているようです。》
コクウさんが囁いてきた。
遺伝子異常で、二十歳前の発症。
『遺伝学』か~
前世の科学力でも治療は難しいか。
運動ニューロンには問題なさそう?
《 支障はないかと・・・マスターの知識と魔力量なら、十分『回復』可能でしょう。》
『遺伝学』はややこしくて。論文読んでも理解不能だったんだが?
《 でも結構読み込んでましたね、マスターの『アカシックレコード』に大量に残ってましたよ。》
記憶なくても『昔取った杵柄』ってやつか。
もと『歯科医」だったからね。
『歯の再生医療」に興味あったし・・・
『大人の事情』ってやつで、思い切り『頓挫』したけど・・・
てか、俺の『アカシックレコード』にまでアクセスできんの!?
《 てへぺろ♪》
可愛くね~
だが試してみる価値はありそうだな。
案の定、庭ではノフタ―ル神父とセロス伯爵がもめていた。
「神父様。どうなされました?」
「グレイ様。どうしたも何も・・・グレイ様がくださった水瓶を、こちらの騎士様がひっくり返してしまわれたのです。わざわざ用意していただいたというのに。」
つまらん悪戯するもんだ。
「ふん!だから言っておろう!足が引っかかっただけだと。」
「そんな!」
「そもそも、そんな薄汚い恰好をした神父なぞおるものか!どうせ物乞いの為にどこぞで拾った服を着ているのであろう。よもや姫様に害なす者ではあるまいな!?」
『清貧』と言う言葉を知らんのかな?この御仁は・・・
「そこまでです。騎士様。お願いがあるのですが、早馬を出していただけませんか?」
「ぬ!なぜだ。」
「お二方との “お見合い” が成立したと、私の父であるホウレイ・アストラス伯爵にお伝え願いたいのです。さすれば、父から王宮に連絡が行くでしょう。」
「むう!左様か・・・」
なに残念そうな顔してんのかね~
「となれば、騎士様の立場が少し微妙になってしまいますねw」
ちょっと意地悪しちゃおうかw
「なんだと?」
「ここにおられる神父様方は、全て僕が招いた “お客様” です。アストラス伯爵家の子息としては、この方達が不快な思いをされぬよう、最大限の “おもてなし” をせねばなりません。今回のような不祥事をなされますと、お二方の『婚約者』である僕の顔に泥を塗ったことになり、騎士様の王宮での立場が怪しくなるのではと・・・」
といいつつ。ガキンチョみたいな屁理屈に自己嫌悪。
やだね~立場を利用する輩って・・・俺のことだが・・・
セロス子爵は、一瞬呆けた顔になった。
「な・・・だから言っておろう!足が引っかかったのだ!」
慌てて取り繕うとするが、後の祭りだw
「そうですか。申し訳ございません。僕の不注意でした。以後気を付けます。」
笑いを堪えた。
追いつめるのは簡単だがね。
こういう輩と関係を拗らせると、往々にして面倒臭いことになるからな。
“押さば引け、引かば押せ” ってヤツだw
“世渡り”とも言うww
「ふん!」
と、一鳴きして背を向けるセロス子爵。
体幹ブレブレじゃんよww
「よろしいのですか?」
ノフタ―ル神父が、不安げな顔を向けた。
「ご心配をおかけして申し訳ございません。すぐ代わりを用意いたしますので。」
「いえ。かえってグレイ様のお手を煩わせてしまい、申し訳なく存じます。」
「恐縮です。それはそうと、準備の方は?」
「すでに出来ております。こちらへ・・・」
俺達は促されるままに、歩みを進めた。
「いいように、あしらわれましたね。」
窓から、下の喧騒を眺めながらクレアリスが漏らした。
「不敬にも程があります!王族を何だと思っているのでしょう!」
サフリーが頬を膨らませていた。
クレアリスは、こういうサフリーの仕草が可愛いと思っている。
自分に素直なのだ。
だから、傍付きの護衛として陛下にお願いしたのだが。
「良いのです。非はこちらにありますし、グレイ様は私達を試されているのでしょう。」
「試すとは?」
フェルナが口を開いた。
「覚悟です。許嫁の御三方は、グレイ様と共にダンジョンに入っているとおっしゃってました。実力も相当なものでしょう。私のような “病気持ち” が、あの御方達に着いて行けるはずもございませんし・・・」
「病気持ちなど!安静にしていれば治ると、主治医の先生もおっしゃってたじゃありませんか!」
「・・・そうですね・・・」
クレアリスは短く答えた。
だが彼女の感覚は、主治医の言葉を全否定していた。
日に日に弱る体力。
目が覚めても、穴の開いたバケツのように減っていく活力。
足の力も、目に見えて衰えてきた。
最近では、目が霞んで動悸を覚えることもある。
《 寿命が・・・近いのかもしれませんね・・・》
クレアリスは、そっと溜息を吐いた。
おっちゃん「いいねぇ~温泉旅館♪ ところで相方さんや・・・」
相方 「はい?」
おっちゃん「テーブルの上に、なぜか PC が置いてあるんだが?」
相方 「書いて下さいよ。そうでなくても 遅筆 なんですからw 投稿 遅れちゃうじゃないですか。」
おっちゃん「遅筆 は認めよう。けど 投稿 遅れたことあった?」
相方 「・・・いいから書け。」
おっちゃん「Yes, ma'am!!」




