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57 詐欺師の説法と依頼


 翌日。


 久しぶりに両親と朝食を楽しんでいると、父が思い出したように口を開いた。


 「グレイ。昨日は言いそびれていたが、デランテ領とホウリム領が悲鳴を上げているようだ。行ってやってくれるか?」


 「あ・・・はい・・・」

 どこだっけ?


 父が悪戯っぽく、ニヤリと笑う。

 「忘れてる顔だな。ドンダリデ領の壁の作成を断った領だと言えば、思い出すか?」


 あ~そういえば、そんなことあったね~

 神父さん達に任せっきりだったからな~


 《 スズネ。憶えてる?》

 《 はい。許可を取りに行った神父たちが怒ってましたので・・・》


 そういえば、そうだったかw


 「解りました。今日にでも早速行ってきます。」


 「もう少しゆっくり休んでからでも良いのですよ?」

 母が少し寂しそうに言った。


 「すみません母上。強制ではないとはいえ “王令” ですし、『サラフィナ様』もドンダリデ領の隔離を推奨されていますので、早く片付けてしまいたいのです。」


 俺もノンビリしたいんだけどね~


 「そうだな。商人の話によるとデランテは嫡子が戦死して、跡継ぎ問題にも火が点いているらしいな。そのせいで壁の制作が遅れているようだ。対するホウリムは冒険者が逃げ出してるようだな。」


 「冒険者が?」


 「壁を自領で作ったはいいが、アンデッドが押し寄せているらしい。お前が作った壁のように結界が施されてないからな。神聖魔法を使える冒険者が疲弊しているようだ。」


 あらま・・・ご愁傷様w


 「出掛ける時はサルムンド閣下に一報を入れると良い。爵位を持たぬお前が一人で首を突っ込んでも門前払いされるだろうからな。」


 「承知しました。」


 俺は神妙に頷きながら、デランテとホウリムの特産品を調べるべく “草” にも協力を仰ごうと画策していた。




 パッカッカと荷馬車が歩く。


 久しぶりの外出だ。


 アストラスを出る前に、食材と調味料の調達が最優先だろう。


 「よう!坊ちゃん!久しぶりだねぇ。食いモン集めかい?」

 「おはよう。そうだよ。いつもの用意できる?」

 「おうよ!ありがてぇ。今日はもう店仕舞いだぜ。」


 万事この調子だ。

 少々傷んでいても構わない。

 アイテムボックスで少しだけ時間を弄ってやれば、全て採れたて新鮮になる。


 反則技と(そし)らば(そし)れ、無駄に捨てるより遥かにマシさw


 大幅に拡大した俺のアイテムボックスは、『王都』をすっぽり収納できる程度になっている。

 『メルさん』に使った巨岩もリニューアルして、二回りほど大きく、数も増やした。


 もはや “メテオ級” だなww


 「あれ? それって酒樽?」


 山のように積まれる荷物の中身だけを、こっそり収納しながら首を傾げた。

 空箱は物陰に隠れて収納するからいいんだが・・・何故に酒樽?


 「へえ。そちらのお嬢さんが『赤ワイン』と『エール』も頼むと・・・」


 《 ♪ネェメルサン、コッチムイテ♪》


 「・・・しかたない。夕飯に一杯だけだよ。」

 「そうこなくちゃなw」


 輝く笑顔のメルロスさんw

 平和で何よりww



 こんな調子で、いくつかの店を閉店に追いやったあと、ようやく出発。


 特許収得してて良かったよw

 商人ギルドの口座の額が、馬鹿にならないくらいになってたしねww


 のんびり町中を進んでいた所へ、教会の前で数人の神父が待ち構えていた。


 《 まあ・・・そうなるか・・・キミタチモマキコマレテシマエw》


 「悪い顔になってるよw」

 「おっと、こりゃ失礼ww」



 「グレイ様!お待ちしておりました。ちょうど “礼拝の儀” を終えたところです。信者の皆様に是非ご説法を!」


 《 いや説法なんてガラじゃないから!》

 などと思いつつ、促されるままに教会へ足を踏み入れる。


 「こないだの話すんの?」

 メイさんが訪ねてきた。


 「全部は話せないかな?気が触れたと思われそうだし・・・必要な事だけね。」


 「結局、全て話してしまいそうな気がするな。」

 メルさんの指摘が鋭いw


 俺もそう思う。

 気を付けようw



 教会は満席状態だった。

 立ち見もおるやんw


 「よく集まりましたね~」

 俺は感心してフランネ神父に話しかけた。


 「グレイ様のおかげです。グレイ様の説いた『四つの教え』が人々の心を動かしたのです。」


 あっちの “創造主様” の丸パクリなんだけどねw

 “詐欺師スキル” が絶好調すぎるww


 「では・・・」

 壇上に案内された俺は、まずサラフィナ神を表す像に両手を合わせた。

 見られてんな~


 《 お手伝いしますか?》

 コクウが囁いてくる。

 《 ヨロシク。》


 「皆様の中には、僕の話を初めて聞く方も数多くいらっしゃるようですが、前回、僕は『人は死んだらどうなる?』という話をしました。それについてはフランネ神父様がよく勉強なさっていると思いますので、割愛させ頂きます。今回は『地獄』についてお話させていただきます。」


 「地獄・・・ですか・・・」


 「はい。『地獄』です。実は先日、久しぶりにサラフィナ様とお話する機会を(たまわ)りまして、その折に『地獄』についての話に至ったのです。結構大事な話しだと思うので、皆様とも共有しておこうかと思います。」


 「おお!『サラフィナ神』様にお会いになられたと!」

 フランネ神父の合いの手がウザイww


 「そうです・・・では、どういうヒトが『地獄』に行くかというと、分かり易く例えるなら『盗賊』『山賊』『海賊』『人攫い』などと言った、他人に迷惑を掛けるような連中は勿論のこと、『嫉妬』『執着』『怒り』『欺瞞』『詐欺』『悪口』などといった日常的に天国と相反する方向へ心を向けていた人が、『地獄』に引き込まれやすいと思ってください。」


 「では、どうすれば・・・」


 「『反省』するしかありません。幸い教会には『懺悔』する場所があります。『懺悔』は『反省』するための “きっかけ作り” です。それは “自らの罪を告発” する行為ではありますが、それだけでは天国の門は開かれません。『懺悔』をして『自分の心』と『サラフィナ神』様に “もう同じ過ちは犯しません” と誓いを立てる事。そしてその誓いを破らぬように日々を過ごすこと。これが大事になります。なぜこのような話をするかというと、『地獄』が拡大しつつあるからです。」


 「地獄が・・・拡大?」


 「そうです。牢獄を思い浮かべてください。牢獄に入れられた者達は鉄格子のなかで苦しい思いをしていますが、その人数が多くなりすぎると牢獄の数を増やさねばなりません。そうなると監視する衛兵も増やさねばなりませんが、『地獄』では『監視する天使』の数が圧倒的に少ないのが現状です。」


 『詐欺師』頑張れ~w

 《 頑張れ~w》

 コクウさんも応援してるぞ~~ww


 「では、監視する天使様を増やせば・・・」


 「そうもいきません。本来は天国で、神様のお傍で仕事をすることが天使の役目なのですよ?それを敢えて『地獄』へ出張なんて、ドブ攫いよりタチの悪い仕事を好んでやるヒトがいますか?」


 「では・・・いかようにすれば・・・」


 疑問符ばかりだね~ ちった考えろってw


 「地獄を監視する天使は、それなりに修行を積んだ天使に限られます、でないと『地獄の亡者』達に引きずり込まれるからです。彼らは地獄に堕ちた者達に『罰』を与えながら、一人一人の心と真剣に向き合い、助けられる者を天国へ押し上げようとしているのです。これが “救い” となります。」


 「おお!」


 「しかし、そう言った天使の救いに甘んじて、現状を好き勝手に生きていいわけがありません。神様の願いは『この世とあの世を貫く幸福』なのですから。」


 「この世とあの世を貫く幸福・・・」


 「そうです。この世における『幸せ』を確立しつつ、あの世においても『幸せ』であり続ける。そういう人生を送って欲しいと『サラフィナ様』は願っているのです。」


 「おお!」


 「そして『サラフィナ様』の願いは、この町だけに留まりません。この国、この世界の全てのヒトがそうであって欲しいとおっしゃってました。」


 おっと?

 世界の話になったら急に静かになったねぇ??

 想像の(わく)を超えたかいw


 「ここまでで、何かご質問は?」


 「あの・・・『地獄』と罰とは・・・どういう?」

 白髪の中年男性が手を上げた。


 身に覚えあるかねw


 「そうですね・・・僕も『地獄』の全てを把握しているワケではありませんが、『罪の深さ』によって幾つかの層に分かれているようですね。」


 「層・・・ですか?」


 「『地獄』の浅い層は。監視をする天使たちの『罰』を受けながらも、“見込みのある者” に対しては、辛抱強く説得を繰り返しているようです。」


 「説得・・・どのような?」


 「いわゆる『体罰』です。五体を切り裂き、あるいは針の山に放り込んで穴だらけにしたり、茹でた釜の中に投げ入れたりといった『罰』を与え続けます。」


 「そんな・・・ひどい・・・」


 「そうです。ひどい話ですね。でも死なないんですよ。」


 「・・・どういうことだ?」


 「簡単な話です。『地獄』も “あの世” の在り方であり、『罰』を受けるヒトもすでに死んでる存在だからです。死んだヒトはそう何度も死ねませんからね。つまり、どんなにひどい『罰』を受けても “死んで楽になる” ことはないんです。」


 「・・・では、どうして、そのような『罰』を?」


 「悟らせるためです。」


 「悟らせる・・・とは?」


 「死ぬような拷問に会っても死ねない・・・『地獄の風』が吹けば、何度でも蘇り『罰』を受け続ける・・・それはなぜか・・・それは自分が既に『心だけの存在』になっていることを知らしめるためです。口による説得は、その最初の『きっかけ』に気付いた後になります。」


 「心だけの・・・」


 「肉体はすでになく『心』だけの存在になっている自分を発見する。これがいわゆる『悟りのきっかけ』です。この『悟りのきっかけ』を得なければ、どんな説得も無意味でしょうしね。」


 「でも。それならそうと最初から教えてやれば・・・」


 「そうですね。生きているうちにすんなり “受け入れられる” なら、それに越したことはないでしょう。けど “受け入れられなかった” から『地獄』に堕ちているのです。“死んだら終わりだ” と思っていたから、死んだ後もひどい目に会っているのです・・・ヒトの一生は今世における “生き死に” では終わりません。死んだ後も “その心” は永遠に生き続けるのです。宗教とは “それ” を教える為にあるのです。」


 誰かがゴクリと生唾を飲み込んだようだ。

 少し過激すぎたかね?


 「そして宗教の役割はそれだけに留まりません。宗教本来の役割は “愛” を教えること・・・これが一番の “仕事” になります。」


 「愛を・・・」


 「『愛』とは『思いやり』です。自分の心を思いやり、自分以外の誰かを思いやってこそ『平和』の輪が広がっていくのです・・・困っている人がいれば相談に乗ってやるのもいいでしょう。生活に余裕があるなら身銭を切るのも、また一つの『愛』の表現方法です。ただしそのせいで自分の生活が圧迫されるようでは本末転倒と言わざるを得ませんが・・・」


 少し笑いが起きた。

 そうそう、気楽になさりませw


「この世には色々なヒトが住んでいます。僕達を騙して金銭を儲けようとするヒトも数多くいます。ですが、できるだけ怒らないでください。恨まないでください・・・なぜなら、そういった悪党共もいずれは必ず ”死ぬ” からです。死んで『地獄』に堕ちてしまえば『悟りのきっかけ』を得るまでは『罰』を受け続けるからです。『怒り』や『復讐の念』に身を任せて、彼らと同じ土俵に立たないように気を付けて下さい。」


 「・・・俺の弟は、盗賊に襲われて死んだ。カミさんもだ。弟の娘も未だ行方不明だ・・・それでも我慢しろというのか・・・」


 「そうです。我慢してください。」


 「なに!?」


 「復讐心を心に抱き続けることは、その盗賊達と同じ『地獄』に行くことを意味するからです・・・弟さんは “善い人” でしたか?」


 「・・・ああ。行商をしててな。儲けを度外視して、わざわざ辺境にまで足を運ぶようなヤツだった。“盗賊” に襲われやすいからやめとけと、何度も忠告したんだがな・・・」


 「ならばきっと『天国』に行ってるはずです。サラフィナ様は ”善人” を見捨てることは決してなさいませんから・・・」


 「・・・娘は・・・弟の娘は、どうなる?」


 「町長や、衛兵に相談されましたか?」


 「したが “なしのつぶて” だ。そもそも生きてるか死んでるかも分らないような奴に割く時間なんかないんだとよ・・・」


 「後で、もう少し詳しく教えてください・・・他に何か聞きたいことはありますか?」


 幾つかの質問に答える。



  コクウが俺の記憶を掘り起こし、この時代に合わせて少しだけアレンジを加える。

 『詐欺師スキル』 が輝いていた。



 全くもって嬉しくない。



 「今日はこんな所でしょうか・・・皆様、ご清聴ありがとうございました。」

 ぺこりと頭を下げ、壇上を降りる。

 割れんばかりの拍手が起きた。


 何故に!?


 「スズネ。さっきの『盗賊事件』の詳細を聞いてくれる?犯人の割り出しできるかな?」


 「お任せを。」


 「気になるのかい?」

 メルさんが訪ねてきた。


 「ちょっとね。後で説明するよ。メイ。フランネ神父捕まえて、相談があるって伝えてくれる?応接室で待ってる。」


 「あいよ。」


 勝手知ったる他人の家w

 俺はメルさんと一緒に応接室に向かった。


 フランネ神父はすぐにやってきた。

 まだ少し顔が上気しているようだ。

 オチツケww


 「グレイ様。今日の説法も大変素晴らしいものでございました。みんなも喜んでおります。」


 「ありがとうございます。全てはサラフィナ様の啓示の賜物(たまもの)です。ところで、フランネ神父様。少しご協力願いたいのですが・・・」


 「何なりと。」


 「その前に、たしか王都における娯楽は『闘技場』だけだったと記憶していますが、間違い入りませんか?」


 「そうですね。“殺し合い” は教義に反するので我々は立ち入ることはありませんが、定期的に『罪人』同士で戦わせたり、捕えた魔物と戦ったりさせているようです。」


 「そうですが・・・これは『サラフィナ様』の提案なのですが・・・」




 「玉遊び・・・ですか?」

 拍子抜けしたかねww


 「そうです。総合して『球技』と呼ばれているようですが、この大陸とは別の・・・海を隔てた別の大陸では、国同士の話し合いに決着がつかなかった場合、戦争ではなく『球技』でもって勝敗を分けるようにしているようです。その方が無駄な血が流れませんし、農民が徴用されることもないので国にとっても財政的に圧迫されることもないようですね。」


 『詐欺師スキル』が火を噴いてるぜww


 《 熱いですぅww》

 コクウさんもはしゃいでらっしゃるww



 「・・・なるほど・・・では私達は何をすれば・・・」


 「まず、娯楽としての『球技』を広めようと思います。そのための “道具” も必要になりますが、商会に頼んで作ってもらう予定です。道具が揃ったら神父様は希望者を集めていただけますか?」


 「お安い御用です。さっそく信者の方々にも話してみましょう。」


 「道具の制作にも少々時間が掛かりそうですし、僕もこれから他領に出向かわなければなりません。慌てなくていいですよ・・・それから、もう一つ重要なご相談があります。」


 「何でしょう。」


 「これは、問題が大きすぎて今回の話には出せなかったのですが、魔物の正体についての情報が出ました。」


 「魔物の!?」


 「そうです。以前から不思議に思っていたのですが『森あるところに魔物あり』・・・これは最早 “常識” ですよね?」


 「おっしゃる通りです。」


 「そして『魔物』は森の魔力が停滞している場所、つまり “魔力溜り” に自然発生的に生まれる。この認識で間違いないですね?」


 「はい。魔法省の発表もそのように言っております。ビッグ・ボア等のように、野生動物が “魔力溜り” の影響を受けて “魔物化” するとも・・・」


 「ヒト・・・この場合、人間のみならず『亜人』や『魔族』も含まれますが、母体から生まれるのが普通です。だけど、『魔物』はヒトや野生動物とはかけ離れた容姿を持ち、尚且つヒトを認識すると狂ったように襲ってくる・・・しかも、森の魔物はダンジョンの魔物と違い、生存本能を持ち、他の魔物と戦うことで学習する・・・まるで狩人や冒険者のようだと思いませんか?」


 「・・・すみません。魔物の生態については門外漢なもので・・・」


 「失礼しました。つまり “魔力溜り” から “何か” が生まれるならば、別に『魔物』でなくても良いんじゃないかと、考えていたんです。たとえば、ただの『肉塊』であったり『鉱物』であったり『植物』あってもで不思議じゃない・・・だけど、そのどれでもなく『魔物』が生まれる・・・それが不思議でしょうがなかったんです。」


 「・・・はあ・・・」


 「そこで、一つの仮説を立ててサラフィナ様との会見の終わりに聞いてみました・・・『魔物』という肉体を動かしているのは『心』ではないかと・・・」


 「心・・・」


 「つまり『地獄から脱走した心』もしくは、アンデットに分類されている『悪霊(レイス)』ではないかという仮説です。」


 「・・・なんと!?」


 「フランネ神父様。既にご存じの通り、肉体は『魂』と『心』があって、初めて生物として機能します。それは、足元を這うアリも同じです。『肉体』という “乗り物” だけでは死んでいるのと変わりません。“乗り物” を引く『魂』があり、その “御者” としての『心』があって、初めて『ヒト』として活動できるのです。では、その肝心の『魂』と『心』は何処から来たのでしょう?」


 「・・・それが『悪霊(レイス)』だったり『地獄から脱走した心』・・・ということですか・・・」


 「『地獄』は拡大し続けてます。『地獄』という世界は神々が結界でもって封鎖された空間ではありますが、大きくなり過ぎた『地獄』の結界のスキマから逃げ出す者がいたとしても不思議ではありません。」


 「なるほど・・・では、どうしろと?」


 「今回、この話をしなかったのは信者の方々に “不要なパニック” を起こさないためです。この話を『教会』に伝えていただけますか?できれば『国王陛下』にも・・・(ちな)みにこの『説』についてはサラフィナ様の “お墨付き” を頂いていますので・・・」


 「畏まりました。王都へ手紙を出しましょう。」


 「それから『魔物』の対処法ですが、従来通り『冒険者』や『兵士』の方々に討伐を頑張ってもらいましょう、むしろ積極的に『教会』側も参加されることをお勧めします。『脱走者』は出来るだけ速やかに『地獄』に帰ってもらわないと、いつまでたっても『天国』どころか『ヒト』として生まれ変われず、醜い姿を(さら)したまま “苦しみ” を引き延ばすことになります。」


 「わ・・・私達も・・・ですか?」


 「無理にとは言いません。戦闘においては “闘える者達” が戦えば良いとは思いますが、全ての在り方を神々に委ねる姿勢も、他者から見れば “甘え” でしかないように思えるのですが・・・」


 「私達が甘えてると・・・」


 「見方を変えれば、この世界は “残酷” です。『言葉』や『経典』だけでは救える者も救えない現実がそこかしこに転がっています。そうは思いませんか?」


 「・・・」


 「幸か不幸か、僕は『称号持ち』であり、少しだけ高い戦闘力を持っていますが、そうでなければ、ただの6歳の子供ですよ?」


 「・・・」


 「剣を持てとは言いません。ただ、常に “最悪の事態” を想定していてください。」


 「・・・最悪の事態とは?」


 「明日死んでもいいように・・・いつでも “真っすぐ” に天国に迎え入れられるような生き方をされることを願っています。」


 「・・・」



 言い過ぎたかね?

 考えこんじゃったよ・・・


 《 聖職者は本来、他人の人生に影響を与える仕事ですからね。少々ハゲるくらい考えてもらった方が良いのでは?》

 コクウさんが辛辣だw


 《 ハゲてほしいの?》


 《 比喩ですよ。ハゲたオッサンに興味ありません。》


 《 俺も将来ハゲるかもよ?》


 《 そうなったら楽しいですねw》


 《 何故に!?》



おっちゃん「薄毛が気になるお年頃 (´;ω;`)ウッ…」

相方 「いっそ全部引っこ抜いてみては?」


おっちゃん「ひでぇ・・・」

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