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夜盗の夜襲

 特に問題なく見張りを終えた俺たちのパーティは、早々に眠りにつくことにした。やはり睡眠は一貫して取った方がいいな。それからしばらくはぐっすり眠れていたが、ふと、気配を感じて起き上がった。アリィは寝ているが、シャルのほうは何かの気配を感じ取ったらしい。


「気づいたか」

「ん。敵?」


 それはわからない。しかし魔物被害が頻発する荒野で、謎の気配を察知したらそれは敵である可能性が高い。常識的に、いや常識が通用しないのがこの世界だ。普通ではない考えで言ったらやはり敵であろう。アリィを起こし、外で見張りをしているだろうゴルドのもとへ向かう。


「おや? オウダ殿、どうした? 眠れないのか?」

「馬鹿。何かの気配がする。敵襲も考えて戦闘態勢に入れ」

「何? 本当か? …………」


 ゴルドが反応を返したあと、少しの間黙り込んだ。スキルか何かだろうか、集中している。


「本当だ。おそらく周囲の岩陰に隠れている。全員静かに行動しろ。敵に悟られるな」


 そう命令したゴルドは、パーティとともに剣を抜く。俺も一応暗器をいつでも取り出せるよう準備しておく。撲殺丸を使わないのは、捕らえて尋問するためだ。まあ、輸送隊なんてのは恰好の獲物だと予測はつくがな。


「ベル、カルム。他のパーティを起こしてきてくれ」

「はいよ」

「了解」


 ゴルドが再度命令を下すと、パーティの二人は迅速に動いた。


「敵は二手に散開しているようだ。ゴルド、お前は西側の敵をやれ。俺たちは東側だ合図は俺が出す」

「わかった」


 ゴルドの了解を得ると、スキル”咆哮”を発動させる。そして。


「――敵襲だぁぁぁあああああ!!!!」


 敵の存在を知らしめるために咆えた。岩場の陰の死角に完全に入っていたであろう敵が、気づかれるとは思っていなかったのか慌てて飛び出し襲ってきた。こちら側の敵は、11人か。反対をちらりと見る。向こうは12人。合計23人の夜盗どもが襲ってきた。


「アリィ、シャル! 極力殺すなよ!」

「わ、わかりました!」

「がんばる」


 二人に指示を出し、俺も戦闘態勢に入る。と、ちょうど他のパーティもすでに戦闘準備を整えた状態でテントから出てきた。俺の咆哮で先手を打ったことに気づいてこっちも慌てて出てきたって感じだ。悪いとは思っていない。


 すでに戦端が開かれた両側の陣営に、各パーティが加わる。こっちには人数差でハルトのパーティが加わった。あちこちで金属がぶつかる音や爆発音などが聞こえる。一人が俺に向かって突進してきた。顔は襤褸(ぼろ)切れをまとっていてわからない。が、そんなことは関係なくワイヤー付きの投擲用ナイフを太ももに突き刺した。相手の動きが鈍った直後に頭をけりつけて失神させる。


 ハルトのパーティも奮戦しているようで、5人は倒した。他の奴らはアリィとシャルが速攻で倒していた。生きている奴はこちらにいる魔法士で拘束させ、手が空いたものは西側で戦う3チームの応援に向かう。俺も応援に来たが、1人しか倒せず本当にただの応援のようになってしまった。がんばれ、と言っておく。


 ある程度倒し終わったところで、こちらも生きている奴は拘束して尋問ができるようにする。身動きが取れない夜盗どもを一か所に集めて周囲を取り囲む。ゴルドが剣を突きつけながら、夜盗の一人に質問する。


「お前たち、いったいなぜ我々を襲った?」


 最も簡潔だが分かりやすい質問。それを聞いた夜盗どもが急に笑い出した。


「な、何がおかしい!」

「くっくっく。俺たちはな、そこの赤い髪の男に雇われたんだよ!」


 そういった男の目線の先には赤い髪の男、アグヌスがいた。

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