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52 神器


 今更ながら


 宝箱という素材を探しながらの攻略は時間が掛かる。


 まあ


 出会う魔物との戦闘で、多少なりとも経験値を確保できてるから良いんだけども・・・


 「メルさんや、突き当りを左から『マンイーター』メイは右の通路から『バジリスク』今日の夕飯だよ。罠に気を付けて。」

 「承知」

 「やた♪」


 食糧にはまだ余裕があるけど、節約はしないとね。

 ダンジョンだしw


 一端の剣士になったメルロスさんが、積極的に前に出る。



 ここは49階層。


 50階層は “ジャングルフィールド” で、女性陣の苦手な『アレ』が出てくると、戦闘にならないかもしれないからね。


 最悪、俺とノワールだけで “宝探し” することになるかも・・・

 それはそれで面倒そうだ・・・


 ともあれ、メルさんの経験値を上げておくに越したことはない。


 ノワールと共に駆け出すエルフ(ファンタジー)を見守りながら、俺とスズネさんは呑気に歩いていた。


 「49階層のボスって何だったっけ?」

 「ヴァンパイアでしたね。」


 あ~ そうだった。


 いの一番にスズネさん狙ってきたから、咄嗟にニンニクを口に放り込んでやったんだっけ。

 コクウが爆笑するくらい “のたうって” たな・・・


 ちょっと可哀想な事したな・・・


 《 ()()に近いほど “弱点” が露骨に出ますからねw》

 コクウさん。よくご存じでw


 ま、スズネさん(大事な人)狙った時点で “アウト” なんだがね。


 今度は少し加減してやるか・・・クローブ(丁子)とかどうかな?


 《 なぜに『糸』を使わないのでしょう?》


 《 “真祖” か、それに近い存在” でしょ?『コウモリ』だの『ネズミ』だのに化けてバラけて逃げられたら面倒でしょう?》


 《 それで “香辛料” ですか・・・災難ですね。》


 まあ気の毒だとは思うが、まず能力を封じないとね。

 今度は少し奮発してやろうw



 行き止まりの通路に鎮座していた宝箱には『ガラクタ』が入っていた・・・ッて、これエンジンじゃね?


 某有名メーカーのV8気筒のエンジンが鎮座してらっしゃるんだが・・・


 「何故にエンジン?」

 メイさんの頭から?が浮き出てるw


 「どっからか迷い込んだかな?エンジンと言えば “アルミニウムにケイ素(Si)や銅(Cu)、マグネシウム(Mg)の混じった” 『アルミ合金』だね~」


 コンコンと叩いてみる。

 見た目はゴツイが・・・


 《 使えそうですね。》

 コクウさん? 何考えてらっしゃるのかな?


 《 魔力が通らないと思うけど?》

 《 このままではですね。驚くほど “密” に作られてますので。》

 《 原子の “スキマ” こじ開けて何とかしろと? 死んじゃうよ?》

 《 為せば成ると思いますが?》

 《 その根拠は?》

 《 私の “スキル” と “この場所” と “アイテムボックスの魔石” ・・・でしょうか。》


 『創造魔法』と『魔力溢れるダンジョン』と『貯め込んだ魔石』・・・ねぇ・・・


 《 どっちにしろ “ひっくり返る” 予感しかしないんだが?》

 《 私はどちらでも構いませんが?》


 「ん~~~~~」

 天井を見上げる。


 「どうなさいました?」

 「コレで何か作れるとか?」

 「ガラクタ市でも二束三文じゃないのか?」


 「とりあえず持って行こう。ダメモトでやってみる価値はある・・・かな?」

 

 ってか、中間層で “ひっくり返り” たくないんだよな~

 危険なことこの上ない。

 たとえ『シェルタールーム』があってもだ。


 「自信なさげだな。ムリしなくても良いんじゃないか?」

 メルロスがニンマリ笑う。


 やれやれ・・・


 「“やって後悔しろ” って言いたいのね。解りましたよ。」

 「よくできましたw 私も昔は何も決断してこなかったからな。」


 ・・・となると


 「魔物部屋探そうか。中を “掃除” して、シェルターに入ろう。」




 次に見つけたのは『魔物部屋』というより・・・


 「何か気配がハンパないんだけど?」

 「・・・強い気配だな。」

 お二人さん正解w


 「『ドレイク』だね。下級の火竜か・・・初手から空間魔法いくよ。」


 どうやら、このダンジョンは “イレギュラーな存在” が多いらしい。

 下層で大人しくしてりゃいいのに・・・


 安定してないんかな?



 突入と同時に『五連撃』。

 ラッキーなことに二撃目で首を刎ねたようだ。


 レベル70越え相手に “取っ組み合い” はまだ早いってw


 「お見事。」

 スズネさんが手を叩いてらっしゃるw


 「運が良かっただけだよ。初手が外れたら目も当てられなかったろうね。」


 「それでも勝ちは勝ちさ。胸張っていいんじゃないか?」

 メルロスさんの嬉しい評価だ。


 「美味しくはなさそう。」

 メイさん。食べず嫌いは如何なモノかなw

 すぐ “吸収” されちゃうけどねww



 赤い魔石が残った。



 《 下竜とはいえ流石は ”竜種” 。悪くないですね。》

 《 これ使うの?火傷しそうなんだけど?》


 まあ、出てしまったモノはしょうがない。

 他に何かないか一通り見て回った後、シェルターを開いた。



 拡張した部屋の真ん中に『エンジン』と、ありったけの魔石を並べる。

 さっきの『赤い魔石』も、山盛りの魔石のど真ん中に鎮座している。


 女性陣は興味津々だ。


 「ポーションまだ残ってる?」

 「はい。まだ余裕があります。」

 「メイ。ハルバート出して。」


 やたらデカい『ハルバート』を『エンジン』の上に乗せた。


 少し勿体ない気もするが、どうせ “失敗作” だ。

 バチは当たるまいw


 結界で覆い、中を魔力で満たした。


 周囲の魔石が溶けだして、『赤い魔石』と『エンジン』にへばり付いた。

 さらに魔力を籠める。


 《 ・・・ビクともしないんだが?》

 《 そうでもないですよ? 頑張りましょうw》


 他人事だな。


 ・・・んなろう!


 まだ余力はある。

 蛇口を全開にして、結界内に圧力をかけるイメージ・・・

 結界内が輝きを放ち始めた。


 《 ・・・生意気な・・・小僧だ・・・》

 ?

 どちらさん?

 いやな感じはしないが?


 《 周波数はこれであっとるか・・・私の作品に手を出すとはな・・・》

 作品?

 あ~ ハルバートの・・・ヘーパイストス様?


 《 あ~すみません。鑑定で “失敗作” と出ていたので・・・》


 《 構わん。駄作とはいえ、私が鍛えた武具をどうにかしようとする人間がいるとはな・・・好きにやってみろ。》


 《 手を貸してはくださらないので?》


 《 弟子でもないのに、そこまでしてやる義理はない。》


 《 アイテムボックスに “美味しいお酒” が大量に・・・》


 《 アレか? 馬鹿者。そういう事は早く言え!》


 結界内の輝きが増した。

 まるで直射日光を浴びてる様だ。


 ビキっと結界に(ひび)が入った。

 やばっ!

 バキン!

 割れた!?


 煙のような魔力が拡散し、銀色に輝く二本の杖だけが残った。



 鑑定:仕込み杖(神器)



 なんですと!?




                    ◆◆




 「父上。御相談が・・・」


 トリアンテ男爵領。

 アリアス・トリアンテ男爵は、木刀を振る手を止めて振り返った。


 そこには嫡男であるアーロン・トリアンテが、書類を片手に立っていた・


 「何だ。」

 「新製品のパンですが売り上げも上々で、他領の冒険者ギルドや商業ギルドからの注文と、他領主様からの制作方法の開示要求が止みません。」


 グレイからの依頼により、商業ギルドで特許を取得したトリアンテ家は息のかかったパン工房に特注パンを大量に作らせ、販売させた。

 ふわふわの口当たりと食後のステータス上昇効果により、たちまち人気が上がり、店舗を増やした。


 ついでに冒険者ギルドにも話を持ちかけて販売したところ、評判が評判を呼び『勇者のパン』として常に品薄状態が続いている。


 「構わん。開示しろ。特許料はしっかり取り立ててな。学校の運営資金に回せ。」

 アリアス男爵は汗を(ぬぐ)いながら短く指示を出した。


 こうなることは分かっていたことだ。

 “魔族対策です” というグレイの笑顔が脳裏をよぎる。


 「グレイ殿は我々を信頼し、『レーズン酵母パン』を伝授してくださったのだ。(きた)るべき『魔族』との戦いの時の “国の兵力の底上げ” を図るためにな。出し惜しみしている時ではない。」


 「解りました・・・それと学校の件ですが・・・」

 「進展があったか?」


 「いえ。領内の村に “触れ” を出しているのですが、収穫期は何処も人手が足りず・・・」

 「うむぅ。」


 「それと “未承認” の『人買い』が横行しているようです。」

 「む!“口減らし” か。」


 「はい。見込みのありそうな子供は我々が引き取ると言っているのですが・・・」

 「金銭に目が眩んだが・・・『人買い』どもは多いのか?」


 「まだそれほどでは・・・しかしコーラル家の名をかたる者もいるようです。」

 「コーラル・・・伯爵家だな。面倒な・・・」


 コーラル・ゼブライド伯爵は、数年前にドンダリデ領内で盗賊に惨殺されたらしい。

 噂では、いきなり降って湧いた “跡目問題” で大騒ぎになっていたようだが・・・


 「少し探ってみるか・・・ “草” と連絡は取れそうか?」

 「・・・よいのですか?」


 「何がだ?」

 「てっきり父上は “隠密” の類がお嫌いだと思ってましたが・・・」


 「・・・確かにな・・・だが “正面切って” も乗り越えられぬ壁があるのも確かだ。儂はそれをグレイ殿に教えていただいた。」

 男爵は正直に答えた。


 “ドンダリデの壁” の存在は、それほどの衝撃だった。


 「・・・弟が・・・ダリアがそれらしい “人物” を知っているようです。」


 「・・・アヤツめ・・・良い。ダリアに向かわせろ。正確な情報が欲しい。」

 「承知しました。」




                     ◆◆




 『神器』が出た。


 ナニヤットンネン『ヘーパイストス』様ぁ・・・


 いや解るよ?


 “モノ作り” の神様だもんね。

 半端な道具じゃ “プライドが許さないの” デショウケド・・・


 けど『神器』って・・・



 俺は床にある “二本の杖” を手にした。

 模様が浮き出ているのは『ダマスカス鋼』か?



 鑑定:仕込み杖(神器)



 それだけだ。


 そして軽い。


 『質量保存の法則』が裸足で逃げとる・・・

 ついでに『アイテムボックス』に保管してあった40樽の酒も消えとるw



 酒40樽が神器に化けたか・・・


 やっすいな!ヘーパイストス様!!

 んで『ドワーフさん』たちゴメン!!

 クレームは受付られまっせん!!!



 「とりあえず一本はスズネが使ってね。」

 「・・・良いのですか?」


 恐る恐る出した手に杖を握らせた。

 『神器』持つメイド・・・“お里” もビックリだろうさwww


 「なんかスゴイのが出来たな・」

 メルさん鋭いw


 「いろいろ “理不尽” に感じるのは気のせい?」

 メイさん正解ww


 ここは正直に話すしかあるまいよ・・・




 「酒40樽って・・・ヘーパイストス神ってウワバミ?」

 「否定できないね。鍛冶の神様らしいしw」

 「宴会でも開くんじゃないのか?」

 「天国で宴会ですか・・・楽しそうですね。」


 口々に言いたいことを言う。

 聞いてても不思議じゃないんだが・・・ま。いいや。

 クレームは『ドワーフさん』たちにドゾwww



 『魔物部屋』を出た俺達は前衛を交代し、俺とスズネさんが積極的に前に出て、『神器』を試す。


 いい具合だ。


 何年も使い倒してきた杖のように手に馴染む。


 ついでに “威力” もハンパない。

 出会い頭に襲ってきた『マンティコア』を突いたら、頭部が綺麗に吹き飛んだ。


 ちょっと魔力込めただけだぜ?

 呆れたねw


 「スズネ、どう?」

 「はい。とても使いやすいです。」

 花咲く笑顔が眩しいザンスw


 「いいなぁ・・・私のは~?」

 メイさんが拗ねてらっしゃるw

 忘れた訳じゃないんだけどね。


 純粋な “戦闘力” ならメイさんに軍配が上がるし、性格的にも前に出してやりたい。


 「ごめん。今は素材も魔石もすっからかんだ。ついでに酒もない。」

 「酒はともかく、ガラクタはあるだろう? 魔石はメイのを使えば・・・」

 メルさん最もな意見だ。


 「ダンジョン産のミスリルを下回る剣なら作れるけど?」

 「お話にならないな。」

 なんかゴメン。


 「とりあえず探索を進めよう。何か掘り出し物があるかもしれない。」

 「『神器』よりイイ物ってあるの?」


 欲張るね~キミw



 49階を隅々まで探索して出てきたのは、ほとんどが『ガラクタ』と『宝石』だった。


 まあ、宝石に関しては女性陣に1個づつ分け与え、残りは実家に送る。

 将来何があるか分ったもんじゃないからね。

 『学校』の運営もタダじゃないしw


 姉様への “お土産” も何か考えなきゃ・・・

 『ドレイクの魔石』残しとけばよかったかな・・・



 フロアーボスの『ヴァンパイア』は、スズネさんが倒した。


 いや、クローブとニンニクを両手に持って構えてたんだけどねw

 スズネさんが真っ先に飛び出して、胸のど真ん中に “穴” 開けちゃってさww


 ってか、身体能力上がってません?



 「坊ちゃま。これを・・・」

 ヴァンパイアをあっさり葬ったスズネさんが、何か持って来た。

 『魔石』と一緒にドロップしたのかな?


 鑑定:魔法の杖

  MP: +18%

    DEX:+15%

    INT: +20%


 なかなかのモンだ。


 「くれるの?」

 「お嬢様の “お土産” にいかがかと・・・」


 そりゃありがたいw


 「ありがとう。助かるよ。」

 「いえ。」


 「キミの姉君は魔法が苦手だったのか?」

 「いや?普通だと思うけど、学園に通ってるからね、しかも在学中に “陞爵(しょうしゃく)” したし・・・何か少しでも(ひい)でたモノがあった方がいいんじゃないかな?」


 アニキは “秀才” で、弟は “変わり者“ だからねww


 「そういうものか?」

 「どうだろうね・・・学園に通ったことないからw」


 ま。使わないなら売り払うだろう。




 「ところで50階層は例の『ジャングルフィールド』だけど・・・行く?」

 「行かなきゃ先に進めないでしょ?」


 まあ、そんなんだけどw


 「『Gの大量発生(スタンピード)』があったフロアだな。確かにあれは脅威だが・・・」

 “脅威” というより “恐怖” だねw


 あの黒いテッカテカは、生理的に受け付けられないものがあるようだ。


 「シェルターに待機して “やり過ごす” 手もあるけど?」

 「いやよ。御主人様を一人で行かせるなんて。」

 「そうだな。僕達はチームだし、何が起きても一蓮托生だ。」


 嬉しいこと言ってくれるがね~


 「あ、足元に『G』が!」

 「ぴゃ!?」

 「H@:+ふ!??」


 「な~んてねw」


 このあと “袋叩き” にされたのは。言うまでもない。



 サラフィナ様。

 爆笑聞こえてますよ~ww



 おっちゃん「目指せ!目標100話!!」

 相方 「どうでもいいから、さっさと次書いて下さいよ。」


 おっちゃん「『夢』と『希望』は持ってしかるべきだと思うんだが?」

 相方 「『妄想』と『絶望』しか口にしてないでしょう?」


 おっちゃん「・・・温泉行きたい・・・」

 相方 「さっさと書け!」




 

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