↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/35

ボスゴーレム

 戦闘が開始された。鈍重なゴーレムよりも素早い俺の一撃が足に当たる。しかし、通常のゴーレムとやはり違うのか、すぐに反撃してくる。一撃もあまりダメージになっていない。


「アリィ、魔法で支援を! シャル、正面から引き付けてくれ!」


 効かないとわかるとすぐに指示を飛ばす。今度は背中に全力で叩きこんでやるつもりだ。シャルがひきつけている間に俺は大きく回り込み、ゴーレムの視界から外れる。斜め後方まで行くと急転換してゴーレムの背中に向かって大きく跳躍する。


「ハァッ!」


 短い呼気とともに一回転して撲殺丸を叩きつける。今度は当たり所が良かったのか、身体にひびが入った。手ごたえを感じていると、ゴーレムの頭部が半回転してこちらを見た。まずい、と思った瞬間には、頭部の後を追うように回転した上半身が俺に向かって迫ってくる。一瞬の判断で撲殺丸を盾に使ったが、衝撃は殺し切れずに壁の方まで吹っ飛ばされる。


「コロさん!」


 アリィが魔法で俺の前方に砂の渦を出し壁にする。時間稼ぎになるかわからないが、スキル”超回復”を使い回復を図る。それと同時に身体強化の魔法を使えるだけ使い、撲殺丸には攻撃力を高めるべく”サンドスター”の魔法をかける。


 シャルがゴーレムをひきつけてくれているが、押され気味だ。”鑑識眼”を使うと『アースゴーレム』『Lv.130』と出ている。さすがにレベルが高い。急いで加勢すべく、砂の渦を突っ切り再び死角となる足元から上へ垂直に叩きつける。俺の強化した急襲にさすがにゴーレムがたじろいだ。


「腕だ! 二人は両腕の攻撃を対処してくれ!」


 核を破壊するためにはどうしても両腕が邪魔になってくる。生き物と違って脳という概念がないのか、両腕は別々に攻撃してくる。そのため右腕はシャルがひきつけ、左腕はアリィと俺で破壊をたくらむ。”ウッドバインド”の魔法でアリィが腕を固定している間に、俺が付け根から何度も殴打する。スキルの強化のおかげか7回ほどで肩が半分ほど凹んだ。あと数回全力で叩きつければ折れるというところで、


「危ない!」


 声が飛んでくる。確認もせずにとっさに体を捻り攻撃を回避する。見れば、シャルがひきつけていたはずの右腕がこちらを攻撃してきている。各個撃破は難しかったようだ。すぐさま作戦を切り替える。


「シャル、いったん下がれ! 作戦を立て直す!」


 アリィのもとまで撤退し、対策を練る。その前にステータスを開き、今もアリィがゴーレムを拘束している”ウッドバインド”を取得し俺も拘束に手を貸す。俺の場合は細い木が体全体を覆うような形で現れた。

 これでしばらく奴も動けない。どう倒すか考える時間ができた。


「なにか。奴の弱点らしいもんは見つかったか?」

「いいえ、これといって特には」

「……ない」


 やはりだめか。仕方ない。こうなったらスキル”狂乱”を使うか。あれは一種の暴走状態だからあまり使いたくはなかったんだが。


「いいか、よく聞け。今から俺はスキルの”狂乱”を使う。これはある種の暴走だからお前らが巻き添えを食らうかもしれない。だから、シャルは隙を見てひきつけ役を。アリィは俺に対する攻撃をできるだけ防いでくれ」

「わ、わかりました」

「……ん」


 作戦が決まったところで木の拘束が破られてしまった。ちょうどいい、とは言えないがこちらからもうってでる。


「行くぞ!」


 掛け声とともに”狂乱”を発動させる。目が血走ったように赤く染まる。


「ガァッ!」


 短く吠え、消えたような錯覚をさせるほどの速さでゴーレムに突っ込む。直線状に走ったからか、敵も予測していたように右腕を振りかぶる。タイミングを合わせて攻撃しようとした瞬間。


「”ダイヤモンドダスト”!」


 ゴーレムの表面が凍り付き、一瞬攻撃が遅れる。その隙に俺は撲殺丸を振り上げ、下から左腕を破壊する。”狂乱”のおかげか今度は一撃で腕が吹き飛んだ。回転しながら腕が吹き飛び、転がっていった。しかし、俺が攻撃の直後でほんのわずかに硬直した瞬間を狙って、氷が解けたゴーレムの右腕が俺ではなく地面に叩きつけられる。


 地面が陥没した衝撃と風圧で吹き飛ばされる。常に攻撃態勢になった俺は受け身が取れない。


「ぐゥ!」

「コロさん!」


 アリィが魔法で岩の壁を囲むように出現させる。しかしそれもすぐに破られ転がった俺に向かって再び衝撃波を使おうとしている。が、その隙を狙ったかのようにシャルが爪で核をひっかいた。爪では攻撃があまり通らなかったが、核へのダメージは大きいらしく地響きのようなうめき声を出した。ゴーレムは暴れるように地面を叩きつけまくっている。そのたびに地が揺れる。その瞬間を狙った。


「アリィ、俺を高く飛ばせ!」


 体の各所が痛むが、アリィに指示を飛ばしゴーレムに向かって俺を飛ばせた。土魔法で地面を盛り上げさせ、その勢いを風魔法でさらに大きくする。放物線を描くようにゴーレムに向かって特攻した俺は撲殺丸を振りかぶる。こちらに気づいたゴーレムも迎撃態勢を取る。このまま突っ込んでいっても堂々巡りだ。そう考えた俺は態勢を少し捻る。


 残った腕で殴り落そうとするゴーレムと俺。迫る交錯の瞬間。だがその時は、俺の攻撃が先に通ったことで決着がつく。俺は、撲殺丸を投げつけたのだ。直接殴りかかってくると思ったらしいゴーレムは、俺の攻撃に対処できず、核のある胴体をがら空きにしてしまった。


 俺の投げた撲殺丸は、回転しながら核めがけてものすごい速さで飛んでいった。投げてから一瞬の後、ガキンという音とともに、核が砕け散る音がした。撲殺丸の先端が、見事に核に突き刺さったのだ。


 地割れのような声を最後に、ゴーレムは動かなくなった。


 一瞬の静寂。その後。


「や、やりました! コロさん!」

「……んー」


 二人が喜びの声を上げる。ようやく面倒な戦いが終わったと、大きく息を吐く。


 撲殺丸を取りに倒れたゴーレムのもとに寄る。撲殺丸を引き抜こうとすると、核ごと抜けてしまった。しかしこれはなかなか透明度の高い宝石だ。持って帰れば高く売れるんじゃないか。


 そう考えながら、しばらくは勝利の余韻に浸るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。