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購入と参画  作者: 尚文産商堂


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12/16

翌日、部屋にはすでに起きて準備をしている従者と、ベッドで寝起きの大河内がいた。

「おはようございます。本日は、街へと向かい、不動産業者と会う予定です。また、ジェームズさんが、同行するとのことです。新聞はいかがしましょうか」

「英字新聞ならば、やめておこう。朝食は」

「間も無く連絡が来るはずです。連絡後に移動する手はずとなっています」

目覚めの紅茶は、前日に断っていた。

「今日は素振りをすることはできないようだな」

その時には、代わりに昼間に簡単に素振りを行うことにしている。

大河内は、今日はその方式でいくつもりのようだ。

「まことにその通りでございます」

その時、ドアがノックされる。

そして執事が扉の向こうで声をかけた。

「朝食のご準備が整いました。どうぞ、大広間へと御参上ください」

「分かりました」

こちらもドア越しに、従者が声をかけた。

足音もなく、どうやら執事はどこかへと去ったようだ。

「いかがいたしますか」

「起きるとしよう。どうやら朝がきたようだしな」

それはすでに来ているのだが、従者は何もいうことはなかった。


朝食は、ワンプレートで、豆の煮たもの、焦げ目がない炒り卵、薄切りトースト、しっかり焼いたベーコンが、一つの皿に乗せられていた。

子爵は姿がなく、食べているのは大河内と従者だけである。

モソモソと食べ終わると、入れ違いにジェームズがやってきた。

「おはようございます、大河内卿」

「おはようございます、ジェームズさん」

お辞儀をして挨拶をするジェームズに、大河内は挨拶をした。

「後で伺う予定ですが、いつごろがよろしいでしょうか」

「ご随意に。こちらはいつでも構わないので」

客分としている大河内は、ジェームズへとそう答えた。

「分かりました。では、朝食を食べてから、すぐに伺います。おそらく15分ほどと思うので、よろしくお願いします」

「ええ、こちらこそ」

そして、二人はいったん別れた。


部屋へと戻ると、すぐに準備へと入る。

少しの間はここを拠点とすることができるようなので、荷物は今日使う分の最低限だけでいい。

従者が次々とカバンへと入れていく横で、大河内は辞書を開けていた。

一つずつでもいいから、英単語を覚えているようだ。

「大河内さま、まもなく時間となります」

「そうか」

フワリと辞書を閉じ、それを机の上へと置く。

従者が持っている懐中時計は、部屋に戻ってからすでに15分すぎたことを示していた。

ピッタリに、ノックが3回。

「大河内卿、ジェームズです。お迎えに上がりました」

「今行く」

大河内は返事をして、従者を先にしてドアを開けさせた。

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