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第35景

「じんしゅって……そう、はーふえるふ? ってなに?」

「そこから!?」


 すげえ、教育が行き届いてない都市ってすげぇ。


「え、ええとね、人種っていうのは大まかにどういう人間か、みたいなことだよ」

「どういうにんげん……おみせやってます!」

「そういうんじゃ無いんだ。ええとな……」


 あれ? 全く知らない人間に説明するのって結構難しく無いか? いや、やればできるはず。たぶん。

 ええと、どっから説明すればいいのかってと。


「例えばさっき言ったエルフ。寿命は1000年単位、背が高くて細身の体型の人が多い。あと孕……いや、耳が尖ってて長いね。顔全体細面だし」

「うーん?」

「それからドワーフ。寿命は7〜800年かな? 背が低くてがっしりした体型の人が多いよ。男女問わず毛深い」

「うん」

「そしてハーフリング。寿命は80年くらいかな。ドワーフと同じくらい背が低いけど、でもあんまりがっしりはしてない。ちょっと目が大きくて顔つきが子供っぽいらしいけど……部分部分 パーツパーツに違いがあって区別がつくらしいよ」

「ふーん」


 相槌下手だなこの子。


「わたしはなんなの?」


 おお、案外話がわかってるっぽい。というか、結構頭いいのだろうか。要点をしっかり抑えてる。


「まずオレはヒューマンだ。今まで言った連中と比べると特徴無いし、寿命は長生きして80年て言われてる。まあ、知り合いに100歳超えた人いるけど。それと、この世界にはほとんどヒューマンしかいないんじゃ無いかって言われてるよ。それで君なんだけど……大きさと、声を聞いた回数を考えるとドワーフやエルフじゃ無いな。問題はハーフリングなんだけど」

「はーふー……」

「ハーフな。ちょっとこう、あーって口開けてみ」

「あー」


 素直でよろしい。

 ハーフリングの特徴はなかなか細かいのだけど、例えばヒューマンは上下2本づつしか無い犬歯がハーフリングは6本づつあるらしいとか、皮膚が柔らかくてよく伸びるようになってるとか、耳の角度がちょっと傾いてて下向きになってるとか……あと何があったかな。ちょっと肌が橙色っぽいとか? 全部伝聞なんだよなぁ。

 うん、犬歯は全部で4本しかないから違うんだろうけど。


「ええ」

「うん?」

「『はーふえうふ』って『えうふ』とはんへいあうお? ほえとお『はーふいんう』とはんへいあうお?」

「あー、口はもう閉じていいよ」


 その辺は説明めんどくさいなぁ。っていうかオレだってなんでも知ってるわけじゃ無いんだし。


「ええとハーフエルフっていうのは……エルフのお父さんとヒューマンのお母さんとか、ヒューマンのお父さんとエルフのお母さんから生まれた子供をいうんだ。ドワーフとヒューマンならハーフドワーフ、で……ハーフリングとヒューマンならハーフハーフリング……」

「……」

「あ、そんな目で見んなよ! オレだっておかしいと思ってるよ! いっそもうハーフリングじゃなくてリングでいいだろって思ってるんだよ! ……でも、でもそういう風にできてるんだよ」

「ふーん」

「なんか反応が薄い!」


 っと、突っ込んでも虚しいだけだよなぁ。実際ドワーフやハーフリングにはあったことある奴なんてほとんどいないわけだし、オレだって納得できるような話をできてる気はしない。


「っていうか、人種ってのがなんだかはわかったんだよな?」

「うん」

「じゃあお姉さんの人種は?」

「えー、と? わかんない」

「そうか。そりゃそうだよな」


 そもそも人種知らないのに、お姉さんがその説明をしてるわけも無い。というか、お姉さんが説明してないから知らないんだろうし。それでいきなり説明されたってわかるもんじゃ無いよね。それに、ハーフなんて言われなきゃわからない奴もいるらしいしね。逆に、なんだかわかんないけど絶対ハーフだって言われる人間もいるくらいだ。

 ま、オレだけどさ。

 

「じゃあお姉さんに……」

「きいてくるの?」

「うん……いや、やっぱいいや。別にどうしても知りたいわけじゃ無いし」


 ここまで言っといてなんだけどさ。

 ちょっとめんどくさくなった。どうせそのうち会う機会もあるだろ。その時自分で聞けばいいや。それよりいい加減商売の話とか始めたいんだよ。


「それよりお店の話始めようぜ」

「うん。わかった」

いつも読んでくださってありがとうございます。

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