54 後の祭りと魔法の杖
現在、最初から見直しています。
誤字修正したり、ちょいと加筆したり・・・
「あじ~」
「相変わらずだな・・・ココは。」
51階層。
整然と並べた結界の上を、ひょいひょいと跳びながら移動する。
そう何度も『ワームさん』の腹の中に収まりたくないからねw
「あるかな~ 宝箱・・・」
見渡す限りの砂の山だ。
疑似太陽がこれでもかと輝いてらっしゃる・・・
「砂に埋もれてるかもしれませんね。」
スズネさんに一票。
「諦めない? ちょっとウンザリなんだけど?」
メイさんが早くも愚痴ってらっしゃるw
「そうだな。埋もれてたら見つけようがないし、下の階層にもっと良い物があるかもしれないな。」
メルさんの意見もゴモットモw
「こっからボス部屋まで急げば二日か・・・皆『シェルター』に入っててくれる? 魔力節約しながら移動するから。」
「いいの?」
「大丈夫。結界維持を最小限にすれば問題ないよ。何かあったら呼ぶから。」
『異常状態無効化スキル』は伊達じゃありませんてw
「すまないな。」
「お役に立てず・・・」
「お風呂と夕飯の準備よろしくw」
いそいそと『シェルター』に戻る女性陣。
さて
久々の “お一人様” タイムだ。
《 このまま『ボス部屋』へ?》
コクウさんがいたかw
「せっかくだから経験値稼いどこう。『ボス部屋』の位置解る?」
《 問題ありません。》
「上等!」
でかいハンマー型の結界を、砂地に落とした。
予想外の “衝撃” と “砂煙” にちょっと引きながら様子を見る。
‘経験値‘ が、わんさと寄ってきた。
「ごめんね。いただきま~すw」
《 “一人スタンビード” ですね。フォルダに保管しましたw》
「余計なことしなくて良いって!」
「そういえば『50階層の宝箱』って何が入ってたの?」
『シェルター』に戻るなりシャワー室に飛び込んだメイが、同様に隣でシャワーを浴びるメルロスに話しかけた。
「『アダマンタイト』とかいう金属塊らしい。知ってるかい?」
「アダマンタイト!? 存在してたんだ!」
「知ってる様だな。」
「向こうの世界じゃ『存在しない金属』としてね。世界一頑強な金属だって・・・」
「ほう。もしかして、武器とかも作れるのかい。」
「『物語』上はね。腕のいいドワーフが剣とか作ってたけど・・・」
「グレイ君には無理か?」
「どうだろ? できるなら、その場で何か作ってくれそうだけど?」
「そうだな。メイ君の今の武器ではミノタウロス相手は少し厳しいからな。」
「あ~あ・・・私も『神器』欲しいなぁ。」
「ヘーパイストス神様に頼んで見るかいw」
「お願いします『ヘーパイストス神』様ぁ! 私にも『神器』ください!」
腹が減るまでシッカリ “動き” ガッチリ “稼ぐ”
迂闊に降りるとパックリされそうなので ”糸” で巻き上げて回収。
最初からこうすればよかったw
ともあれ、51階層の『魔石』だ。
先日、思い付きで王都に送った魔石より遥かに質がいい。
「けっこう貯まったな。王都に追加で送っておくかな・・・」
ってか、程よく “消費” しとかないと『アイテムボックス』の容量を圧迫しちゃうんだよな。
片端から『実家』に送ってもいいけど、王都に目を付けられそうだし・・・
《 またですか? やめておいた方が良いのでは?》
「なんで?」
《 現在の『魔石』の相場は知りませんが、Aクラスの冒険者の最高到達点が30階層でしょう? 先日の『魔石』の価値も、それなりのハズですが?》
「・・・そうかな?」
《 そうですよ。将来 “貴族位” を放棄したいなら、余計なことはしない方が良いと思いますが?》
「・・・余計な事・・・か・・・」
俺は単純に “笑顔” が増えて欲しいだけなんだけどねぇ・・・
“換金” してもいいけど『特許』だの『馬車の魔改造』だので、当面の金には困ってないし・・・
必要以上に持ってても “猫に小判” だしな~
「父上に聞いてみようかな?」
《 手遅れに一票w》
「うるさいよ。」
◆◆
私の名は マリア・アストラス。
アストラス伯爵家の長女よ。
私は今『王都』に住んでるわ。
とはいっても、ヨーデル王国学園の敷地内にある『寮』なんだけど。
お部屋がとても広いのよ。
アストラスにある私の部屋の、“倍” 以上はあるかしら?
入学した頃はこんなに広い部屋ではなかったのよ。
だって “陞爵” しちゃったんだもの。
学園側が慌てて用意してくださったらしいわ。
私は “元の部屋” でも良かったんだけど、上級貴族の仲間入りした子女が “下級貴族用の部屋” にいるのは、学園側も外聞が悪いらしいわ。
ちょっと気に入ってたんだけどもね。
でもいいの。
本来なら一人だった侍女が二人になったんだもの。
メイサとローラよ。
二人とも男爵家で『学園の先輩』なのよ。
王都の地理にも詳しくて、なにより『冒険者資格』を持ってるわ。
つまり。
私も “冒険” ができるのよ!
もちろん実家には “内緒” よ。
私が『冒険してみたい!』って告白したら、二人とも “ノリノリ?” で承諾してくれたの。
私のような “お嬢様” には息抜きが必要なんだって・・・
でも知ってるの。
本当は彼女達が “冒険” をしたがってるのよ。
“依頼” を受けたり近くの “森” に入ることはできないけれど、王都の外に出て “薬草” を取ったり “魔物” を狩ったりできるのよ!
とても刺激的だわ!!
メイサとローラは魔法を使えないけど、とても強いのよ。
たった一人で3匹のゴブリンを退治してしまうの。
私には “何をしたのか” 分からなかったわ。
「ご安心を。お嬢様は『魔法』がとても御上手ですので『剣術』の腕を磨く必要はございません。“神獣の分身体” であられる『シャネリー』様もいらっしゃいます。私達のように “魔法が不得手” な者達が『武術』を修める必要があるのです。」
でも知ってるの。
二人はドンビシャスの冒険者ギルドでは有名人なのよ。
だって “C級?” のギルド証を持ってるんだもの。
実力は “それ以上” だとも聞いたことがあるわ。
その気になれば “トップクラス” の仲間入りができるんじゃないかしら?
「いや~ でも今の職場のほうが給料いいですしw」
「安定してお給金を頂けますからね。旦那様が “陞爵” なされたので、お給金が跳ね上がりましたしw」
とても現実的な “答え” が帰って来たわ。
でもいいの。
二人のおかげで “内緒の冒険” が出来るんですもの。
『魔法』の練習にもなるのよ。
本当よ?
そんなある日。
『シャネリー』が一通の手紙と、綺麗に包装された箱を咥えて持って来たわ。
『シャネリー』が持って来るということは弟からよね。
『 “ダンジョン産の魔法の杖です” “スズネからのプレゼントです。”』
要約するとこんな感じね。
「やば!スズネのヤツ、しっかり “点数稼ぎ” してるじゃん?」
「私達も何か考えないと・・・依頼受ける?」
気にしなくていいのよ。
私は “冒険” が出来れば嬉しいの。
できればずっとずっと。傍にいて欲しいくらいだわ。
そう言うと、二人は少し安心したようだわ。
蓋を開けてみる。
普通の杖ね。
なんなら、私が持っている杖の方が綺麗だわ。
でも解るの。
これは “普通の杖” じゃないって・・・
「ねぇ、これから “冒険” に出てみない?」
「よろしいのですか? 明日は『魔法の実技試験』のはずでは?」
「いまから出ると、夕飯ギリギリの時間になりますが?」
いいの。
たまには “外食” くらいしてみたいわ。
だって通り過ぎる屋台から、とてもいい匂いがする時があるんだもの。
◆◆
一通り51階層のワームを全滅させ、腹の中からドロップした宝箱を片手に『シェルター』を開ける。
てか、宝箱飲み込んでんじゃねぇよ!
どんだけ食い意地張ってんだって!!
消化不良起こしてんじゃねぇか!!!
ぷりぷりしながら戻ると、ノワールが手紙を咥えて待機していた。
「お? 姉様からの手紙か。珍しいな。」
あんれ?手紙が二通あるんだが?
「一通はスズネ宛か。ローラとメイサからだって。姉様と一緒に王都に居るみたいだね。」
「学園は、伯爵家からは ”侍女は二人まで” は許されていますから。」
俺は香水付きの手紙を開けた。
・・・まぁ・・・何と言うか・・・クレーム?・・・かな?・・・
「姉君は何と言って来るんだい?」
微妙な顔をしている俺が気になったようだ。
「『魔法の杖』を受け取ったその日に、試し打ちをしたらしい・・・」
「ほう?それで?」
メルさんが興味津々だw
「王都の外の大地が抉れて、大騒ぎになったらしい・・・」
「あちゃ~ ヤっちゃったか~」
メイ君に激しく同意ww
「で、『学園』にバレてしこたま怒られたと・・・」
「・・・まずかったでしょうか・・・」
スズネさんがしょげてらっしゃる?
カメラが欲しいのだがwww
「いや、感謝してるようだよ。おかげで『魔法の実技試験』は無条件で合格したみたい。加えて、特例で “冒険者の仮資格” も収得できたらしいよ。30年ぶりだってさ」
「それはようございました。」
おっと。スズネさん復活w。
元気で何よりww
「スズネ君の手紙には何て書いてあったんだい?」
メルさんが首を突っ込みたがる件w
「大したことはございません。 “余計なマネせず、坊ちゃまをしっかり警護しろ” と・・・概ね、そんな感じでしょうか。」
「 “点数稼ぎ” に映っちゃったか。ごめん。俺からの “お土産” って書いとけば良かったね。」
「お気になさらず。むしろ感謝されてますのでw」
「どういうこと?」
メイさん?
頭から “クエスチョンマーク” 出てるよ?
無駄に器用だなww
「 隠れてギルドに行かなくても良くなったようです。お嬢様の “傍付きメイド” として将来も約束されたとか・・・ざまぁ!・・・らしいですね。」
さりげに額に血管が浮いてるんだが・・・
サラフィナ様ぁ!
笑ってないで!!
ぷりーず・ぎぶ・みー・キャムラ!!!
◆◆
「またアストラル家か・・・」
「そのようですね。」
王宮。
執務室で『ベルトナラキウス・フォン・ヨーデル国王』は苦笑していた。
対する『ノルグナー・エイトラディス公爵』は冷淡そのものだ。
「子女が王都の外で大地を抉る・・・あの一家はどうなっている?」
「これといって特質すべきことは何も・・・敢えて言うなら、十数代前の領主が先の戦争で叙勲されたくらいでしょうか・・・」
「・・・だよな。その記録は俺も見た。『勇者』を生み出す条件があるかと気になっていたからな。」
「母親はサルムンド候の姪ですからね。そちらの血筋かもしれません。」
「当たってみたのか?」
「はい。ですが『仮説』を組むことは出来ても、他の二人の『勇者』の存在が『仮説』そのものを否定しますので・・・」
「・・・だよな~」
「報告によるとマリア嬢の『魔法の杖』が、いつもと違っていたとか・・・」
「ほう。グレイが何かしたか・・・良く調べたな。」
「大したことはありません。ノルマン家の嫡子が同じクラスなので。」
ノルグナー公爵の口角が薄く上がった。
「ノルマン家って・・・お前の甥か!?甥っ子が同じクラスだと!?」
「そうですが、なにか?」
「まてまてまて!何でそうなる!?」
「何でと言われても・・・出来が良ければ早めに『学園』に入学させるのは当たり前のことですが?」
「そりゃそうだが・・・もう “仲良く” なったのか?」
「まだ “未成年” ですからね。せいぜいが “お友達” 程度ですが・・・ま、おいおい・・・」
勝ち誇ったように、にこりと微笑む。
「まて!・・・いやまて!・・・そうだ! 隣国のアムライダ王国に嫁いだ妹の息子が同い年だったはず!」
「はあ!?何を言い出すんですか!他国の人間を留学させるおつもりですか!?」
「友好国だぞ!それに私の甥っ子だ!呼び戻して何が悪い!」
「友好国と言えど『学園』は我が国の機密の一つですぞ。なに “危ない橋を裸足で全力ダッシュ” しようとしてるんですか!!」
「機密?留学制度はごく普通にあるではないか!交換留学は普通のことだ。聞けば甥っ子は顔も頭も悪くないと聞く。こちらに呼び寄せても問題あるまい!」
「何ゆえの “機密” か、もうお忘れか!今すぐ “地下図書館” で『学園』の存在意義を読み直されたらいかがでしょうか!?」
「なに!? 不敬だぞキサマ!」
「不敬で結構! 国家の機密を漏らそうとする陛下の方が、代々続く王家の英霊に対する不敬でしょう!?」
「なんだとぅ!」
「なんですか!」
「なんだなんだ?また何か争ってるのか?あの二人は?」
執務室の扉は、締めていても音漏れくらいはする。
大声で言い争えば、廊下に筒抜けだ。
たまたま通りかかった官吏の一人が、黙って立ち尽くしている同僚に声を掛けた。
「しー!聞こえるって・・・どうやら先日の “騒ぎ” は『アストラスの勇者』の姉君が原因らしい。」
「あ~ 聞いた聞いた。さすが『勇者』の姉君だってウワサしてたもんな・・・で?なんでそれがケンカになるんだ?」
「ノルグナー公の “甥っ子が同じクラス” だとさ。」
「ふ~ん。そら運がいいねぇ・・・で?・・・」
「対抗意識を燃やした陛下が、アムライダ王国の甥っ子を留学させるとか・・・。」
「そら “悪手” だねぇ。学園の “機密” を国外に公開するつもりかよ?」
「それで揉めてんのサ。『危ない橋を全力ダッシュするつもりか!』ってね。」
「言い得て妙だねぇ。今回はノルグナー公の勝ちかな?」
「・・・だといいがねぇ・・・ほら、ウチの王様ってアレだしなぁ・・・」
「アレって・・・ああ『脳筋陛下』かぁ・・・」
「し~!!声がデカいって!首が飛ぶぞ!」
「おっと!くわばらクワバラ・・・」
言い争いは日が暮れるまで続いた。
おっちゃん「・・・温泉行かせてくれぇ・・・」
相方 「行けばいいじゃないですか。」
おっちゃん「え!? いいの!?」
相方 「このシリーズ書き終わったらね。お好きなだけドゾ♪」
おっちゃん「・・・鬼がおる・・・」
次回更新は 7月15日(水曜日)・・・と、鬼が申しております・・・




