表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/50

42 壁 その3

あ~ すみません。少々トラブルが・・・明日!


明日には第43話が公開できますぅ!


 「あれか。」

 遠目から黒い壁が見えて来た。


 我ながらよく目立つ。


 コケ脅しとばかりに作ってみたが、まさか本当に隔離することになるとはね。



 「まったく、呆れるくらい黒くて大きいな・・・」

 エロフさん?

 R指定な発言は控えていただけませんかね?


 「ひたすら固さを求めたんだっけ? で、ヤったらデキちゃった・・・みたいな?」

 野生児君?

 キミの “乙女” は何処行った?


 「良いではないですか、役目は立派に果たしているのです。これほどモノは他国にもないでしょう。」

 スズネさん。

 ウン、ボクガンバルヨ・・・



 などと脳内で阿呆なツッコミをしてる間に、検問所にたどり着いた。


 「じゃ、さっそく始めようか。最初は西に向かって領堺ギリギリまで伸ばしていこう。」


 「グレイ様。そちらには森があります。魔物対策が完了するまで待たれた方が良いのでは・・・」

 ダースが不安な表情を浮かべていた。


 「丁度いいですね。メイ、メルロス、ノワールをサポートに付けるから二人一組で食糧調達頼める?スズネはペンダント外して変なの寄ってこないように、僕の傍にいてもらっていい?」


 「ほーい。」

 「ボクが行くのか?スズネ君の方が適任じゃないのか?」


 「ダンジョンと森とじゃ勝手が違うからね。これも訓練だよ。行っといでw」


 この2カ月で基礎体力もレベルも僕達に付いていけるくらいにはなったんだ。

 ここらで外の “空気” を体感させた方がいいだろう。


 「・・・分かったよ。人使いが荒いなキミは。」

 ぶつぶつと文句をいいながら、ダンジョンで即席に作ったポーチから杖を取り出す。

 40階層で掘り出した “魔法の杖” だが、メルロスと相性はいいようだ。


 「コカちゃんいるかな~?」

 野生児が軽くストレッチをしながら呟く。

 コカトリス狙いか。

 親子丼、好きだもんねw


 「野菜はたっぷり仕入れてるからな。肉多めでも問題ないんじゃないか?」

 どこぞの食いしん坊が杖の感触を確かめる。

 暴れる気満々だ。


 がんばれ、元 “深窓の令嬢” ww


 「とりあえず昼には一回戻ってね。今日はカツカレーだよ。」


 「やた!」

 「よし!!」


 俄然やる気を出した “自称乙女” の目の色が変わった。

 森の魔物が狩り尽くされそうだw


 「だ・・・大丈夫ですか?」

 ダースさんが目を白黒させている。


 「大丈夫ですよ。僕達も仕事に取り掛かりましょう。」


 風のように駆けていく少女達を尻目に、壁沿いを歩きだした。






 「いや~ すごいですね。」

 「・・・・」


 トリアデ子息が感嘆の声を上げ、ダースさんの顎が外れかかっているww


 延長された黒壁は、一回の構築で50メートルほどになっていた。


 「これなら、領界までさほど時間もかからないと思います。どんどん進めましょう。」

 レベルアップした結界は、俺が見ても安心感がある。


《 我ながら馬鹿げた力だが・・・ま、モノは使いようってことでww》


 一回壁を作っては馬車で移動し、また作るのインターバル。

 走った方が早いのだが、トリアデ子息やダースさんを置いていくわけにもいかない。

 “なんちゃってマナポーション” を咥えつつ、のんびり作業を進めた。


 森にたどり着いたころには、良い具合に腹が減っていた。


 うん。魔物の気配がないねw

 狩り尽くしちゃったかなww


 「ここから徒歩になります。宜しいですか?」


 「かまいませんが、先にお昼にしましょうか。」

 ハラヘッタンダヨ~




 「ただいま~ お腹空いた~」

 準備を進めていると呑気な声が聞こえて来た。


 「ヒドイ目に合った。」

 エロフがげんなりしている。

 だろうね~www


 「想像は付くけど、ちゃんとついて行けた?」

 野生児がその気になれば、狩りのスピードは半端ない。


 「ついて行くも何も、ボクは回収係だったよ。もうアイテムボックスが一杯だ。」


 「ちゃんとついて行けたんだね。エライエライww」


 「褒められてる気がしないな。」

 ムクレてらっしゃるwww


 「メイの方がハンター歴長いからね。仕事の安全と食糧確保を同時に進めるには打って付けなんだよ。」


 「コカちゃんいたよ。あとでっかいトラも。」

 野生児君?

 キミ肉体年齢に引っ張られてないかい?


 「ポイズンタイガーだな。あの大きさはきっと “森の主” だ。一撃で沈んだけどな。」

 ほどんど交通事故だなww


 「デカいのだけ狩ってきたの?」


 「まね。ちっさいのは寄ってこないでしょ。スズネ先輩も御主人もいるしw」


 納得。


 「ポイズンタイガーだっけ?売れる?」


 「そうだな。毒袋は薬師が欲しがるだろうし、爪や牙は鍛冶師が使うらしい。毛皮も滅多に手に入らないそうだ。ましてやあの大きさだ。高く売れるんじゃないのか?」

 エロフ君の豆知識。


 「やた♪」

 メイさん、目が金貨w

 腹減ってたんじゃないのかww


 「分け前は二人で相談して決めてね。喧嘩しないように。さて、ご飯にしよう。」

 俺はいつものようにシートを広げた。






 作業は順調に進んだ。

 森を二つに分断するような形になったが、まあ仕方ない。

 掘り返した木は『材木商』が欲しがるだろう。


 拡張してて良かったよw

 アイテムボックスさまさまだww


 マンイーターのような植物系や小型のヒュドラなんかもいたが、めでたく素材が増えただけだ。



 夕方。

 そろそろ先が見えなくなってきたので、適当な場所で一泊することにした。


 「この森を抜けたところに、大きな崖があります。そこが境界です。」

 焼きたてのふわふわパンを堪能しながら、トリアデ子息がこの先を指差した。


 「まだ結構な距離がありますか?」

 そろそろ飽きて来たんだがw


 「いえ。もうすぐのはずです。森自体はそう大きくはありませんので。」

 さわやかな答えが返ってきた。


 「ありがたいですね。ダースさん?どうかしました?」

 警備隊長さんの顔色が優れないようだ。

 鑑定では異常は見られないが・・・


 「あ、いえ・・・あまりに異常・・・いや、規格外すぎて・・・その・・・」


 あー


 「ダース!失礼だろ!!」

 怒る子息を手で制した。


 「ダースさん。ご心配なく。僕はヨーデル王国の貴族の血を引く者としてここにいますし、この国に愛着があります。むやみに力をふるって誰かを傷付ける気もありません。ドンダリデ領の件がなかったら、こんな力など誰かに見せる気もありませんでした。信じていただけますか?」


 「は・・・はい・・・」


 「この力は『魔王』を討伐するためだけに使われるものです。用が済んだらアストラスに戻るつもりですよ。」


 「はい・・・申し訳ございません。」

 大きな体を二つに折るように、ダースは頭を下げた。


 「グレイ様、申し訳ございません。よく言って聞かせたつもりでしたが・・・」

 トリアデ子息が一緒になって頭を下げている。


 「気にしないでください。明日も早いですし、もう休みましょう。」


 俺は二つ並んで建てたテントの一つに潜り込んだ。

 大きめのテントなので、大人三人くらいなら余裕で入れる。



 しばらくするとスズネが入って来た。

 男女に分けたつもりだが?


 何も言わず隣に横になり、俺の頭を抱いた。

 俺も何も言わず腰に手を回す。


 少し泣けた。






 気が付くと、女性陣に囲まれていた。


 ってか


 おいエロフ!

 性懲りもなく俺の股間を占領しやがって!!

 売約済みだっつってんだろうが!!!


 遠慮なく押しのけ、外に出る。



 木漏れ日の中で、ダースさんがスープを温めていた。


 「あー スミマセン。夜の見張りもせずに・・・」


 「いえ、お気になさらず。むしろ昨夜は大変失礼なことを口走ってしまいました。あの後、あの娘達にこってり絞られましてね。」


 苦笑していた。


 なんかスマンネ。





 手早く朝食を取り、作業再開だ。


 少し泣いてスッキリしたせいか、調子がいい。


 大した障害もなくサクサクと作業を進めて、昼前には子息が言っていた崖に到着した。


 そこそこに高い崖だ。


 触れてみたが・・・うん、頑丈そうだ。

 簡単に崩れしないよう結界張るだけにしとこうか。




 簡易的な階段を作り、壁の天井の通路に出た。


 「ここも結界で閉ざしています。帰りながら最終チェックしましょう。」


 通路はなだらかで歩きやすい。


 所々に設けた排水口も問題なさそうだ。


 「要所に見張り台と武器庫と仮眠室を兼ねた搭を立てておいたので、ご利用ください。」


 「助かります。」


 帰りは壁に連なった塔の中で一泊し、すんなりと森を出た。


 ついでとばかりにスロープを作って馬車を上げる。

 ヨユウの広さだねww


 子息とダースさんも馬に乗って付いて来る。


 大丈夫そうだ。

 そのまま検問所へと戻った。





 検問所には、大勢の人が集まっていた。


 テントが張ってあるんだが・・・


 「おお!『勇者』様が戻られたぞ!」

 誰かが声を上げた。


 げ!

 フランネ神父やん?


 「こんにちはフランネ神父様。こんなところで、どうされました?」

 とりあえず笑顔。


 「ご無沙汰しておりますグレイ様。どうもこうも、なかなかダンジョンから戻ってこられないのでお屋敷にお伺いをしたら、ドンダリデ領の隔離にお出かけになられたとのこと。お一人では無謀な行為と知り、僭越(せんえつ)ながらお手伝いを(たまわ)りたく参上いたしました。そもそも我々は従来の教会と異なり・・・」


 「いや、一人ではないのですが・・・」


 どうやらこの “胡散臭(うさんくさ)い神父” の目には、俺の “頼りになる仲間” が映ってないらしい。


 うんざりする長舌に終止符を打とうとしたとき・・・



 ヒラメイたねw


 イイじゃん?

 こんだけ集まってんなら、利用しちゃえば?

 『立ってる者は親でも使え』って言うしww



 「解りました神父様。では遠慮なく利用させていただきます。ただし、少々危険な行為も含まれますのでご容赦を。」


 「おお!何なりとお命じください!我ら身命を持ちまして必ずや・・・!」


 「いえ、命は掛けなくて結構です。むしろ死んでもらっては困ります。宜しいですね?」


 「はは!」


 「では、いくつかの班に分かれてもらいます。一つは交渉ができる班。これはドンダリデ領と隣接する領地へ向かい、領主様からの壁作製の御許可を貰って来てもらいます。王命ではありますが、壁を作ることを嫌がる領主もいると聞きます。その場合は無理強いしなくて結構です。陛下も強行しなくても良いとおっしゃられています。次に魔物との戦闘ができる班です。これは・・・・」


 俺は次々と支持を出した。


 今までのように、のんびりゆったり仕事を進めても良いんだけどさ・・・



 広いじゃん、ドンダリデ領。

 飽きちゃうじゃん、壁作り。

 鬱陶(うっとう)しいじゃん、教会の面々w

 なら、とっとと終わらせて帰るしかないじゃ~ん♪



 脳内で “仮想人格” が爆笑してるしww

 名前はよって?

 へいへいwww


 「いいの?アイツらと組んで・・・」

 懸命に指示を出すフランネ神父を尻目に、野生児が心配げに訊ねた。


 「いいんだよ。手伝いたいって言うんだから、手伝ってもらうさ。死なない程度にねw」


 「デビルスマイルが爆発してるな。可哀想に。」

 エロフさんの憐みの籠った目でゴザルww


 「ってか、メルロス見て気付かないんだね。先代巫女だって・・・」

 「普段からベールで顔隠していたからな。言葉も必要最低限に抑えてたしw」


 「エルフってバレないように?」

 「というか、演出だな。正体不明の方が神秘的に見えるだろ?」


 「詐欺師かな?」

 「巫女だよ。正真正銘のw」


 「正真正銘の巫女が股に頭を乗せてくる件w」

 「刺激的だろうww」


 「やめてくんない?」

 「難しいな。丁度いい硬さだしwww」


 「何が!?」

 「何だろうなwwww」


 不穏なじゃれあいの中、やっと班分けが終わったようだ。

 人数にバラつきがあるようだが、まあいい。

 陣頭指揮を取っていたフランネ神父に大金貨を渡した。


 「・・・コレは?」


 「活動費です。馬、武器、宿泊や食費など物入りでしょう。遠慮なく使ってください。」

 大金貨は、普通の金貨の千枚分だ。


 痛い出費だが仕方あるまい。

 必要経費と割り切ろう。

 破産したわけじゃないからな。


 いざとなったらメイに泣きつく所存だw


 「・・・よろしいのですか?」

 フランネ神父の顔が引きつってらっしゃるww

 胡散臭い笑顔は何処行ったwww


 ネコババされるかな?

 まあいいや。

 俺の人望はその程度のモンだって割り切れる。


 「構いません。しっかり食べて、しっかり休んで、しっかり働いて下さい。」


 「ははぁ!」


 腰を直角に曲げた神父が、妙に笑いを誘った。


 「太っ腹だな。いいのか?」

 エロフ君が呆れてる?


 「破産したわけじゃないからね。魔石も沢山あるし、屋敷の馬車の工賃も入る予定だし・・・」


 「後で泣きついても知らないわよ?」

 野生児君も呆れてる様だ。


 「アテにしてるさw」



 俺は苦笑しながら、神父に促されるままに木箱の上に立った。



 身体小さいからね。

 木箱の上に立っても奥が見えず、心許ない。


 風魔法を起動。

 全員に俺の声が届くようにしてみた。


 「皆さんは “真理” という言葉を聞いたことがあると思います。ですが、その言葉はご存じでも、“真理” とは何かは知らない方が多いでしょう。実は “真理” とは身分や肩書きに関係なく、全てのヒトが知るべき “神の教え” なのです。」


 ざわめきが起きた。


 「ではなぜ、全てのヒトが知るべき “真理” が伝承されないのか・・・理由は簡単です。我々の勉強不足によるものです。」


 「勉強・・・不足・・・」


 「真理を追究するための絶対に必要なのは、神や高級霊との対話です。そして神、高級霊との対話には無私の心。我欲を捨てた心でなくてはなりません。執着や我欲にまみれた心で対話できるのは、悪霊や悪魔と呼ばれる地獄の住人くらいなものだと思ってください。以前、僕はドンビシャスの教会で『四つの教え』を賜り、皆さんにお教えしました。・・・では、お聞きします。皆さんは『四つの教え』を誰かに話したことはありますか?もしくは伝道したりしましたか?」


 お~~ し~ずか~だね~~~ww


 「今、皆さんは『奪い愛』の心に占領されています。『四つの教え』を独占し、その知識を広めようとしない。その姿勢は『与え愛』とは真逆の心です。神様は全てのヒトの幸福を願っているのですよ。『四つの教え』は “真理の入り口” でしかありませんが、神の御言葉を、今、あなた方は踏みにじっているのです。」


 衝撃の事実だ~ね~ww


 「ですが、『反省』は出来ます。学び直しもできます。僕も出来る限りの知識を公開するつもりです。そのために、今回の仕事は是が非でも成し遂げなければなりません。国が安定していなければ勉強どころの話ではありませんからね。ですが、これは強制ではありません。皆様の “真理” を追求する心を問う試金石です。ご協力いただけますか?」


 「う・・・うおおお!!!」


 うん。ヒドイ声だwww





 「キミは立派な詐欺師になれるな。」

 エロフ君の胡乱(うろん)な目が炸裂しとるw


 もうなってますww


 「知識を公開するのはホントだよ。大した “悟り” じゃないけどね。」


 「? “悟り”・・・とはなんだ?」


 「一言で言うなら、神様の知識の一部・・・かな?」


 「ほう?神様の頭の中を覗けるのか?」


 「いや、そう言うんじゃなくて・・・う~ん・・・天上界の図書館の入り口に置いてある小冊子程度の知識・・・かな?」


 「よく分からんが、入り口から中を覗く程度のものか?」


 「その解釈でいいよ。扉の向こう側は限りなく奥が深いみたいだからw」


 「それでも彼らには “大したお宝” だろうさ。僕も楽しみにしてる。」


 “巫女” 辞めたんじゃなかったのかね?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ