ボス部屋
クマウサギを瞬殺したシャル。どう考えても戦闘能力はアリィよりも高い。
「なあ、シャル。お前、レベルは?」
「……レベル? わからない」
どうやら自分のレベルがわからないらしい。仕方がないので、スキル”鑑識眼”を使う。視界にステータス情報が現れる。レベルは……、120。120だと?
「レベル120だと? 亜人ってのはそこまで強いのか」
「120って本当ですか!? いくらなんでも高すぎます!」
アリィが反論のように言い返してくる。しかし、”鑑識眼”スキルはほかに下位互換がある。間違うはずはない。
「おそらく事実だ。可能性として当時戦った魔族の配下が強かったんだろう。おかげでレベルが上がったとかか」
「だからって、そんなに……」
納得がいかない様子のアリィ。当の本人であるシャルは首をかしげている。亜人にはレベルという概念がないのか、それともシャルだけがレベルについて詳しく知らないだけなのか。どちらにしろ、戦力としては十分使える。
「なあ、シャル。これからも戦えるか?」
「……ん。助けて、もらったから。必要なら、戦う」
「そうか。お前くらい強いならある程度の強敵でも大丈夫だろう。よろしく頼むぜ」
「……ん」
俺としても前衛はもう一人くらいほしいと思っていた。戦闘の陣形としてはちょうどいいだろう。
しばらくはまた会話をしながら、敵と遭遇したりして進む。そのたびに俺とシャルが攻撃し、アリィが支援する。戦闘形態としてある程度完成しつつあると、再び広間のような部屋に出た。しかし今度は確実に敵がいる。50メートル四方の大きな部屋の向こう側に、ゴーレムのような巨像があったからだ。胸の中心には赤い宝石がはめ込まれている。おそらく核だろう。
ゴーレムは動き出さない。まだ接敵位置についていないということか。その間に作戦を立てる。
「お前ら、あれが何かわかるか」
「ただのゴーレム、じゃありませんよね」
「……強そう」
かえってくる返事は俺も想定していたものだ。今までの敵と格が違う。さて、どうしたもんか。
「アリィ、ゴーレムとの戦いはどうすべきだと思う?」
「え、えーと……。物理攻撃が有効で、特に打撃系がよく効きます。なので魔法なら、そういった攻撃をするのが妥当だと……」
「その通りだ。つまり俺とは相性がいい。あいつは俺が倒す。アリィとシャルは注意をひきつけてくれ」
「……大丈夫?」
「問題ない。あれくらいならいけるだろう。とにかく、二人は援護を頼む」
ひとりで行けると思ったのは確かにあるが、二人では荷が重いと思ったのも事実だ。基本的に支援中心のアリィと、爪と牙で戦うシャルでは相性が悪い。最も打撃に特化した俺の出番だ。
「じゃあ行くぞ。準備はいいな」
「はい!」
「……ん」
「よし、行くぞ」
俺たちが前に進み出ると、巨像の目が光りだした。




