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砂漠の狼と奴隷に落ちた公爵令嬢  作者: 紫宛
神聖王国と砂漠の国
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第46話 ファルークの思い


シルフィアが謁見室を飛び出して行った後、ファルークは、銀狼になり、砂漠の地を駆けて行った。

走り続け、心を落ち着かせた彼は宮殿に戻って来た。そのまま、宰相であるルーカスを自室に呼び付ける。途中、ヴィムクとグレッドを捕まえ共に自室に向かった。


使用人に、酒とつまみを用意させ、扉の前には兵士を立たせ『余程の用がない限り誰も通すな』と伝えこもる。



少し待っていると、ノックする音と共に扉を開ける音が聞こえた。

「ルーク、どうかしましたか?」

「……」

扉がちゃんと閉まるのを確認してから話し出した。

「……ルーカス……その、シルフィアに…接吻してしまった……」

「「「!!!」」」

ルークが発した言葉に、衝撃を受けた。

グレッドも、ヴィムクも言葉が無いようだ。

「その、流れで…気づいたらキス、してた」

彼をチラリと見ると、顔を真っ赤に染めて…

『見るな』と言いながら、顔を背ける彼に笑みが零れる。

「好きなんですか?」

女性に興味を持たず、剣ばかり振っていた彼が初めて興味を示した女性がシルフィア様だった。当時は隣国の王太子と婚約していた為、彼は気の無いフリをして諦めていた。

それが、こんな形で再び出会い、抑えていた想いが溢れたのだろう。


「……分からないんだ、自分の気持ちが…この気持ちが愛しいという想いなのか…」

女性に興味を示した途端に、振られた?様な状況が彼の気持ちを迷わせているのだろうか。

「よく考えて下さい」

私が答えを言えたら良いのかも知れない。

だが、愛しいという想いは自分で気付かなければ意味が無い。

だから、ヒントを……


「もし、私かグレッドが彼女を抱き締めたり、キスしたらどう思いますか?」

グレッドが、俺を引き合いに出すなと言わんばかりの目で見てくるが無視し。


気づいて下さい。

貴方の中にある、大切な想いに。

あの時、諦めた想いに気付いて下さい。


彼は目を瞑り、考え込む。


「……嫌だな…もしかしたら殴るかもしれん」

その答えに、またも笑みが零れる。

「殴らないで下さい」

「例えだ、本気にするな」


笑みを消し、真剣な目を彼に向ける。

「それが答えですよ」

彼もまた、私の目を見返し

「……そうか……」と、一言呟いた。


酒を手に取り、飲み出す彼を横目に、ヴィムクが嬉しそうに酒瓶を手に取りルーカスの盃に注ぐ。グレッドは、警護の問題があるからと酒は遠慮していた。


酒盛りは朝まで続くかと思われた。


……


…………


………………


ファルークの部屋に辿り着くと、アルベルトは「じゃあ、ちゃんと伝えろよ」と言って去っていった。


コンコンと陛下の部屋をノックする。

出てきたのは、ルーカスだった。

「はいはい、どちら様……おや」

シルフィア嬢は、意を決したように拳を握りしめた。

「あの、ファルーク陛下はご在室ですか?」

「お話があるのです…夜遅く申し訳ないのですが、どうしても…」


陛下の意思を聞かず、返事をする。

「分かりました。ですが夜遅くに男の部屋は、良くありません」

「ガゼボで宜しいですか?」

「分かりました。先に行ってますね」

「なりません。夜遅く女性1人で向かわせたとあったら私が陛下に殴られます」

「グレッドが居ますので、お連れ下さい」

「はい」

部屋に戻り、グレッドを呼ぶ。

「お待たせしました、さ、行きましょうか」

シルフィア嬢の背中に手を当て促す。


部屋に戻ったルーカスは、ルークに非難めいた視線を向けられていた。

恐らく、『勝手に返事をするな』という事だろう。

その視線を、あえて無視し着替えを促し準備して送り出す。

「ルーク、彼女に伝えるんですよ、自分の今の気持ちを」

「……分かった」

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