51 アンデッドと魔剣
「次の階層って・・・確か・・・」
「あ~ 迷路中央にゴーストタウンがあったヤツね。」
メイさんの記憶がよみがえる。
切っても手ごたえが無いからイライラしてたもんねw
「アンデッドとメイスしか居なかったからな。」
メルロスさんの『水魔法』で押し流したんだっけ?
メイスは俺の『ターンアンデッド』で追いやっただけだし。
「宝箱・・・あるでしょうか・・・」
スズネさんが顔を顰めてる。
アンデッド臭いもんねw
「しらみつぶしに探すしかないね。ところでメルは神聖魔法使えないの?」
鑑定では『神聖魔法』って、しっかり表記されてるんだが?
「使えるが、前回みたいに団体で来られるとな・・・押し流して走り抜けた方が早かったろう?」
「確かに・・・」
普段おちゃらけてる割には考えてらっしゃるw
「この階層の『魔物部屋』で、水魔法使わないでね?溺れちゃうからw」
排水設備があるか怪しいしね。
「分かってるよ。」
「そろそろ来たよ。」
メイさんが警戒する。
最初は『武骨鬼=スパルトイ』と『呪屍鬼=レヴナント』か。
奥には『呪死王』とかもいたっけ・・・
まともに戦わなかったんだよな~
『多重思考』と『並列思考』でチーム全体を『結界』で覆って・・・『神聖魔法』を上乗せして突っ込んだら、ダンプに轢かれたように吹き飛んじゃったしw
階層ボスの『ドッペルゲンガー』も同じ手で終了したしなww
メルロスさんが呆れてたしwww
・・・とか考えてる間に『水魔法』で洗い流してるしwwww
「呪詛系は解除が面倒だからな・・・臭いし・・・」
「ごもっともw」
インターバルで順調にレベルを上げているからね。
この程度なら “脅威” にならないかw
「あれ? 魔石になってる・・・メル『聖水』使った?」
「いや、普通の『水魔法』だが?」
スズネさんが床に残っている水を指で掬った。
「聖水・・・みたいですね。」
鑑定:聖水。巫女のレベルが上がったため、無自覚に聖水が出せるようになったもよう。やったね♪
やったね♪って・・・
「王都の『噴水』並みに『聖水』作れるなら、この階層のラスボスはメルロスだね。教会が大喜びしそうだw」
「冗談でもやめてくれ。封印だな『水魔法』は・・・」
「今はありがたいよ。メルを前に出そう。魔力枯渇するまで使えば、レベルアップしやすいよ。」
「・・・スパルタだな・・・」
「ダンジョンだからね。ハリキって行こうw」
46階層をメルロスさんが無双する。
日頃、俺の股間を枕にする報いだw
結局 “魔力枯渇” したら俺の股間に飛び込むがねww
まあいいさ。
好きなだけ休ませて、メルロスさんの好物を食卓に並べ、風呂で心身をリフレッシュさせたら、また “宝探し” だ。
“上げて落とす” とは、このことさwww
本人も “手ごたえ” を感じているんだろう。
MPの成長が驚くほど速い。
『魔物部屋』も、俺達の出番は殆どなかったしなw
聖水の『ウォーター・カッター』なんて初めて見たよww
当然、部屋いっぱいの『魔石』もメルロスさんが独り占めだwww
んで・・・部屋の隠し扉の奥にあった “お宝” は・・・
「日本刀?・・・魔剣か・・・」
鑑定:魔剣『村雨丸』
・・・それだけかい!
「知ってる?」
メイさんが覗き込む。
俺は手に取り。半分だけ刀身を抜いて見せた。
「魔剣『村雨丸』だね。」
刀身を戻し、メイに渡す。
使えるかな?
「魔剣かぁ。存在したんだ。呪われたりしない?・・・って・・・抜けないんだけど?」
ンギギと引っ張っても、抜ける気配がない。
「ヒトを選ぶのかな?スズネは?」
「・・・抜けそうにありませんね・・・」
スズネさんもダメか。
「そうかい?」
メルロスさんがアッサリ抜いてるしw
神聖魔法の使い手しか使えないとか?
「おや?」
刀身を抜ききったメルロスが首を傾げた。
「どした? まさか呪われたとか?」
「いや・・・コレがボクに語り掛けてきた。“主になるか?”って・・・」
まさかの『インテリジェンスマジックアイテム』でしたか。
「大丈夫?」
「嫌な感じはしないな。面白い。Yes だ。」
あらら。
刀身が短くなった?
メルロスさんのサイズに合わせたか??
ステータスにも『魔剣使い』の表記が出てらっしゃる。
「その剣、ちょっと借りて良い?」
試しにもう一度、刀身を抜こうとしてみるが・・・
「・・・抜けない・・・メルを “主” と認めたようだね。」
「面白いな。この剣で何が出来るか・・・」
気に入ったようで何よりw
『ポン刀』担いだ『エルフ』か・・・ファンタジーに拍車が掛かっとるww
「とりあえずシェルターに戻ろう。この国の剣とは使い方が異なるし、俺やスズネならその剣を使った “技” も教えられるからね。」
「ほう。それは有難いな。よろしく頼む。」
満面の笑顔だ。
人殺しの技なんだがね・・・
ま、いいやw
それから3日間。
『シェルタールーム』を拡張して、俺とスズネで “居合い” や “型” を教え、メイとの “じゃれ合い”
しっかり食って、しっかり休む。
付け焼き刃ながら、なんとか形にはなった。
物覚えの良い子だからね。
『村雨丸』も “主” の意向に合わせて調節してるみたいだしw
短い “修行” を経て『魔物部屋』にもどる。
魔物の “復活” はないようだ。
休憩所になるかな?
「んじゃ、サクサク行こうか。メルロスの活躍に期待しよう。」
「そうだな。任せてくれ。」
元気でけっこうw
『村雨丸』の鍔がリンと鳴った。
「おらおらおら~!!」
『村雨丸』振り回し、アンデッドを浄化しまくるメルロスさん。
『レイスさん』まで “切って” らっしゃる・・・
魔石が落ちて来るんだが・・・
着いて行く俺達は『回収係』だ。
・・・ ”ジョブチェンジ” して人格変わってません?
「メル絶好調だねw」
メイさんが嬉しそうに魔石回収に奔走してらっしゃるw
「大丈夫でしょうか? 人が変わったように見えますが・・・」
スズネさんが心配げに訊ねてきた。
「大丈夫だと思うよ。『村雨丸』が “妖刀” なら『神聖魔法』は受け付けないだろうからね。むしろメル自身が僕達に着いて来るのがやっとだったし。前に立てて嬉しいんじゃないかな?」
「そうですか? 十二分に役に立ってたと思いますが・・・」
「自分と他人の評価は別物だよ。“やっと肩を並べられた” と思ったんじゃない?」
「・・・だと良いのですが・・・」
お?
程よく集まったところで “聖水” 攻撃か。
まるで洪水だww
「メル。そろそろ交代しよう。」
「そうだな。『村雨丸』の使い方も解って来たし、頼むよ。」
「了解。『呪死王』は任せていい?」
「分かった。」
いい顔だ。
◆◆
「ふ~・・・陛下も頑固な・・・」
サルムンド侯爵の手紙に、ホウレイ・アストラスの眉間の皺が深くなった。
「如何なされました。」
セバスが茶葉を蒸らしながら訊ねる。
「第三王女の身分を剥奪してでもグレイと一緒にさせたいらしい。王女も承諾したと書いておる・・・」
「なんと!貴賤結婚もさせずに?」
「それはそれで問題があるからな・・・何を考えているのやら・・・」
文字通り頭を抱えるホウレイに、セバスが顎に手をやりながら呟いた。
「・・・となれば、邪推ですが・・・」
「よい。言ってみろ。」
「『魔族』との全面戦争・・・」
「!!」
「・・・となれば、グレイ様のお傍が一番安全ですからな・・・」
「・・・うむぅ・・・」
「失礼。老体の戯言ですので。」
「いや、王家の血を残すという意味では・・・一概に否定できん。」
眉間の皺が、さらに深くなる。
「エイトラディス公爵閣下の姪も、婚約に承諾したそうだ・・・」
「・・・ますます雲行きが怪しくなってきましたな。」
◆◆
「なるほど・・・これが ”貴様” の能力か・・・」
『村雨丸』を正眼に構えたメルロスさんが呟く。
いや『呪死王』戦でさ、危うくなったら手を貸そうと身構えてたんだけどさw
あっさり切り倒してしまってさww
知らなかったよ。
『呪詛』が切れるなんてさ。
『言霊』だよ?
物理法則ガン無視なんてさw
なにヤらかしてんのさww
アゴが外れるかと思ったわwww
んで
意気揚々とボス部屋にたどり着いて、当然のように『ドッペルさん』と相対してやんのwww
こうなると、見たくない?
『ドッペルさん vs. ポン刀エルフ』
俺は見たい!!
幸運にも、俺も『神聖魔法』使えるからね。
即死でなきゃ何とかなるしw
「がんばれ~」
「メル!ファイト!!」
気分はすっかりセコンドだww
「・・・懐かしいな・・・」
油断なく構えるメルロスの目には、50年以上前の侍女の姿が映っていた。
まだ “巫女” としての修行の日々を重ねていたころ・・・
自分には両親の記憶がない。
物心がついた頃には、すでに教会の教育を受けていた。
『フィーネ』と呼ばれていた頃の、唯一の “友人” だった。
《 よく司祭の目を盗んでは遊んでいたな・・・》
時折、服の下に隠して差し出してくれる “お菓子” が大好きだった。
甘くて苦い思い出・・・
”侍女” がスルリと “間合い” に入って来た。
「・・・許せよ・・・」
メルロスは躊躇うことなく『村雨丸』を振り下ろした。
「お見事w」
「メル。泣いてる?」
安心したように近付いて来る “仲間” に微笑んで見せた。
「なに、懐かしい顔に出会えたんでな・・・恐いな『ドッペルゲンガー』というモノは。」
「相対するヒトの記憶を読むからね。前回みたいに容赦なく跳ね飛ばすのが正解だと思ってたんだけど?」
「そうだな。それがいいだろう。あんな思いは二度としたくないしな。」
足元に転がる『魔石』を拾い上げたメルロスは、大事そうにポシェットに仕舞った。
◆◆
「スズネはまだダンジョンかい?」
ドンビシャスの町の片隅にある小さな食堂。
日が落ちれば、そこは酒場となる店だ。
その2階の窓を開け放ち、町を見下ろす女がポツリと呟いた。
背の高い女である。
平民の服を纏い。
外に出る時は、杖を突いて歩く。
もちろんフリだ。
その気になれば窓からひょいと飛び降りて、町の端から端へと全力ダッシュを繰り返すくらいの体力はある。
『草』
自らをそう呼び、人知れず情報のみを扱う集団を束ねる一人である。
150年以上前
海を東へ遠く渡った、小さな島国から流れ着いた十数人の集団が村を構え、独自の技術と慣習を頼りに生き延びてきた。
領土を広げず、国を持たず、故郷の文化を守り抜いた。
一部の者は故郷で培った技術を生かし、情報を糧として “里” に貢献した。
そして現在。
長い時間をかけ、大陸のほとんどの国に情報網を広げた。
あらゆる職種へ潜り込んだ彼らは、より正確な情報を早く届ける稀有な組織として、コアな人物たちに重宝されている。
女は白髪交じりの黒髪を無造作に後ろに束ね、つまらなそうにテーブルに肘を乗せていた。
「まだ一緒に潜っているようです。三日に一度は伯爵の元に手紙が届いているようなので無事かと・・・」
同室の男はテーブルを拭きながら答えた。
店のマスターだ。
2階席は、夜は酒場になる。
口が軽くなった客は、真偽は別として『草』の貴重な情報源だ。
早く夜の仕込みを済ませたいのだが、幹部が席を陣取っているのでそういう訳にもいかない。
「・・・たく、酔狂な娘だよ。いい歳だってのに “仕事” おっぽり出してなにやってんだか・・・」
「『勇者』の信用を得るのも大事な “仕事” ですよ。おかげで我々も美味しい思いしてるんですから。」
自分に愚痴ってるわけではないことは重々承知しているが、マスターは口を出さずにはいられなかった。
町のはずれの小さい食道だが、グレイが実家に戻っているときは、時折裏口から顔を見せる時がある。
そういう時は、決まって何らかの料理を作っていく。
「屋敷の厨房は広すぎるしね~」
と、言いつつ手際よく鍋を振るう。
食材はもちろん “自前” だ。
味見をして、納得が行けばレシピを書く。
一枚は屋敷の厨房長に、もう一枚はこの店に置いていく。
「気に入ったらマネして構わないよ。」
それだけ言い残して帰るのだ。
手間は掛かるが『勇者カレー』『勇者オムレツ』『勇者ハンバーグ』は、朝から寸胴一杯に準備していても昼前には品切れになる。
「んなこたぁ解ってるよ!全く報告がないってのが気に入らないのさ! “里” に何て言い訳すればいいんだい!?」
「・・・ありのままに・・・」
「首が飛ぶよ!・・・たく!・・・どいつもこいつも・・・」
おっちゃん「おっと!51話目!! 流石だ俺様!」
相方 「自画自賛ですか・・・」
おっちゃん「何か言いたげだな。」
相方 「いえ、他に誰も褒めてくれないんだなと・・・」
おっちゃん「頑張れ・・・踏ん張れ!俺様!!」
相方 「・・・可哀想に・・・」




