決闘後
「んん……」
空が眩しい。私は、いったい……。そうだ!
意識が急激に覚醒し起き上がる。
「私は……!」
そうだ、決闘があって。そして、……負けた。
「やはり、負けてしまったんですね」
そう言って王田を見る。王田の額からは血が流れていなかった。スキルで治しただけなのだが、それすらも雲の上の出来事のように思えてくる。
「私、やっぱり諦めます。こんなにも力の差があるなんて思ってませんでした。私は、まだまだですね」
そういってアレーナは微笑む。涙を流しながら。
「いや……」
すると、今まで黙っていた王田がつぶやくように言った。
「え?」
「……あんたは弱くない。あんたの戦い方は一流だ」
王田にとってこの戦いは改心すべきものだった。勝つことに慣れ、相手の力量を見誤りハンデなど与えた。結果的には誰が見ても勝利というこの戦いに、王田は重い敗北を感じていた。慣れることは強くなったのではない。むしろ衰退してしまっていたと痛感する。
「俺は手を抜いていた。魔法がどの程度の技術なのか、それを見極めるだけの戦いだと思っていた。俺は、力に溺れていただけなのかもな。……アレーナ」
「はいっ!?」
今までまともに呼ばれていなかった名前を急に呼ばれてアレーナは声が裏返る。
「もう一つ条件を付けくわえる。俺が力に溺れ驕ったときは、俺を導いてくれ」
「え、それって……」
「ああ。俺とパーティを組んでくれ」
「ええぇ!?」
突然名前を呼ばれた挙句、決闘で負けたのに向こうからパーティの申請をしてきた。王田の心情を知らないアレーナからすれば訳が分からなかった。
「い、いいんですか?」
「さっき言った条件をのむのならな。それに、あんたは強いしな」
強い。あれだけの実力差を見せておきながらアレーナを強いといった。王田がこの決闘で何を見出したのか、アレーナはまだ知らない。困惑で素直に喜べはしなかったが、パーティを組むことができる。その事実だけは理解した。
「わ、私からもお願いしますっ」
「ああ。これからよろしく」
「んじゃさっそく昼飯だ。飯代はアレーナ、あんたが出せ」
「ええ? そ、それはいいですけど朝ごはん食べたのさっきですよ」
「体を動かすと腹が減る。道理だ」
そう言って先に歩き出す王田。
「あ、待ってください!」
後を追って走るアレーナ。
「ああ。午後からは依頼を受けるからな」
「ええ! もう疲れましたよぉ!」
「ほかに必要なもんの稼ぎは自分でする。嫌ならついてくんな」
「ううぅ~。わかりました! ついていきます!」
そうして二人は街へ戻っていった。




