三巨頭会談
神聖国三巨頭(?)会談です。ミカとミコに関する勝手な会議が開催されています。
神聖国王宮の談話塔では、毎月一回、王宮代表・大神殿神官長・ギルド長の三者会談が行われる。
神聖国は王宮(中央政府)・神殿・ギルドの三権分立だ。それぞれ行政・司法、宗教・医療、警察・防衛などを担っている。ここ数百年はそれで何とか国が続いている状態だ。
その中での『聖女』の存在は大きい。聖女召喚の陣を構築できるのは、神聖国大神殿のみなので。
談話塔は王宮裏の最奥、小高い丘の麓にあった。背の高い垣根で隠されているため、密議に使われる。政敵のでっちあげ、呪詛、排除、政略結婚などなど、楽しい話がいっぱい。
重々しいテーブルにあるのはハチミツ入りの甘くて濃いハーブティー『ティザン』。スイーツにはハチミツ菓子、焼きチーズケーキ、ソバとデーツのミルクプリン。
神聖国の国民は、甘いもの大好き。
本日の議題は……。
【真・聖女はどこが後見するのか】
朝から三者の穏やかな話し合いが続けられていた。
「これからは、真・聖女様はギルドが後見する」
「はあ? 何を血迷っているのだ、ギルド長!」
「つい先日、我らが勇者殿が身柄を確保した」
「はあ? 真・聖女様を召喚したのは神殿ですぞ、十日もかけて召喚陣を構築したのですぞ!」
「だから? 実質、真・聖女様を保護しているのは我らが勇者である。であるからして、真・聖女様を後見するのはギルドである。反論はあるか?」
「大アリだ、神殿預かりをかすめ取るのか、盗人めが!」
「あなたたち、いい加減にしなさいよ。ジジィ同士でケンカとは見苦しいし、むさ苦しいですわ」
「テオリア様……酷い言いようではありませんか」
神官長とギルド長を制したのは、国王と最近離婚した前王妃だった。
三つ編みの黒髪を腰まで垂らした、色白で高貴な面持ちのアラフォー女性だ。
離婚理由は明かされていないが、神聖国民ならたいてい知っている。
「神殿とギルドの両方で後見でも良いのではなくて? それで、代理の方はどうしているのかしら?」
「代理聖女であるミコ様は、大神殿の聖女塔で日々癒しをしております」
「それなら神殿に真・聖女様は必要ないわよね」
「そんなことはありません、真・聖女様はあくまでも神殿預かり……」
「だから、保護してるのは我らが勇者、つまり我々ギルドなんだって! 勇者が付いていないと、あの聖女様は何をしでかすか分からないんだ!」
「神殿も真・聖女様周辺に聖騎士を派遣しておりますぞ!」
「あんなヒョロい奴ら、ちっとも役に立っていないではないか!」
「二人ともお黙りなさい!」
パシッ! と、特大の鉄扇でテーブルを叩く音がした。
カップが倒れてティザンがこぼれた。
「冷静に議論なさい!」
「「はい……テオリア様……」」
ここには三人しかいない。テーブルを片付ける者はいない。
「これでは埒が明きませんわ。真・聖女が神殿に戻らないのなら、神殿は代理を正式な聖女として、首都と近郊をパレードしなさい。聖女の存在を国内外に知らせなさい。召喚から何ヶ月たっていると思っているのですか」
「それは、ただ今計画中でして……」
「先日アポカリプス教団が聖女塔に乱入して、代理を偽物と糾弾したと聞きました。『代理』のままではマズイ」
「真・聖女様を表に出すことはできない。あの強力な力は国内外に知られない方がいい。そうだよな、神官長」
「……確かにそうではあるが」
「では、代理を正式な聖女にしてパレードをしましょう。王宮がプロデュースします。よろしいですね、神官長?」
「……かしこまりました」
「それから、真・聖女よりも少ないとはいえ、聖なる力が宿る存在を他国に掠め取られてはいけません。しかるべき殿方と早々に結婚させなさい」
「……かしこまりました」
「ただし、神殿のみに限定させません。王宮も候補者を出します」
「それは……」
前王妃テオリアの一言で議論は終わった。
「テオリア、相変わらずだなあ……」
「余計なことを言うと、あなたの秘密を全て暴露しますわよ、ギルド長」
「……」
《※これで神聖国の力関係(?)がお分かりになっただろうか》
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「あsdfghjkl;:! アツい! ココハドコダ!」
「何日風呂に入ってなかったんだよ、臭いなオマエ」
「あsdfghjkl;:! オレハミカ!」
「ここは神殿運営の温泉だ。ギルドも利用している。ミカは無料で利用できるんだ。よかったな、相棒」
バシャシャッ!
赤銅色の髪をした二メートル近い体躯の勇者が、身長百八十ほどの細マッチョ、ミカ・ブルーマンスを裸にしてお湯をかけ続けた。
「ヤ、ヤメロー!」
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※ティザン(ハーブティー)は、古代ギリシャ・エジプト時代からあるそうです。健康のための煎じ茶みたいな感じだったらしいです(ネット調べ)。
※次回はだいたい王宮視点です。
※前王妃様の号令で大神殿周りが動き出します。




