ねこみみと遺跡②
「このスキル…スゴいのね……」
「………べんり……」
今は木の幹の空洞から地中に続いている穴の中を進んでいる。
結城のスキル『通り抜け』を使って二人は自動的に広がる穴を潜っていた。
この『通り抜け』は結城の後ろをぴったりくっついていれば効果はギリギリ範囲内だったのだ。
なので先頭に結城、後方にミラで進んでいる。
そしてここで問題が生じる。
進行に直接問題するわけではない。が間接的である。
結城に問題がある。とはいえないかもしれない。
ミラに被害が及ぶ。というかこいつが問題である。
さて、その現象が起こるのは
「はぁあ…はぁあ……ぅん、………はああっ………!」
「………大丈夫……??」
「え、えぇ…むしろ、さ、最高うぅぅ……」
「………分かった……??」
結城は知らなかった。いや、知らないほうが、分からないほうがいい。
それはそうだろう。これは見つかれば100%犯罪、牢獄行きである。
相手が結城だからいいものの。そしてこの穴と、スキルの条件だから良かったものの…普通は異常者だとしてミラは捕まるべきなのだ。
「や、柔らかいわ……へ、へへへ……こんなの、天国よ……」
この女、合法的に結城のお尻に幾度となく顔を埋めているのだ!
もう、それは、もう…変態である!!!
しかし何度もいうがここは穴の中で、相手は結城なのだ。
周りに誰もいなければ、そして結城と接近しなければ通れない穴でなければこんなことは起きない………はずである。
とにかくいまミラは、時々結城のお尻に、スピードを上げすぎたといいながらその顔を埋めているのだ。
「………スピード…上げる……??」
「ユウは気にしないで!私が調節するから!!」
「……でも……お尻……当たってるよ………」
「コボブゥッ!!!!」
結城からそのワードを、"お尻"と聞くなんて思わなかったミラは盛大に吐血した。勝手にHPが削れていく。
「………大丈夫…なの……??」
「え、えぇ……もう止めたほうが…よさそうね……」
これ以上やると本当に吐血だけで一度死ぬことになりそうだ…
自分の本能をグッと押さえ込んで進んでいると目の前から光が
「ユウ、気を付けてね。いきなりモンスターとかプレイヤー、罠の可能性もあるから」
「…………………………………うん…………………」
今までの中で一番返事に時間がかかった。
それだけ慎重で、緊張してるのだろう。
そして遺跡の天井から飛び出た結城とミラに待ち受けていたのは
「キ、キャアアアアアアアァァァァッ!!!!」
真下に水色主張したスーツ姿。しかし胸元は大胆に、そして着崩れしながらもカッコいいと思わせるスタイルとその顔立ち。
しかし、それはイレギュラーな出来事がなければの話。
いまは真上から落ちてきたイレギュラーな二人に絶叫しているためにカッコいいというのは消え去り、そして潰されたのだった。ミラに。
「ぐはっ!!」
「ぎゃあ!!」
「………………………ふぅ……!」
なんとも、女の子から出してはいけない声を上げる二人。
そして結城はクルクルと回転しながら見事な着地を見せてみた。
結城がやったのは完全にダンジョンでやったことを再現したような感じである。
見事な着地に満足した結城は思い出したようにミラの方を見てみた。
すると丁度ミラの意識が戻ったのだろう、頭を押さえながら立ち上がろうとしたことろで
「いつまで乗ってるのよッ!!」
「うわっ!!ご、ごめんなさいね!!」
「わざとでしょう!!少し前に意識あったでしょうがッ!!!」
「まぁ、ユウ以外の女の子に触れる機会なんてないから……ね?」
「なに頭可笑しいこと言ってるのあんたはッ!!!??」
結城の苦手な人種なのだろう。トコトコと走りながらすぐにミラの後ろに隠れる結城。
それを見たスーツの女の子、いや、立ち上がると分かる。
明らかに大人の女性だ。だからスーツ姿でもカッコいいと見えたのだろう。
しかしそれは結城にとっては"怖い"に入る。
なんともいえない鋭い視線にブルッと震える結城。
「……あぁ……ごめんね。よく怖いって言われててね……
顔つきは勘弁して。こればかりは生まれつきだし、アバターを変更する気もないからさ」
「いいえ。ユウも人見知りで無口な子なので」
「………………」(コクリ)
「ふふふ。可愛いわね。
さっきのは、まぁ、事故だったってことにしましょう」
「はい。そちらがよければ」
スーツの女性が手を差しのべたのでミラもすぐさま手を出し握手する。
そしてユウにも手を差しのべるがどうしようかとオドオドする結城。
それに苦笑いしてその手を引っ込めてニコッと笑いながら
「私は"フレンディア"よ、よろしくね」
「………………ユウ………」
「ユウね。よろしくね」
その手をユウの頭において優しく撫でる。
その撫で心地にフゥと息を吐きながら気持ち良さそうにした。
改めてミラに向き合って自己紹介を済ませると
「フレンディアさんは…」
「呼び捨てで構わないわ。敬語もいらない。ここはゲームなんだから」
「分かったわ。フレンディアは一人なの?」
「ええ。この格好だと寄ってくる男がウザくてね。逆に女は寄ってこないの」
「アハハ……」
「貴女達も人数が少ないのね。この遺跡、最低でも5人いないも厳しいのに……見てないの?」
そういって画面を開いて見せたフレンディアはそれをミラの方へスライドさせた。そこに書かれていたのはこの遺跡の設定だった。
[森の遺跡 level3
人数制限なし。主にモンスター出現。団体で現れるために5人以上での参加を進める]
と、ご丁寧に遺跡クリアに必要な人数が書かれていた。
「ここは割りと優しい遺跡だけどモンスターが多いのよ。だから大人数が有効的ってわけ」
「でもフレンディアはここまで……」
何が言いたいのか分かったのかフレンディアは懐から二丁拳銃を取り出して見せた。
「私はこれ。昔から銃撃は得意なの。よくゲーセンで遊んでいたからね」
「そのスーツの裏側って……」
「気づいた?武器専用の異次元倉庫みたいなものよ。ここに沢山の銃器が入っているわ。もちろん課金したのもばかりね」
うわぁー。と思わず言ってしまったミラ。
大人だから出来る課金。大量に課金して欲しいものを手にすることが出来る。子供には出来ない手法である。
「言っておくけど子供は止めときなよ。私だってカツカツで生活してるんだからね」
「やりませんよ。そんなお金ありませんし」
「……………………ぇ………??」
その言葉に思わず反応したユウ。
そしてそれに対して真顔でユウを見つめたミラはすぐさま理解して
「だ、ダメよユウッ!!!それは最終手段しましょう!!!!」
「…………斎田……OK…くれたよ………」
いつの間にか斎田に連絡を取っていた結城。
そして課金を許す斎田は甘すぎる。
「おい執事ッ!!で、でも、私達は実力でやろうね……」
「…………」(コクリ)
「あら?それだと私は実力がないみたいじゃない?」
「そんなこと言ってませんよ!
というかなんで私がツッコミ側に回ってるのッ!!!??」




