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代
すでに昨日と同じ馬丁が玄関先に待っていた。
「お待たせいたしました、それではご案内差し上げます」
深々とお辞儀をして、馬丁が馬車のドアを開ける。
馬車は昨日と同じものらしく、内装もかなりこだわっているように思えた。
どうやら前金として受け取っているらしく、ジェームズがしてくれたらしいが、さらにいえば行き先も言うことがない。
ゴンゴンと天井を叩くと、馬車はゆっくりと進み出す。
「それで、寝心地はいかがでしたか」
ごとごとと揺れる馬車内で、ジェームズが聞いた。
「ええ、なかなかな寝心地でした。少々ふくよかし過ぎたきらいがありましたが、十分でしたよ」
「それは良かった。グッディ卿のためにも、アマーダンを好きになっていただきたいですからね」
「やはり、ここの領主ということもあって、人望がおありなのでしょうか」
「グッディ卿は、とても素晴らしい紳士ですよ。ここまで財産が減っていると婚姻を結んでくれる人もおらず、恐らくはこの代で……」
馬車がひときわ大きく揺れる。
「おっと」
まるで話してはいけない話題のように、馬丁が馬車を動かした感じが、大河内にはしていた。




