第42話 水無月蒼真の家族物語
何のトラブルもなく最初の村についた。
いやまぁ、普通の人からしたら即死レベルの敵にたくさん遭遇したが、、、
ってか今気づいたんだが討伐隊殺されねぇか、、、?まぁいっか。
「ほ、ほんとに殺るの?」
神代が怯えたような声を出して聞いてくるが答えはもちろん決まっている。
「勿論。」
本当にARになるのなら殺すとか殺さないとか言ってられない。流石に殺しを楽しむのは無理だし人として終わりだと思うので楽しむことはしないが、最低限の自己防衛のための殺しはやむを得ない。
ましてや今殺ろうとしてるのはNPCだ、慈悲など要らない!
「ふ━━━━っ、行くぞ!」
あまり長い時間いるとモンスターに集られるので早めに村にはいる。モンスターは入ってこれないため奇襲に関しては安全だ。
だが、こんな極限の大地にすむというNPCだ。戦闘力もえげつなく倒せない。
━━━普通ならば。
俺はNPCの実力を知っている。(愛読書が説明書)多分討伐隊の上位の実力者が10人集まっても苦戦、敗北のどちらかになるだろう、ゲームバランスとしてはちょうどいい。だが、、、
まず神代が斬りこみ、NPCが反撃に出ようとしたところに由比のトラップ魔法で少し硬直、その僅かな時間にエルナーの心臓を狙う一突きを放つ。もし生き残られた場合のために多良見が水魔法で攻撃、この世界ならば氷になり相当な威力を誇るのだ
と作戦を立てていたのだが、、、
「神代、、、」
「ごめんなさい!」
「いや、怒ってるわけじゃないんだけどね?あの、、、強すぎるんだよ、、、」
そう、敵の混乱を誘うための斬り込みで終わってしまったのだ。神代、恐るべし!
「まぁ結果オーライってことで!」
俺の作戦がー、、、
「この村は、、、ハンカルイン?ハンレイアルとやけに似てるな」
「蒼真、、、まぁ説明書には書いてないけどさ、、、この周辺はハンが頭につくの」
「なるほど、」
「でもその知識は不要だよ。」
そう答えたのは何故かついてきている、、、いやまぁ回収したけどさ。そのバイトだ、
「普通に国名になる。村も都市になる」
「えっと、、、じゃあ中心部が大阪とか東京とかという名前になるの?」
「そういうことだ。本当に悪い、、」
ここに来るまでの皆の浮かない顔を見て罪悪感を感じているのだろう。だが、こいつに非はない、、、とは言えないがどうしようもない立場だったのは事実だし皆にとって有益な情報さえ教えてくれた
「そこまで罪悪感を感じるな。少しずつでいいから一生悔やめ」
一時大きく後悔したところで喉元過ぎれば熱さ忘れる、の通りにまたやってしまうだろう。金につられてね、だから一生悔やんでもらう方が世のためだ
「かっこいいね!流石リーダーは良いこと言うね!」
「黙れヒキニート。」
「引きこもってないじゃん!私の家族ともしっかり出掛けるしー!」
「あ゛!?てめ、、、ふぅ、、、」
神代とエルナーの怖がりようで我に帰ったが、、、家族、家族、家族、家族、、、くっ、
前にも言ったが親は凄く仲が悪い。だが離婚できないのは俺がいるせい、だから家族皆でお出かけとかそういうのも無かった、、、俺が産まれてすぐに仲が悪くなったらしくてね、、、
それをバカにされた気分だ。怒るのも当然なのだが、、、もちろん由比は俺の家庭の事情を知らない。あの時も頭のなかで考えてただけだ、
「そ、そ、そ、そ、そ、そ、」
神代が何か言おうとして突っかかり、深呼吸して、、
「そ、そ、そ、そう、そ、そう、」
「ほぼ変わってない。くだらねぇ、行くぞ。」
何故か懐かしのやりとりなのだが、、、立場逆だよね?前とは。
「ね、ねぇ。そ、そ、そう、そ、蒼真!」
「何?」
不機嫌さを隠すきもなく返答するが、神代は言葉を紡ぐ
「蒼真、、、こんなことを言うのは本当に失礼だと思う。あと皆は席を外してて。」
「わかった。」
とエルナー改め依奈は空気を読んでくれる。
「はぁ?なんで?イチャイチャしたいならそう言い…………エ、エルナー?なん、な、なんで髪引っ張ってくの?ねぇ!待って!ね、ねぇ!」
と空気を読まない方の由比も空気を読んでくれた。何故だか神代に嫉妬してる気もするだがな、、、
「で?なに?」
二人になっても不機嫌さは出し続ける。このまんまの空気を出したくないのだから
「う、、、蒼真の、家族、の、こと、おしえて、、、」
「ッッ━━━━!?」
マジかよ。どんだけ察しがいいんだよ!でも、話したところでな、、、
「家族内が険悪なムードなのは知ってる。エル………依奈も気づいてると思う、由比は知らないけど、、、だから、だからさ!私、、達を心の拠り所にしてほしいの」
「何が、何が出来るんだよ!父親とは年に一度会えばいいくらい、母親は育児放棄!毎日飯は200円でコンビニ!そんな環境で育ってみろよ!何が心の拠り所だよ!気持ちも分からない奴が、、、偉そうなことを言ってんじゃ、ねぇーよ、」
本当は心の拠り所にしたい。パンを作ってくれたとき本当に泣きそうなほどに温かさを感じた。初めての温かさだった、それ故に語尾は小さくなっていった。
「私、、と一緒に行こう?私達の家に。ARになっていいこともあるよ、、永遠と家族としてパーティーメンバーと話せるよ、」
「嘘つけ、、、お前らだって家族に会いに行くだろうよ、その度に俺は傷つかなければいけないのかよ!いくら勉強頑張ったってスポーツで記録残したって!振り向かれない虚しさを!思い出せって言うのかよ!」
「私、、、は分かった。最後にお別れを言うよ。家族に、、、魔王領に行くと言って捕らわれたことに出来る。皆は分からないけど私はそうするよ!」
「なんで!なんでそんなことするんだよ!せっかくの温かい家族じゃねぇか!そんな簡単に縁を切るなよ!こんなろくでなしのために!」
「私は、、、蒼真が、、、いや、何でもない。大丈夫、」
「大丈夫ってなんだよ!結局俺は親を恨みながら君主をやるんだよ!そして俺に今頃になって庇護を求めてくる!そんときに皆がいると邪魔になるんだよ、、、恋人とか変に分かってて勘違いした振りをして『実の親の私よりも恋人の方が大事なんだよ』とか噂を流してくる!お前らなんか邪魔なんだよ!」
「何をしてほしいの、、、?助けたいよ、、、」
本当に心配そうな顔で聞いてくる。自分でも気づかない内に涙がザメザメと滝のように流れていく。だけど、それと同時に今まで一人で抱え込んでいた物を共有してくれるという温かさを感じた。
本当は親にこの気持ちを貰いたかった、、、
「なにもしなくていい、然るべき時が来たら、、、争いをする。何回も、双方無事は有り得ねぇな。」
「それってつまり然るべき時とは庇護を求めて来たときだよね、」
「察しがいいな、、、もう親なんかに屈しない強さも持っている。」
「で、でも、、、」
「悪いことだとも分かっている。だけど、、、」
神代は少し思案に耽った顔をすると、
「ねぇ、、、先手を打たない?」
と言ってきた。




