表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂漠の狼と奴隷に落ちた公爵令嬢  作者: 紫宛
神聖王国と砂漠の国
48/54

第45話 シルフィアの思い


シルフィアは、ファルークに口付けされた後、逃げるように飛び出した。


先程の出来事を思い出すと顔に血が上るのを感じる。顔に手を当てその場にしゃがんだと思ったら、アワアワと妄想をかき消すように手を振った。


(……ど、どう、どうしましょう……陛下と、キス、してしまいました)

しかも、嫌では無かった。

むしろ……


「どうしたら」

頭を抱え考え込んでいたら、目の前に影が落ちた。それでも、顔を上げるのを戸惑っていると声が降ってきた。

「シア?どうした?」

優しく頭を撫でる手を捕まえ握る。

「アル兄様……」

「その……」

話すべきか悩んだけど、このまま1人で悩んでても答えなど出ない事は分かっている。

それに、心配している兄様がこのまま諦める訳がない事は理解していた。家族の中で特にアル兄様は、極度の過保護なのだから。

だから、仕方なく事情を話す事にした。



思っていた反応と違い、激高する事なく話を聞いてくれる。

「シアは陛下が嫌いなのか?」

お兄様に、そう聞かれ考える。

陛下が嫌い?


(いいえ、いいえ、嫌いでは……)

「い、いえ!嫌いでは……ただ自分の気持ちが……」

分からなくて……と、続く。

再び沈黙した私に

「会って話してみたらどうだ?逃げていたら何も解決しないぞ」

「……ですが……」

どうしても、尻込みしてしまう。

陛下の気持ちを聞くのが怖い。

私の気持ちが、今どこにあるのかも分からない。フェル様に棄てられて、あの御方に対する気持ちは無くなったように思う。

けれど……

簡単に、棄てられたから陛下に乗り換える…なんて、陛下に対し失礼にあたる気がしますし。



……いや、陛下は、そんな風に思わないだろう…、シアにかなりぞっこんなのだから……

気付いてないのは、当人だけなのだろうな、と思うアルベルトだった。



「会って、話してみろ。案外、簡単に解決するかもしれん」

「お前が決めたんなら、俺は、もちろん父上やローザ姫達だって、どんな事でも協力は惜しまないぞ」


シルフィアは頷き、微笑みながら相談に乗ってくれた兄に感謝を伝えた。

「分かりましたわ、お兄様」

「よし!それでこそ、我が妹だ」

「じゃ、行くぞ」

急に歩き出した、兄様についていけず、呆然としてしまう。

「何してる、シア、陛下の部屋に行くぞ!」

「え?、今から、ですの?」

ボーッと突っ立っていると、兄様がツカツカと歩み寄り腕を掴んで再び歩き出した。

「当然だ、善は急げと言うだろう?」

「で、ですが、もう遅い時間ですわ、迷惑では……兄様!」




アルベルトがシルフィアを連れて、ファルーク国王陛下の部屋に向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ