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56 剣と王家と白目父w


 「ひゃっほう!」


 襲い来る巨剣を華麗に躱し、猛烈な勢いで間合いを詰めるメイさん。


 一振りで、踏ん張る『ミノさん』の右膝蓋骨(しつがいこつ)を切り飛ばして跳ねるように離脱。

 “野生児” の本領発揮だw


 「気ん持ちいい~」

 見悶えるように剣を抱きしめてらっしゃる。


 訂正。

 変な趣向に目覚めてないかい?


 「呆れたな。武器が違うとこうも戦力に差が出るものなのかい?」

 メルさん?

 アナタも大概(たいがい)なんだが??

 自覚ないのか???


 「初回の戦闘でも、傷のほとんどはメイの攻撃によるものでした。単純な身体能力なら、すでにメイに軍配が上がっていましたよ。」

 スズネさんの冷静な分析だ。


 確かにな。

 あのアホみたいに固い ”天然の鎧(ヒフ)” がなきゃ、とうの昔にメイの『ミスリルの剣』に倒されていたはずだ。


 “手練れ” といえど ”四人掛かり” では立っているのは難しいしな。


 ”多勢に無勢” ってやつだ。

 『ゴ〇ンジャー理論』ともいうww


 狂ったように巨剣を振り回す『ミノさん』の剣に、メイが『アダマンタイトの剣』を合わせた。


 サクっと切る。


 サク?

 『バキン!』じゃなくて『サク!』??


 固パンかよ!?


 「切りおった・・・」

 「切りましたね・・・」

 セコンドの二人も呆れてらっしゃる・・・


 『ミノさん』の絶望が見て取れた。


 「メイ。()()はそれくらいにしよう。可哀想だよ。」


 「は~い♪」


 身構える暇も与えず、あっけなく首が落ちた。


 「あ~すっきりしたぁ♪」


 晴れ晴れした顔だなw

 鬱憤(うっぷん)溜まってたもんねww




 時間を少し巻き戻そう。


 『神器』と『コクウ』の力を借りて、『シェルタールーム』で『アダマンタイトの剣』の作成に取り掛かろうとしていたら、急に『サラフィナ様』に呼ばれた。


 結構重要な話をサラッと交わし、とりあえず『ゲーム』を広めるという実験的な計画を進めることになったのだが・・・


 気が付きゃスズネさんの膝枕という “御褒美” が付いてきた。

 がっちり魔力を持って行かれたが、死ぬほどじゃない。


 そして『3振りのアダマンタイトの剣』が完成したのだが・・・


 そのうちの1振りが『サラフィナの剣』だと?


 大盤振る舞いも(はなは)だしくありませんかね?

 一気に最下層までイっちゃうよ??


 ええのん???



 「メイ。これ抜ける?」

 「?・・・こう?・・・あれ?・・・」


 「どした?」

 「頭ん中で声が聞こえるよ?名前つけてだって?」

 案の定でしたw


 「メイが付けていいよ。メイの剣だからw」


 「いいの? ん~~~~じゃ サダハル!」



 これでズッコケるなって言う方がオカシイw



 「なにようぉ!前世のお兄ちゃんの名前だからね!カッコよくて優しかったんだから!」


 「はいはい。仲良かったんだね。ちなみにその『サダハル君』はサラフィナ様が手を貸してくれたヤツだから。大事に使ってねw」


 「サラフィナ様が?」

 「会ったのかい?」


 「制作中にね。いきなり呼ばれたよ。皆にも話しておこうと思ってね。」



 俺は洗いざらいを話した・



 「・・・2000年・・・」

 「・・・実験場だと・・・」

 「あ~ね・・・」


 捉え方は人それぞれか・・・


 「メイは知ってた?」


 「ま~ね。書籍を読んだことがあるの思い出したよ。入信はしなかったけど・・・」


 「書籍か・・・そこらへんに ”転生” (呼び出し)の秘密がありそうだね。」


 「でも向こうの世界の信者さんって10万人越えてなかった?私の知り合いも二言目には “修行が~” って言ってた気がするけど?」


 「信仰が強すぎて引き抜けなかったかな?それとも “バッド” だか “ラッキー” だかのタイミングで俺達が “拾われた” とか?」


 「でも “こっちの世界の創造神” とか “サラフィナ様” とかに会ったことないよ?」


 「・・・だよな~・・・」


 「歓談中に申し訳ないんだが、もう少し解るように話してくれないか?」

 「書籍とは・・・魔導書のことでしょうか?」


 それからしばらく。説明に追われることになった。




 そして現在


 「その魔石はメイのものだね。」

 「やた♪」


 「迂闊に売り払わない方がいいぞ。相場がひっくり返るからな。」

 「解ってるよ。老後の資金に取っておくもんね。」


 「それがいい。私のポシェットも、そろそろキツくなってきたからな、」

 「食糧の消費率より、魔石の回収率の方が高いですからね。」


 じ~~~

 痛いよ。


 「はいはい。そろそろ帰ろうか。ポシェットの拡張は屋敷に戻ってからね。そろそろ『とっちゃん』の泣きが入る頃だろうし。」


 「うっし!」

 「そういえば兄上の誕生日だったか?『ミスリルの剣』を送るのかい?」


 「今回はね。『アダマンタイト』の方は『飛び地』の領主代理が決まってからかな?」


 「恵まれた兄上だな。」


 「自慢の兄だからねw ん? ノワールおかえり。父上からの返事?」

 手紙を咥えた猫又が、足元から出てきた。


 何気に読んで・・・膝から力が抜けた・・・


 「おっと?どうした?」

 ひらりと落ちた手紙をメルさんが拾う。


 「どれ・・・ぷふ・・・何やら楽しそうなことになって来たなw」

 「そこ笑うトコ!?」


 「なんて書いてあんの?・・・あらまあw お見合い話? 第三王女とな!?」

 「・・・」


 スズネさん?

 無表情が怖いんだが・・・


 「これは家族会議だな。キミの姉上と兄君は学園だろうから全員とはいかないがw」


 ようやく立ち直った俺に、メルロスが笑いかける。

 実に楽しそうだ。


 君達も “当事者” なんだよ?


 「ややこしいことになったねw」

 メイさん楽しい?


 「・・・」

 スズネさん何か言って?



 「成人してから~なんて思ってたけどね。考えが甘かったみたいだ。正直に話すしかないかな?」

 気の重い話だ。


 「それしかないだろうねw」

 メルさんホントに楽しそうだね。


 「いよいよハーレムね。良かったじゃんw」

 そうだね・・・女の子ばっかり・・・って・・・


 良かないワ!!




                   ◆◆




 「クレア様。本当に行かれるのですか?」


 サフリー・ドアトリスは鏡に向かって座る少女の髪に、櫛を通しながら訊ねた。

 黄金色の癖のない真っすぐな髪だ、

 とび色の優しい瞳が、鏡越しに見つめて来る。

 緊張を強いられる職務の中でも、この時間だけはうっとりとしてしまう。


 サフリー・ドアトリスはドアトリス家の次女である。

 剣の才に(ひい)で、父であるサルムンド・ドアトリスに憧れて騎士団に入隊。

 ほぼ男所帯ともいえる騎士団に揉まれつつ、王族近衛班という狭き門を勝ち取ったサラブレッドだ。


 「勿論です。すでに父の御許可は頂いております。」

 クレアと呼ばれた少女は、にっこりと微笑んだ。


 クレアリス第三王女。


 ヨーデル王国における『フォン』は、王族において “正式な地位” を持つ者だけに与えられるため、名乗ることは出来ない。

 序列を表す数字で呼ばれることが慣例になっている。

 ちなみに第一王子は『王太子』と呼ばれるが、王位継承が決定されているとは限らない。


 「わざわざアストラスのような遠地に行かずとも、王都に呼べば・・・」


 「勇者様はダンジョンで修行中であると聞いています。それにサラフィナ神様との“密約” によりアストラスの地から、あまり離れられないとも・・・ならば私が出向くのが筋でしょう?」


 「しかし・・・」


 「それに、少し楽しみでもあります。」


 「はい?」


 「不浄の地となってしまったドンダリデ領を、わずか1ケ月程で壁と結界で隔離してしまうほどの魔力・・・それに反しトリアンテ男爵やサニエル男爵が治める領地では “笑顔” が増えているようですよ?」


 「それは私も父から聞きました。神の教えを持って『ロクデナシ』を改心させ、新しいパンの製法を無料で伝授したと・・・その真意は分かりませんが・・・」


 「レーズン酵母のことですね?きっと思い付きですわw」


 「思い付き・・・ですか?」


 「トリアンテとサリエルは隣同士ですからね。しかもどちらも果物や農作物で潤っています。アストラス領も負けてはいませんがブドウ菜園は行っていないようですから、手っ取り早く製法を広めたかったのでしょう。」


 「そんな単純な理由で・・・」


 「ふふ・・・どのような殿方なのでしょうか?少し楽しみです。」




                     ◆◆




 「ただいま。ロデムいる?」


 ダンジョンの屋敷に戻った俺は、すぐに執事を呼び出した。


 「おかえりなさいませ。」


 「ただいま。早速で悪いけど、実家に急用が出来た。明日帰るから早馬お願いできる?たぶん1泊すると思う。」

 「畏まりました。」


 「それから “地下の酒” はどう?」

 「異常はございませんが、少し風味に変化があるかと・・・」


 「そうきたか・・・ちょっとテイスティングしてみよう。」



 エールをウイスキーに変える。


 俺が『アイテムボックス」に放り込んで持ち歩いていれば、俺好みの味になるんだけどね。


 ただ容量がねww


 んじゃ外に『魔法円」書き出してみようと思うのは、不思議でも何でもないw


 俺は地下の80樽の酒を保管している部屋に向かった。


 「楽しみだな。」

 アルコールドランカーがウッキウキだw


 「風味が悪くなっちゃったかな?」

 「いえ・・・その逆かと・・・」


 適当な樽からコップに酒を注ぎ、香りを嗅ぐ。


 ん?

 んんん?


 さらに一口。


 これ・・・ジャック・〇ニエルになってません?


 「これは・・・旨いな・・・」

 「うぇ!強っ!!」

 「・・・水で割って飲めば、いけますね。」


 酒豪が二人になった件ww


 ともあれ、何が原因だ??


 「この樽の木材・・・産地はどこ?」

 「樽の製造はこの領内ですが、少し前に大量の木材がサニエル領から(おろ)されましたので、そこで仕入れたようです。」


 犯人は俺でしたwww


 俺は78樽の酒をアイテムボックスに放り込んだ。


 「料理長とかには飲ませてみた?」

 「いえ、試飲は私だけです。」


 「この2つは希望者に飲ませていいよ。酒精が強いから二日酔いには気を付けてね。」

 「ありがとうございます。」


 「また追加でお願い出来るかな?」

 「畏まりました。」


 テクテクと自室に向かう。


 「お食事はいかがなさいましょう。」

 「もう少し後にしてもらえる?野暮用済ませたら頂くよ。」


 「畏まりました。」



 「何するんだい?」

 「ヘーパイストス様に差し入れ。『神器』のお礼しとかないとね。」


 気に入るかどうかは別として、誠意は見せておくべきだろう。


 って、ロデム君?

 何でついて来るのかな?


 別にいいけどww



 40もの酒樽を自室に並べるのは、ある意味壮観だ。


 床に跪き、両手を合わせる。

 集中。


 「ヘーパイストス様。『神器』を作って下さり、誠にありがとうございます。些少ではございますが心ばかりの “お酒” を追加で用意させていただきました。ご賞味いただければ幸いです。」


《 ・・・ふん! 殊勝な心掛けだ・・・》


 樽が輝き。消えた。


 やっぱ見られてたかww



 「今の声は・・・ヘーパイストス神様か?」

 「私も聞こえた。初めてだよ。」

 「御姿を見せてはいただけないのですね。」

 「・・・奇跡だ・・・」

 ミンナオチツケw


 「声が聞けただけでも御の字だよ。神々がこの世界に顕現(けんげん)したらどんな影響が出るか分からないからね・・・そだ。サニエル男爵に手紙書かなきゃ。」


 「サニエル男爵に?なんで?」


 「あそこの森の木が、さっきの酒を生んだからさ。取引すれば、また酒が送れるよ。」


 「『神器』の礼にしては安いな。」


 「この世界の ”金銀財宝” は『天上界』では何の価値もないからね。むしろパン一個でも鉄銭一枚でも捧げて、心から “お祈り” をする方が価値があるんだよ。信仰心を神様に示す行為としてね。」


 「・・・なるほどな。」


 「で、ヘーパイストス様は酒樽40個とww」


 「鍛冶の神様だからね~『ドワーフさん』たちの信仰の対象だしw ロデム。頼むよ。」


 「はい! お任せください!」


 元気だねぇwww




 翌日。


 ドンビシャスの『とっちゃん』の店に ”新しい酒” を置いていき、屋敷に戻った。



 まあ。

 その後のすったもんだは割愛させてもらうがねw



 早い話。


 父上は白目を剥き、母上には呆れられたw


 やっと ”父の白目” を拝めたよww




 日が暮れて。


 俺は父の書斎に訪れていた。


 スズネ達は母に呼ばれ別室で話し合っている。


 取り調べだなw

 犯罪者かよww


 もちろんセバスは父の後ろに控えている。


 こっちも大概(たいがい)だなwww


 「まったく・・・お前はいつも “斜め上” を行くな・・・」


 「申し訳ありません。」

 悪気はないんだよ~


 「で・・・どうするつもりだ?」


 「スズネ達と “ダンジョン踏破” を優先します。『魔族』を退ける程度には実力を付けてもらわないと・・・」


 「安心して『魔族狩り』はできないか・・・」


 そうなんだけどね・・・

 もう三人とも “超レアアイテム” 持ってるから『魔族』の一人や二人、何とでもなりそうだけどww



 「・・・サルムンド侯爵からの手紙だ。読むか?」

 「?・・・はい。」


 受け取った便箋を広げる。

 内容は単純だった。


 引退して “爵位(しゃくい)” を譲ったら、俺と共に “旅” をするらしい。

 『(ミレイ)の息子を一人にはさせぬ・・・』らしい。


 ・・・涙が溢れた。


 「アストラスのダンジョンでは、定期的に他領の兵士の訓練場として “開放” しているのは知ってるな。」


 「・・・はい。」


 「最近では『トリアンテ』や『サニエル』も参加するようになった。中々のものだぞ。お前が伝授した “攻略法” とやらで短期間のうちに20階層を突破したからなw」


 「・・・はい。」


 号泣していい?


 「グレイ。全てを背負い込むな。疲れたら休め。頼りたくなったら遠慮なく頼れ。お前は一人じゃない。」


 「はい・・・はい・・・」


 涙が止まらねぇ・・・


 いや参ったね。

 流石は父上だ。


 いつの間にか後ろに立っていたセバスが、ハンカチを差し出した。


 不覚。

 後で洗って返すよ。


 「グス!・・・では父上。早速ですが、お願いがあります。」


 「なんだ?」


 俺は二本の『剣』を差し出した。


 一本は “ロングソード”

 もう一本は “ショートソード” だ。


 「お確かめください。」


 テーブルの上に置かれた剣の “柄” と “鞘” は俺のデザインだ。

 しっかり「家紋」を付けてある。


「・・・これは!」

 黒々とした刀身を見た父が絶句した。


 「ダンジョン産のアダマンタイトの剣です。お納めください。」


 おっと!

 本日二度目の “白目父”


 ガンバレ~~~~w


 セバス。

 小鼻膨らんでるよ?

 この角度から見るのは初めてかい??


 「・・・は!・・・こほん・・・二本あるな。もう一本はサルカスか?」


 父がんばったね~w


 「はい。今年の誕生日には『ミスリルの剣』を送るつもりですが、そちらの『ショートソード』は『飛び地の領主代理』に就任したときにお渡し願いませんか?」


 「『ミスリル』と『アダマンタイト』か・・・アイツも恵まれてるな・・・」


 「兄は僕の自慢なのでw」


 「そういう事は自分で言え。」


 「恥ずかしいですよw」


 「ダンジョン攻略を目指す奴のセリフとは思えんな。」


 「しっかり父上の子供ですよw」


 久しぶりだな “この会話”


 「まあよい。解かった。預かろう。」



 「それと、第三王女とノルグナー公の姪の・・・」

 誰だっけ?


 「フェルナ・ノーティラス様だ。ノーティラス侯爵家の長女だ。」

 そうだったw


 「そのフェルナ様と会ってみるつもりです。現状と、最悪の未来の可能性を説明する必要があるかと・・・」


 「現状はともかく、最悪の未来については言わずとも知っているとは思うがな・・・解った。会ってみると良い。」




 退出した俺は、気配を消してロビーで佇んでいた。


 しばらくすると、一人の足音が近付いてきた。


 「今日の仕事は終りか。セバス。」

 「!!・・・グレイ坊ちゃまでしたか。」


 「少し付き合え。」

 「は。」


 俺は先に立って歩いた。

 しっかし・・・相変わらず気配うっすい執事だなw


 裏庭。


 薪の保管庫がある庭だ。

 ここで “サラフィナ神” の像を作ったんだっけ。


 「セバス。家の様子に変わりはないか?」


 「はい。監視もはずれ。平穏無事にございます。」


 「そうか。ならいい。・・・コレをやる。」


 俺は『ショートソード』を差し出した。


 “鞘”も“柄”も濃茶色の剣だ。

 闇に紛れやすい色でもある。


 「・・・これは?」

 「抜いてみろ。」

 「・・・!!・・・」


 薄く七色に輝く刀身。

 試しに作ったにしては、なかなかの出来だ。


 流石に白目は剥かないかw


 「キレイだろ?ダンジョンで見つけた『ミスリル』に、限界ギリギリまで俺の魔力を注ぎ込んだ。柄頭(つかがしら)に『火の魔石』が仕込んである。」


 もう『魔剣』と呼んでもいいんじゃね?


 「・・・よろしいので?」


 「俺の信頼の証だ。父上と母上を頼む。」


 「・・・この身に替えましても・・・」


 「死なれちゃ困るから渡したんだ・・・死ぬなよ。」


 「はは!」




 おっちゃん「ちょっと長くなっちゃったw」

 相方 「勘弁してくださいよ。」


 おっちゃん「書いても書かなくても文句言うのね。ヨクバリさん♡」

 相方 「うわ!久ぶりの殺意が((# ゜Д゜)) 」


 おっちゃん「ひい! u@em~j#\ひでぶ!!!」


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